税務調査対応・移転価格文書化

香港の税務調査対応業務

日本で税務調査と聞くと、税務署職員が実際にオフィスへ訪れ、何日間にかけて対象企業の申告内容が正しいかどうかを調査しに来るといったイメージがあるかと思います。しかし、香港での一般的な税務調査は、調査内容が記載された質問状を対象企業に発行し、質問状に記載された期限内に回答文書を関連証拠書類と一緒に提出するといった形式となります。

 

これは香港では日本と違い、ビジネス活動を行っている法人は会計監査を毎年度受けなければならないため、税務局へ提出される申告内容は監査工程において監査人により確認・保証されているため、一定の信頼があるからです。

 

またこの質問状は、一度回答したとしても追加で質問状が発行されることもあり、数度回答を行わなければならない場合もあることに注意が必要となります。そして、もう一点注意するべきことは、一度納税が完了した年度においても7年以内であれば、税務局は過去年度に遡及して再度審査を行う権利を有しています。香港の会社条例でも定められていますが、会計資料は7年間は保管しなければならないことにご注意ください。

 

弊社ではこの回答文書の作成代行を含め、香港の税務調査に対してどのような対応をしたら良いかなどのアドバイスも行っております。

 

移転価格文書化

香港においても移転価格の文書化 に関して、BEPS への対策としてOECD が企画した「①マスターファイル、②ローカルファイル、③CbCレポート(国別報告書)」 の3層構造のアプローチ法を採用するとしています。そのため、以下の免除規定の対象とならない企業においては、対象会計年度終了から9か月以内に、その会計年度のローカル・ファイルとマスター・ファイルを作成し、保管を行う必要があります。

 

マスター・ファイル及びローカル・ファイル

香港税務居住者が以下の条件A、または条件Bいずれかの免除規定を満たす場合、マスター・ファイル及びローカル・ファイルの作成が免除される。

 

条件A: ビジネスサイズに基づく免除規定

以下3つの条件の内のいずれか2つを満たしている場合は、対象年度におけるマスター・ファイル及びローカル・ファイルの作成義務が免除される。

 

  • 年間売上高: 4億香港ドル未満
  • 資産額:   3億香港ドル未満
  • 従業員数:  100人未満

 

条件B: 関連会社間取引総額に基づく免除基準

条件Aを満たさない場合においても、関連会社間取引総額が、以下の特定カテゴリーのそれぞれ上記に示す基準金額を超えない場合、関連の会計年度におけるそのカテゴリーについては、対象年度のローカル・ファイルを作成義務が免除される。(*全カテゴリーが基準金額を超えない場合、対象年度においてマスター・ファイルの作成義務も免除される。)

 

  • 財産の移転(金融資産および無形資産以外):2億2,000万香港ドル未満
  • 金融資産の取引:1億1,000万香港ドル未満
  • 無形資産の移転:1億1,000万香港ドル未満、及び
  • その他取引(例:サービス収支及びロイヤルティ収入):4,400万香港ドル未満

 

国別報告書(CbCレポート)

もしも香港法人が多国籍企業グループの最終親会社の場合、以下二つの条件をどちらも満たしている場合、国別報告書(CbCレポート)を提出する必要がある。

 

  • 多国籍企業グループの年間連結グループ売上高が68億香港ドルを超えている。
  • 多国籍企業グループの最終親会社の税務居民地が香港である。

 

ただし、最終親会社の税務居民地が香港ではない場合においても、以下のいずれかの基準を満たしている場合、連結グループの年間売上高が68億香港ドルを超える多国籍企業グループに属する香港法人は、CbCレポートの提出義務が発生する。

 

  • 最終親会社の税務居住地の管轄区域において、CbCレポートの提出義務がない。
  • 当管轄区域と香港との間に国際協定が結ばれており、税務情報の自動情報交換(Automatic Exchange of Information)が行われているが、CbCレポートの提出締切日までに、当管轄区域と香港の間でCbCレポートの共有協定が結ばれていない。
  • 当管轄区域との間でCbCレポートの共有が全面的に機能しておらず、その旨を監督庁より香港法人に通知されている。

 

また、上記条件の1つでも満たしていたとしても、以下のいずれかに当てはまる場合は、香港企業はCbCレポートの提出義務が免除される。

 

  • 多国籍企業グループに属する他の香港法人により、当該会計年度のCbCレポートが提出されている。
  • 多国籍企業グループが、グループを代理してCbCレポートを提出する代理親会社へその権限を委任しており、CbCレポートはその代理親会社により香港または香港とCbCレポートの共有アレンジを行っている管轄区域にて提出されている。

 

もし香港法人がCbCレポートの提出義務要件を満たしている場合、香港法人は、対象会計年度末から3ヶ月以内にCbCレポートの提出に関する通知を行う義務がある。そして、各会計年度末から12ヶ月以内にCbCレポートを提出する必要がある。

 

もし最終親会社がCbCレポートの提出義務要件を満たしている場合、香港法人は、最終親会社の対象会計年度末から3ヶ月以内にCbCレポートの提出に関する通知を香港税務局へ提出する義務がある。

 

サービス一覧

1. 税務調査(質問状)への対応業務

2. 移転価格文書化(ローカルファイル/マスターファイル)

3. 最終親会社のCbCレポート提出に関する通知代行業務

4. タックスヘイブン対策税制にかかる防御