香港ビジネス(進出)ガイド

日本そして海外から無数の投資家が香港にやってきて、なぜこれほど活発な投資活動や商活動を行ってきたのでしょうか。

過去十数年間にわたり、香港・中国の両地域で日系顧客に高度な専門業務を提供してきた弊社の知識と経験をもとに、まずは香港のもつ「無類のメリット」と呼ばれる香港進出の魅力についてご紹介いたします。

香港の優位性について:

1. 行政の不干渉主義「レッセフェール」(経済自由度指標2019年:25年連続 世界第1位)

香港は基本的にすべて市場経済の原理に任せて政府としては必要以上の規制を加えない、「レッセフェール(不干渉主義)経済政策」を採用しています。

よって銀行業、証券業、保険業などの特殊分野を除いて、一般のビジネスのオペレーションに対して行政からの規制やコントロールがきわめて少ないのが現実です。

-一般的に海外から香港への投資規制がない

-特殊分野を除き、一般的な事業であれば許認可が不要

-香港法人は最低資本金1香港ドルから設立が出来る(資本金規制がほぼない)

-18歳以上であれば、外国籍であっても取締役1名/1株主で法人設立はが可能

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2. 低税率国のため税制面によるメリット

香港は低税率国家であり、支払税金は先進諸外国に比べて負担の軽いものとなっています(事業所得税の最初の200万香港ドルまでは8.25%、それ以上は16.5%の2段階税率(グループ会社に1社のみ適応)そして個人所得税の最高税率は15%)。

それにもかかわらず年間の政府予算を見ても政府財政は安定していますし、公共サービスは非常に充実しています。自由港としての世界的地位を築き上げ、低税率で非常に簡単な徴税システムを数十年間存続させてこられたのは、優れた政策に起因しているのでしょう。

  • 税務上の繰越欠損金は、期限なく永続的に繰り越しができる
  • 配当収入、株式譲渡益などのキャピタルゲイン、そして香港域外が源泉となる国外源泉所得(オフショア所得)などは、基本的に非課税
  • 中国法人が日本法人の子会社の場合、中国側での源泉徴収税が10%ですが、香港法人の直接子会社であれば、5%の優遇税率が適応できる。(条件を満たした場合)

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3. 為替管理規制がない

香港では「為替管理規制」というものは一切存在しません。また近い将来、政府が為替規制を導入するという見通しはさしあたってありません。

資金が簡単にそして規制無しで流出・流入できるのは、世界の中でも自由な金融・通貨市場であることの証(あかし)です。このことは会社の資金を操るに際しても大きな融通性をもたらします。投資家が中国へ投資をする際に、必ず香港を経由させて資金を注入するのも、この自由な金融制度のもと安全に資金を移動できるからに他なりません。

  • 香港ドルは米ドルと連動するペッグ制を採用しているため、通貨が安定している。
  • 外貨取引に対して豊富なヘッジ手段がある。(中国本土では限定的)
  • 人民元を含む主要国通貨の送金が可能かつ手数料が安い。

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4. 輸出入規制に関して

自由経済地区としての香港の名声と成功は、「輸入に関する規制がほとんどない」ということによるものが大きいでしょう(もちろん薬物や銃器などの規制は存在します)。

一方の「輸出」に関しては、GAAT(ガット:関税と貿易に関する一般協定)のルールによって統制されていて、多くの品目(たとえば繊維など)でその加盟国への輸出に数量規制があります。しかし、それらの品目とその原材料の「輸入」には一切規制が設けられていません(ただし炭化水素、酒類、たばこなどは輸入課税を支払う必要がある)。

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5. アジアの中心地=ビジネスの拠点地

香港は、太平洋地域において本社機能を置く際にもっとも適している場所だと一般的にいわれていますが、それは東南アジア、韓国、日本、そして中国本土などを結ぶ中心に位置していて、絶好の立地条件であるからです。

時間面を見ても、香港時間(日本との時差は1時間)はこれら地域と大きな時差はなく、ニュースや情報の出入に対する検閲や規制がないため、一旦ビジネス関連のニュースが香港を揺るがすと、直ちにこれら商業圏に速やかに行き渡るため、統括拠点としての立地条件が良いといえます。

また、近年海外からの製造業者の生産拠点として成長を続ける広東省珠江デルタ地帯への玄関口でもあり、輸出入などの物流、代金決済、その他各種専門サービスなどのニーズを香港にもたらしています。

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香港法人の活用法

香港進出にはさまざまな会社形態が考えられますが、その中でもっとも多く採用されている「有限公司」、香港法人を設立し他場合の、上述のメリットを活用する方法の一例を紹介いたします。

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1. 投資持株会社として

- 中国ビジネスの株主に対するリスクの防波堤

香港法人の活用方法としてよく見受けられるケースが、中国法人を設立する際、日本から日本本社からの直接投資とはせずに、香港法人を設立して間接的に投資するケースです。

これは、中国でビジネスを展開する際に起こりうる、労使間問題、保税工場の通関問題、移転価格税制などの税制問題などのリスクを、香港会社をクッションにすることで、日本本社への各種リスクの防止策となります。

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- グループの金融会社・統括会社として

中国法人のみならず、他の海外にあるグループ会社を日本本社からの直接出資とするのではなく、やはり香港を中間の統括会社として利用されるケースがあります。

これは、他の国に比べ資本規制がほとんどない香港法人から資金を必要としている国へグロスボーダーローンを行ったり、利益が出ている海外グループ会社から香港法人へ配当を行ったりとグループ全体の資金繰りを行う金融会社として利用しているからです。(*後述の通り配当収入は香港では非課税)

また主要通貨や為替リスクのヘッジ手段において多様性がある香港へ、このローンや配当などの資金移動やグループ間取引などで生ずる各国グループ会社の為替リスクを香港法人へ集中させることも目的としているからです。

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- 富の蓄積・優遇税率の享受

それぞれ資産を有する複数の子会社から配当を得るための持株会社として、香港法人を使うことが多く行われています。香港では、子会社の利益を香港持株会社へ配当として移す際には、この配当収入は非課税であり、さらに香港法人の親会社への配当に対して源泉徴収税などは課せられません。

また中国法人のビジネスが軌道にのり利益を配当する場合においても、香港・中国間の優遇税制および香港は配当収入が非課税である点を利用することで、中国から最終株主である日本本社へ直接配当する場合よりも、多く配当金額を受領することが出来ます。

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- 遺産相続やSPC(特別目的会社)による証券化など

その他、香港法人は上述のような目的で設立されるにとどまらず、煩雑な手続きを要する不動産や事業の証券化や、遺産相続計画に用いるオフショア信託などの高度なタックスプラン目的で使用されることもあります。緻密なストラクチャリングと適切な手順とを踏んで準備を行えば、相続税および贈与税の大きな削減に効果を発揮することができます。

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2. 三国間貿易(リ・インボイシング)を行う商社として

通常の貿易取引は、輸出者(仕入れ先)と輸入者(販売先)の二国間で行われますが、その間に香港法人が介在し、3国間で貿易取引することをリ・インボイシングと呼ばれています。(*香港法人が介在することにより、再度インボイスを発行することになるから。)

香港法人が介在したとしても、商品は香港を経由させず直接輸出者から輸入所へ郵送し、書類や決済のみを香港経由で行うというような活用もされています。

図例

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- 海外グループ間取引の為替リスクを香港法人に集中させる

二国間で直接取引でどちらかの国の通貨で取引を行えば、どちらかの国が為替リスクを負うことになります。先述のようにその為替リスクを香港に集中させることが出来ます。ただし、グループ間取引に利用する場合は、日本の移転価格税制に注意する必要があります。

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- サプライチェーンファイナンスの運営

サプライチェーン・ファイナンス(以下、SCF)とは、製品の原材料・部品の調達(仕入れ)から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れである企業のサプライチェーンにおいて、必要な資金をタイムリーかつ低い金融コストなどで行うことを図る金融サービスを指します。

このSCFは銀行などの金融機関が提供していますが、その役割を上述のグループファイナンスのように海外のグループ会社に対して香港法人が代わりに行うよう活用することで、運営の円滑とコストをさらに削減することを主眼としています。

例えば、中国にグループの製造拠点を設立したとします。商流は仕入れ先から材料を$80で調達、買掛金の支払サイトは15日、その後加工し製造した商品を$100販売を行い、売掛金の支払サイトは60日、$20の粗利を稼ぐといったシンプルな流れだとします。

この場合、中国法人が必要とするファイナンス(資金調達)は、

  • 掛け取引($80/$100)のファイナンス
  • 在庫のためのファイナンス
  • 返品リスクのためのファイナンス
  • 製造コスト・販管費のためのファイナンス
  • 固定資産購入のためのファイナンス

等々、莫大な運転資本が必要となります。

そこで、上述した金融会社としての機能を持たせる香港法人に、この運転資本金の一部を、掛け取引に介在するリインボイスを行うことで負担させます。

  • 仕入取引:中国法人が原材料調達にかかった費用を掛け取引$85で行い、掛け金の精算タイミングを調節してあげる。(例:完成品を販売する時まで支払サイトを延長するなど。)
  • 販売取引:中国法人が完成品を出荷する時に、ネッティングを行い($95-$85)差額の$10を支払う。

こうすることで、掛け取引のみではなく、在庫および完成品の返品リスクのファイナンスも実質香港が負担することになります。

またこの手法は、リインボイスという物理的な距離に左右されない取引となるため、中国法人のみならずその他の国の関連会社に対して金融支援を行う事が可能となります。

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香港法人維持に必要となる年間法定手続き

香港で会社を設立してそれを維持していくためには、以下のような法定業務が義務づけられるので注意する必要があります。往々にして、以下の業務は香港公認会計士に任せることになっています。

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1 会社情報の登記・更新

会社登記所へ会社の基本情報が記載された年次報告書(Annual Return)を1年に1度会社登記所へ提出する必要がある。遅延した場合は罰金が課せられるので注意。またその会社基本情報に変更が生じた場合は、その都度会社登記所へ届ける必要がある。これらの業務は会社秘書役員の義務である。

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2 法定監査

香港ではすべての有限責任会社に法定会計監査を受ける義務が生じる。香港の公認会計士に業務を依頼する必要がある。初年度は、設立日から18ヶ月以内に第一回の決算を行い、監査を受けることが義務付けられています。

詳細はこちらのページをご参照ください。

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3 税務申告(法人税/従業員への支払い)

法定監査完了後、監査済み決算書を基に税金計算書を作成の上、法人税申告書を記入し税務局へ提出する必要があります。通常はこれらも、専門事務所を税務代行業者として任命・依頼します。

また法人税の税務申告期限は、会社の決算日によって以下の通り分けられます。

  • 決算が1~3月の場合 : その年の11月15日まで
  • 決算が4~11月の場合 : 翌年の4月30日まで
  • 決算が12月の場合 : 翌年の8月15日まで

そして毎年4月~5月にかけて、雇用主の義務として従業員へ報酬をいくら支払ったかも申告しなければなりません。その申告後、各従業員へ個人所得税申告書が発行され、各従業員により申告することになります。

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香港・シンガポール租税条約締結国比較表

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香港へ進出または事業運営に関する具体的なお問い合わせは、お問い合わせフォームよりご相談ください。

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