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広東省国民経済社会発展第14次5カ年計画概要~大湾区開発のポイント【大湾区情報レター Vol.11】   

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

 4月25日、広東省人民政府により「広東省国民経済と社会発展第14次5カ年計画及び2035年までの長期目標概要」(以下「計画概要」)が発表されました。14次5ヵ年計画(通称「十四五」)では、大湾区建設が初めて国家戦略として盛り込まれました。今回の計画概要では「大湾区」及び「深圳における中国の特色ある社会主義先行モデル地区」という二つのエリアを「双区」と称し、より重要な最優先政策として大きく打ち出しており、計画概要文中で「大湾区」に直接言及した箇所は100を超え、科学技術、産業、インフラ、開放性などの重要な分野を網羅しています。

 

 計画概要によると、「双区」は、科学技術イノベーションの効果的な促進、現代産業システムの構築、経済サイクルの効率的な循環、より高いレベルの改革開放の実現、中国内外の「双循環」サイクル(内需外需の相互促進)への深い関わりという5つの分野で主導的な役割を果たしていくことが明記されています。以下その5つの分野に関する概要となります。

 

 

1.科学技術イノベーションの効果的な促進

 「計画概要」では、大湾区国際科学技術イノベーションセンター建設を先駆けに、世界的な影響力を持つ科学技術、産業イノベーションの重要なポジションを構築することを提案しています。

 

 また、大湾区では総合的な国家科学センターの建設を主な牽引役とし、主要な科学技術インフラ建設を全面的に強化していきます。深圳・香港科技イノベーション協力区の深圳園区、横琴広東・マカオ緊密協力区、広州イノベーション協力区の3つの主要イノベーション協力区の建設、国家印刷・フレキシブルディスプレイイノベーションセンター、国家先進ポリマー材料産業イノベーションセンター、国家高性能医療機械イノベーションセンターなどの多数の国家レベル事業によるイノベーションセンターの建設について引き続き推進していくことが提案されています。

 

 

 

2.現代産業システムの構築

 産業のハイエンド化を積極的に推進し、グローバルな産業チェーンに深く溶け込み、産業基盤のアップグレードと産業チェーンの近代化を図ることにより、先進的製造業と現代サービス業の緊密な統合発展を加速させ、伝統的な広東省の製造業から広東スマート製造業への転換を推進することにより、国際競争力を備えた現代産業システムを構築していきます。珠江デルタの中核地域を、世界をリードする先進的な製造開発拠点として再構築し、ハイレベルでかつ高精度、最先端の製造業の発展に向け大々的に推進し、東莞市における「製造業供給側構造改革イノベーション試験区」建設を支援します。

 

 広東省は香港・マカオのサービス業との協力を強化します。 香港・マカオの現代サービス業の優位性を生かし、海運物流、金融サービス、文化・クリエイティブ、会議・展示会、会計・法律・コンサルティングサービスなどの専門サービスに重点を置き、差別化による発展、長所の相乗効果、コラボレーションパッケージによる現代サービス業システムを構築していきます。

 

 

 

3.経済サイクルの効率的な循環

 「計画概要」では、広州市や深圳市など、インフラ条件が良く、消費の潜在力が高く、国際化が比較的進んでいる都市において国際消費中心都市を創設することを支援し、国際的水準と世界的影響力を持つ消費中心都市群を育成し、国際的ブランドの集積を促進することを提案しています。国内外につながるという大湾区の利点を十分に活用し、重点分野や新興産業の基準策定、改善加速、日用品や生活サービス製品等の主要基準の制改定、国際共通規格への準拠の促進、消費財の品質基準向上、消費財のハイレベル化、差別化への発展を導きます。

 

 

 

4. より高いレベルの改革開放の実現

 「計画概要」では、広東省自由貿易パイロット区(GFTZ)の拡張に対する国のサポートを積極的に勝ち取ると言及されています。 広東省自由貿易パイロット区の模範、リーダーとしての役割を十分に発揮し、規則、規制、管理、基準などの制度的開放を模索し、大湾区の融和的発展のためハイレベルの対外開放ゲートウェイハブを構築します。

 

また、金融の自由化およびオープンイノベーションのための実証窓口としての役割を十分に発揮し、資本項目の収入決済の円滑化のためのパイロット・スキームをさらに進め、国境を越えた金融サービスイノベーションを推進します。

 

なお、香港とマカオのサービス産業への開放をさらに拡大し、香港・マカオで開業資格を持つ建築・会計などの専門家が登録のみで、直接開業できるようを促進します。大湾区、深圳先行モデル地区、自由貿易パイロット区の政策上の長所を最大限に活用し、先進的製造業や現代サービス業の主要分野の対外開放をさらに拡大する。

 

 

 

5. 中国内外の「双循環」サイクル(内需外需の相互促進)への深いかかわり

 国内外の双循環を促進するという観点から、計画概要では、大湾区をメインプラットフォームとし、国内外双方のマーケットの資源を十分に活用し、内需と外需、輸出入、貨物貿易とサービス貿易、貿易と産業の協調的発展を積極的に推進し、投資、貿易の円滑化および自由化の水準を高めることを提案しています。

 

 

 

 

【参考資料】

「広東省国民経済と社会発展第14次5カ年計画及び2035年までの長期目標概要」発行に関する通知(粤府(2021)28号:「計画概要」へのリンク付)

広東省「第14次5ヵ年計画」概要、100回以上「大湾区」について言及

第14次5カ年計画期間における広東省の大湾区建設推進のポイントとは?

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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