2020年12月15日【WeChat公式】より:
政策から読み解く大湾区の活用方法

日中ビジネストラックがどうなっているのか気になる今日この頃。中国側からも宣言はあったものの、その詳細が全く発表されず、皆様と同じくソワソワしています。久々の更新にもかかわらず、皆様の期待を裏切る内容で申し訳ないですが、今回は数年前からビジネス界では脚光を浴びている「大湾区」について取り上げてみたいと思います。

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※日中間のビジネストラックについては、現在天河区防疫弁及び天河区商務金融局に問い合わせを行ったところ、現在広東省及び広州市にて日中ビジネストラックの具体的実施法を研究中だということで、実際の実施開始日や具体的な申請フローについても詳細情報は未確定となっています。確定にはおそらく時間がかかるとみられ、詳細が分かり次第、皆様にもご報告いたします。

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🔳大湾区とは

中華人民共和国国務院によって制定された、香港(港)・マカオ(澳)・広東省(粤)珠江デルタの9つ都市(広州、深圳、東莞、恵州、仏山、江門、中山、珠海、肇慶を含む)を統合したグレーターベイエリアを目指す地域発展計画です。世界3大ベイエリアである米国のNY・サンフランシスコのベイエリア、日本の東京ベイエリアのような世界で最も重要な経済圏の1つになることを目指しています。

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なぜこんなに注目されているか

一帯一路との相乗効果を期待されています。

中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパへと続く“シルクロード経済ベルト”を指す「一帯」と、中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ“21世紀海上シルクロード”を指す「一路」、この両方を合わせた習近平政権が進める「一帯一路」。

一帯一路とは、今後数十年かけて、これらの地域に道路や港湾、発電所、パイプライン、通信設備などインフラ投資を皮切りとして、金融、製造、EC、貿易、テクノロジーなど各種アウトバウンド投資を積極的に進め、当該経済圏における産業活性化および高度化を図っていくプログラムを指します。

その一帯一路計画と共に大湾区構想は、中国企業のみならず、日本企業にとっても巨大なビジネスチャンスが期待されるため、注目を浴びていると言えます。

大湾区の目標

大湾区に位置する9つの都市にはそれぞれの都市の位置づけと目標が「粤港澳大湾区計画要綱」に掲げられています。下記の表の通りです。

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都市

主要産業

「粤港澳大湾区計画要綱」に基づいた戦略的位置づけ

香港

金融サービス業、

観光業、貿易物流

国際金融、空運、貿易センターと国際航空の中枢、全世界のオフショア人民元業務の中枢、国際資産管理センターとリスク管理センター、アジア太平洋地域国際法律と紛争解決サービスセンター。更なる競争力のある国際大都会。

マカオ

宝くじ業、観光業、

建築業、地産業

世界旅行レジャーセンター、中国とポルトガル語国家商業貿易協力サービスプラットフォーム、文化交流協力基地。

深セン

通信機器製造、

電子情報

経済特区、全国的な経済中心都市と国家革新型都市、近代的な国際化都市、世界影響力を持つイノベーションの都。

産業面では、深センは引き続き自身のイノベーションの優位性を発揮する。深セン市の5G、AI、インターネット空間科学と技術、生命情報と生物医薬実験室などの重要なイノベーションの運び手の建設をサポートし、国際科学技術情報センターと新たなメカニズムの医学科学院を模索・建設するように政府から支持されている。改革開放の方針は、大湾区の一体化の発展を堅持し、深センは香港、マカオとより多くの連携を行う見込みで、科学技術、金融、人材などの多方面を含む。

広州

新エネルギー、新材料産業、海洋産業

国家中心都市と総合的な看板都市、国際貿易センター、総合的な交通中枢、科学技術教育文化センター、国際大都会。

珠海

航空産業、機械製造

特色が鮮明で、機能が相補的で、競争力がある。中心都市との相互連携を強化し、周辺の特色都市の発展を促進し、共に都市群の発展品質を向上させる。伝統産業の転換・アップグレードの集積区、重要装備製造の付属基地。

江門

交通及び海洋装備製造、

電力設備製造

佛山

紡績家具、建築材料

中山

生物医学、装備製造

東莞

汎用と専用設備製造、

金属製品

恵州

石油化学工業

肇慶

現代農業産業

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日系企業の大湾区活用における方向性

1)上記の要綱の各都市の戦略的位置づけと主要産業に基づき、より優位性のある地区で投資する方法

2)中国における大湾区の位置づけと最新政策を併せて、日系企業の優位性を発揮できる可能性から考慮すると、下記3つの方向性が浮かび上がります。

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①  スマート都市群に係る発展

まずスマート都市化の定義から。

スマート都市とは、各種のイノベーションモデルと科学技術を利用して資源配分と運用の効率を高める(例えば、都市交通渋滞を緩和する)、都市管理とサービスを最適化する(例えば、都市計画、インフラなど)、市民生活の質を改善する(例えば、医療衛生、公園など)都市を指します。

スマート都市化には、ハイテクを広い範囲で採用し、EC、環境保護、新エネルギー、イノベーション交通及び道路使用モデル、経済、ビッグデータ、ブロックチェーンなども含まれます。スマート都市は、世界中多くの国ですでに発展し始めていますが、はっきりとした構築や手本が未だにないのが事実です。またスマート都市群になると更に少なくなります。

中国でも理想的なスマート都市を模索・発展に力を入れており、中国国内では、大湾区の都市は比較的に発達していて、スマート都市に対するニーズはより大きく、まさに発展のチャンスと言えます。

また、政府は、企業のイノベーションを奨励し、支援するために、製品開発に資金支援、ローン利息及び研究開発費用の控除などの一連の財政補助政策を打ち出しています。広東省新型研究開発機構として認定された場合、各企業の資金援助額は最高で1000万元に達します。

ハイテク企業と認定された場合、各都市では20~30万元の政策奨励があります。日系企業も大湾区内各政府の奨励と政策支援を活用し、スマート都市に係る関連業界の発展に重点を置くことも可能です。

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②  富裕層養老サービス業界の発展

中国の人口高齢化がますます深刻になることを考慮すると、大湾区も同様な問題に直面することが予想できます。一方で、大湾区内の生活コストが比較的低い都市は、他の都市の定年退職者がそちらに移住して養老するように誘致することができ、全国にも目を向ければ、富裕層高齢者を長期的或いは季節的な居住を誘致することもできます。

大湾区内の肇慶、中山、珠海などの居住環境が理想的で、生活コストも安いので、富裕層養老サービス業界の発展に適していると思われます。また、日系企業も香港の養老サービス管理経験を参考にし、大湾区の異なる地域の特徴とニーズに合わせ、オーダーメイド型の養老サービス機構の設立を検討し、大湾区市場を共同開発することも可能です。

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③  医療健康産業の発展

大湾区は全国の医薬産業の重要区域であり、ここ数年来急速に発展しています。地域内の産業集積の優位性は明らかで、上・下流の産業チェーンは完備しており、特に漢方薬、化学薬品と生産物薬の研究開発、生産と流通の分野で独特な優位を備えています。

⼴東省は漢方薬の重要な産地であり、全国最大の漢方薬市場でもあります。香港は世界一流の医薬研究開発レベルと高水準の病院と医者チームを持っています。

大湾区企業はこの優位を最大化に利用、例えば、研究開発センターを香港に設置し、資金投入を増やし、大湾区の漢方薬資源を元に、独自の知的財産権のある薬、バイオ医薬品を研究開発するなどの活用方法が考えられます。同時に、医療医薬業界も養老サービス業、観光業と一緒に発展することが考えられます。

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政策通知依拠

大湾区ポータルサイトというサイトがあり、ここでは随時、大湾区にまつわる新政策が発表されています。

今回はこの中でも、日系企業にとっても参入チャンスがありそうなものに注目しています。

·   広東省インフラ建設推進に係る3年(2020~2022年)実施方案 粤府弁〔2020〕24号  

·中新広州知識城総体発展計画(2020~2035年)

·大湾区中医薬の高峰を築く方案(2020-2025年)

· 広東省一般空港レイアウト計画(2020-2035年)

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🔳大湾区の達人にインタビュー

2020年8月初旬、大湾区へ香港企業の誘致、進出サポートを行っている前海港駿達(深圳)商業服務有限公司の董事Mr.Rockyにインタビューを行いました。

Mr.Rockyは“大湾区の達人”とも呼ばれる方で、今までに200件以上の企業融資のサポート携わってきた方です。大湾区の達人Mr.Rockyから見る日系企業の大湾区活用法について聞いてみました。

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Q1. Mr. Rockyからみる大湾区とは?

まるで宝箱のように感じられることの多い大湾区だけれど、実際の習近平の目的は大湾区にはなく、やはり一帯一路に向けられている。大湾区の面白いところは、各都市がそれぞれの目標を掲げ、それに対して国のサポートを得ようという、国ありきの政策ではないところ。その一帯一路計画が血管だとするならば、大湾区はその血液を大陸内に循環させる要となるところ。

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Q2. 香港企業へ前海、横琴、南沙の進出を勧める理由とは?

政策上では、前海、横琴、南沙は国家自由貿易区にあたり、理論上では政策内容にも差はないが、各地方によって重点ポイントと位置づけが異なる。

☆深圳・前海地区について:

前海は、深圳の特区中の特区で、深圳と香港の強大なサポートを得ている。首席の「祝福」と国家憲法の改正と共に、深圳の2017年のGDPはすでに香港を超え、上海を除けば中国国内において最大の金融センターである深圳の中に、前海というわずか15平方キロメートルの場所をマンハッタンのように変えてしまおうといようなところである。

加えて香港に隣接している点、深圳・香港との合作推進下において、南山科学技術園という北京中関村のような有名な科学園もあり、インターネット金融というような、未来の経済発展の礎になるような場所である。

☆マカオ国境に隣接する横琴について:

マカオ・横琴モデルは、3個の自由貿易区において最も小さい経済体である。しかしながら、最も兄弟な項目としては、観光・レジャー・ビジネス会議などで、香港・儒はい・マカオ大橋の開通によって、その産業の多様化は進むと思われる。ハイテクインターネットや金融については、前海と競うことになり、ハイエンド人材がそこへ行きたがるかどうかが鍵になる。

☆広州・南沙地区について:

南沙は、クロスボーダーECの非常に重要な場所になると考えている。南沙自由貿易区の面積は前海+横琴よりも広く、保税倉庫も十分で、埠頭設備も充実している。広州市自体が元々貿易都市として2000年の歴史があり、現在国内ECの基地となっており、物流の拠点、ECプラットフォームの運営、インターネット広告などの業界人材の優位性においては非常に顕著である。

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Q3. 日系企業が進出するとすれば、どのような業界がよいか?

まず日系企業の弱いところはその意思決定、行動が遅いところ。今の中国を見ていればわかるように、日系企業はこれまでの統治システムとビジネスモデルでは、その変化に対応できないと考える。そのため、進出するのであれば、前提として全てのシステムを中国子内に構築する事が鍵となる。

その上で、一概にどの業界がよいとは言えないが、個人的な意見として挙げるとすれば、クロスボーダーECを利用して、お菓子、化粧品、薬を販売すること。しかしながら、化粧品、薬においては、中国国内の制限をクリアしなければならない。

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Mr.Rockyの著書『走進大湾区~港商如何落地前海/横琴/南沙』超媒体出版

香港の公共図書館の所蔵図書となっている本書は、普通語と広東語のミックスで書かれていますが、会話形式のため割と読みやすいと思われます。

香港企業の大湾区活用方法を学ぶと、日系企業の大湾区活用のヒントがあるかもしれませんね。

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