香港の会計監査制度

香港では会社条例141条に基づき、休眠状態を除く全ての香港法人に対して、会計監査を適切に行うことが義務付けられています。

顧客日系企業の中には、香港の監査がどのように行われ、どのような準備を進めればいいのかよく分からないという声をいただくことがございます。そのため、監査人から資料提供の依頼や情報開示を求められた際にも、なぜそのような情報開示をしなければならないのかが分からず困惑されることもあるでしょう。

そこで当ページでは、香港で行われる監査手順の要点について、簡単に説明させていただきたいと思います。

1. 会計監査とは:

企業が「会計記帳」により作成した財務諸表が、会計年度中に行われた経済活動や商取引を、正確に反映されているを確認する過程を指します。

そして、その監査を行った監査人が、監査の結果として財務諸表等の適正性に関する意見表明を”独立監査人の報告書(Independent Auditor's report)”にて報告することになります。

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2. 監査報告書とは

1)監査報告書を何故作成するのか

監査報告書は、ステーク・ホルダー(利害関係者)と呼ばれる機関や個人に対する開示を目的としており、投資や商取引の意思決定の際に使用されます。そのため、通常監査報告書は毎年開かれる年次株主総会において、株主に対して開示されます。

主なステーク・ホルダー

・株主

・銀行、金融機関などの借入先

・政府(税務局) など

なお、監査報告書で示される監査人の意見は、株主に向けてのみに有効となっているため、監査人は株主以外に対する意見の責任を持ちません。

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2)監査報告書の構成内容

一般的に、香港における監査報告書は、以下の2種類の報告書(Reports)と財務諸表等(Financial Statements)により構成されています。

  • 取締役報告書(Report of the Director’s)
  • 独立監査人の報告書(Independent Auditor's report)
  • 財務諸表(Financial Statements)

通常これらのうち、企業が取締役報告書および財務諸表を作成し、上述の通り、監査人が監査結果を報告する書面として独立監査人の報告書を作成しています。

しかしながら、多くの企業の場合、監査後の財務諸表や取締役報告書については、顧客企業から必要となる情報を得た監査人がまず作成し、最終的その内容において企業の取締役が確認・承認を行い完成させることが多く、弊所でもそのように対応しております。

※取締役は、取締役報告書の真実性および財務諸表などの内容が、会社の財政状態および経営成績等を適正に表示するよう作成され、取締役会にて承認されたことを受けて、各報告書へ署名を行います。

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3. 監査のスケジュールと期限について:

監査報告書は、税務上損失が続いている状態などのような場合を除き、通常は香港税務局に定められた”税務申告期限”までに税務局へ提出しなければなりません。

したがい、企業側において監査報告書を完成させなければならない期限日(例:日本本社の取締役会までに提出しなければならない等)がなかったとしても、遅くとも税務申告期限日までに必要書類を提出出来るよう監査スケジュールを決める必要があります。

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☆ 決算月毎の税務申告期限

本決算月 税務申告期限
1~3月 11月15日
4~11月 4月30日
12月 8月15日

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☆ 税務申告期限を目標とした概算監査スケジュール:

内容 企業 監査人 最遅対応期限
事前調査・確認 期限4カ月半前まで
監査に必要となる会計資料の提供 期限3カ月半前まで
監査業務開始
監査報告書ドラフト提出 期限1カ月半前まで
監査報告書ドラフトへの承認 期限1カ月前まで
税務局への提出・申告 税務申告期限

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事前調査・確認

企業のビジネスや商流、重要な会計方針、対象会計年度の予想される財務状況等について、在庫棚卸の立ち会いが必要かどうか、監査業務の開始日や期間など監査における確認、相談。

監査に必要となる(代表的な)会計資料の提供

年度の本決算日を迎えた企業は、財務諸表の他にも以下の会計資料が監査の際に必要となるため、事前に準備・作成しなければなりません。

  • 会社の基本情報資料(株主構成図、定款、Annual Returnなど)
  • 財務諸表(損益計算書、貸借対照表を含む)。
  • 総/補助 勘定元帳や各勘定科目の明細資料。
  • 証拠書類(例:インボイス、契約書など)。

など。

監査業務について

代表的な監査業務の一つとして、監査人は賃借対照表、損益計算書の構成要素の中で、重要性またはリスクの高い科目に注目し、それらの項目が真実かつ公正であることを裏付けるために、監査証拠の収集を行います。

その監査証拠の中には、企業の取引先(顧客、仕入先)や銀行などに対して、年度末の残高や取引高に対して承認を得るための確認書類を発行します。もし、先方との認識残高や取引高において、大きな差額が発生しているようであれば、なぜ差額が発生しているのかを確認しなければなりません。

監査報告書ドラフト提出・承認

  • 監査報告書ドラフトが監査人から企業へ送られ、確認およびドラフトに対する承認を行う。
  • 承認後、製本した監査報告書を監査人から企業へ郵送し、取締役から承認、署名を行う。
  • 取締役が承認・署名した監査報告書を監査人へ返送し、最終的に監査人が監査報告書に署名を行い、企業へ返送、税務局へ提出する。

税務局へ提出・申告する必要書類(一般的なケース)

  • 監査報告書
  • 税金計算書
  • 法人税申告書(未発行の場合は発行されてから。)

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最後に

日本では、取締役が取締役報告書や財務諸表等へ署名を行うというような実務がないため、戸惑ってしまう事があるかもしれません。

しかしながら、香港では会計監査だけではなく、税務においては会社法においても取締役の署名はごく一般的な実務であり、また署名には一定の責任が伴います。

そのため、自社の取締役報告書および財務諸表等の内容を改めてご覧いただき、会社に生じた動きが適切に反映されていることをご確認いただければと思います。

監査人と十分なコミュニケーションが取れていないなど、何かご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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お問い合わせ先リンク

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