NEWS

ニュース

ボンドコネクト<サウスバウンド>は2021年内に開通予定【大湾区情報レター Vol.7】   

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。 

 

 2021年2月24日に発表された2021/22年度香港政府の財政予算案にて、2021年内に債券通の南北間双方向取引を目指していると発表されました。債券通の南向通の実施により、中国本土の投資家は多様な資産配分を行うことが容易になり、香港の金融業界にも大きなチャンスがもたらされます。HKMA及び中国人民銀行は、債券通の南向通取引を促進するために作業チームを立ち上げ、年内に開通できるように目指しています。



 香港の財務長官陳茂波(ポール・チェン)氏は、3月4日に行われたオンラインフォーラムで、HKMAは中国本土と緊密に協力しており、今年後半の頭頃に、中国本土の投資家が香港を経由して国際債券市場にアクセスするために新たなチャネルを開くため、債券通の南向通を開始する予定であると述べました。

 

 

目覚ましい成果


 中国本土の債券市場の発展と開放に関しては、債券通が積極的役割を果たしています。中国本土では2010年にすでに海外の投資家が中国本土の債券市場への直接アクセスを許可しています。2017年にHKMAと中国人民銀行が共同で債券通を立ち上げて以来、債券市場は大幅に開放され、わずか2~3年で国際投資家に広く認められるに至っています。

 

債券通は、国際投資家が香港のプラットフォームを利用し、国際基準に精通し、それに沿った規制環境と市場慣行の下で、長年協力してきた金融仲介業者を通じて、利便的な方法で本土の債券市場へアクセスすることができています。

 

 

 債券通は、スタートしてわずか4年弱で目覚ましい成果を上げています。2017年に北向通が開通して以来、中国銀行間債券市場(CIBM)への国際投資家の関心の高まりと資金流出への懸念に対する早期緩和により、徐々に発展してきました。現在、債券通は世界の2,400人以上の機関投資家の参加を呼び込みました。また、一連の主要債券インデックス(ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合インデックス、JPモルガン エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・グローバルなど)への中国国債の組み入れを促進しました。



 2020年には、債券通の一日平均取引金額は300億人民元に迫り、海外投資家のCIBMでの総取引金額の52%を占めています。債券通の人気は、香港が中国本土市場への投資における第一選択チャネルであり続けていることを示しています。

 

 

次なるステップ


 債券通の次なるステップは、南向通を開設することになります。これにより、中国本土の投資家が香港を通じて国際債券市場にアクセスするための新たなチャネルが開かれることになります。

 

 中国本土の債券市場はまだ外の世界に門戸を開く大きな可能性を秘めており、国際的な資金の流入は間近に迫っています。一方で、国際投資家が本土の債券市場へ参加するためのメカニズムや付帯措置にはまだ改善の余地があります。従って、債券通の最適化は継続的課題となっています。中でも、海外投資家の投資ポートフォリオに占める本土債券の割合が高まるにつれ、為替、金利、流動性リスクを管理する必要性も高まり、より多様なリスク管理ツールの提供が優先課題の一つとなっています。



 さらに次なるステップとして、HKMAは中国本土当局と協力して、債券通のトレーディング商品の種類をレポ取引やその他のデリバティブ(金利スワップなど)を含めることを検討しながら、既存の為替ヘッジ取引を引き続き強化していきます。また、北向通の成功経験は、HKMAが南向通に関する研究を進めるための確固たる基盤となります。

 

HKMAは今後も中国本土当局とのコミュニケーションを維持し、南向通をタイムリーに立ち上げることが、相互利用における今後の作業の中での重点事項の一つとなっています。

 

 

 

【参考資料】

2020/21年度香港政府財政予算案

ポール・チェン財務長官「サウスバウンド・ボンド・コネクトは下半期の早い段階で開始される」 (頭條日報)

債券通、回顧と展望

過小評価されている香港の債券マーケット

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
  2. 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
  3. 法律法規の解釈や特定政策の実務応用及びその影響は、それぞれのケースやその置かれている状況により大きく異なるため、お客様各社の状況に応じたアドバイスは、各種の有償業務にて承っております。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

Contact Us お問い合わせはこちら