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広州市と深圳市にてマルチカレンシー決済取引試行開始【大湾区情報レター Vol.18】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

 7月26日、広東省広州市、同深圳市、福建省福州市、浙江省杭州市の4都市で、国内通貨と外貨を一つにまとめたマルチカレンシー口座の開設が可能となりました。 大湾区では広州市と深圳市が率先し試行開始したことは、広東省の銀行口座管理システムの改革に新たな一歩を踏み出したことを示しています。

 

 マルチカレンシー口座の最大の特徴は、口座開設時にマルチカレンシー決済サービスを一括して申請できることであり、口座サービスの利便性を効果的に高め、資金運用の効率化を図ることができ、社会的コストの削減やビジネス環境の最適化において大きな意義があります。

 

 

資金の性質が同一であれば、開設する口座は1つだけで可能

 「大湾区発展計画概要」には、「大湾区の発展に適合した口座管理システムの構築を検討」することが明記されています。

 

 今回試行されたマルチカレンシー口座では、「通貨種類+口座番号」の形式を用いて、人民元銀行決済口座、外国為替口座、クロスボーダー人民元口座、自由貿易口座(FT)、非居住者口座(NRA)など、ほぼすべての銀行口座を網羅した銀行口座決済システムを構築しました。

 

このシステムにより、預金者が1つの銀行口座を開設することで、多通貨での資金の受領、決済、集中管理が可能となり、人民元口座と外貨口座の相乗効果による管理がさらに強化され、企業や個人による国内通貨と外貨資金の使用および管理が大幅に促進されます。

 

 

企業への利便性

 中国農業銀行広東省支店の関係者によると、企業が米国、日本、ドイツと商品貿易を行っている場合、従来の口座開設ルールでは、米ドル、日本円、ユーロの3通貨それぞれの外国為替決済口座を開設する必要があったが、このマルチカレンシー口座の試行開始後は、資金の性質が同じであれば、異なる通貨であっても一つの口座のみ開設すればよくなるとされています。

 

 また、試行前には、異なる通貨の銀行口座を開設するために、複数の資料提出、複数の口座管理、さらには銀行に何度も足を運ぶ必要があったが、試行後には、国内通貨・外貨建て決済口座における手続きをワンストップで行うことができるようになります。

 

 

広州市、深圳市の銀行144店舗で即日手続き開始

 華際国際有限公司の財務担当者によると、会社の国際収支業務やクロスボーダーの人民元決済量が多いため、従来は複数の外貨口座を開設する必要があり、またそれぞれの口座で個別に記帳や照合管理を行う必要がありましたが、「現在は1つの口座で複数の通貨の資金を管理することができ、その結果、企業のコスト削減と効率化をもたらしている」と述べています。

 

 中国人民銀行広州支店と中国人民銀行深圳市中心支店の発表によると、即日、広州市の中国工商銀行広東省支店、中国農業銀行広東省支店、中国銀行広東省支店の計87支店、深圳市の中国工商銀行深圳市支店、中国銀行深圳市支店、招商銀行深圳支店などの計57支店にてマルチカレンシー口座が利用できるようになったとされています。

 

 中国人民銀行広州支店は次のステップにおいて、新たな発展のために広東省での重点戦略としての展開に焦点を当て、銀行口座管理の改革と革新を引き続き拡大し、大湾区の発展に適合したマルチカレンシー口座決済システムを確立し、大湾区市場プレーヤーの活性化ならびに広東省の実体経済の良質な発展のため、金融面からの効果的サポートを提供していきたいと考えています。

 

 

 

【参考資料】

・広州市と深圳市にてマルチカレンシー決済取引試行開始

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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