世界市場の7割超の大湾区のエンタメ設備の産業規模 広東製造業とエンタメ消費の融合【大湾区情報レター Vol.103】
- 公開日 2026.07.10 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。
2026年4月25日夜、広州の越秀山スタジアムで、2026年広東省サッカースーパーリーグの開幕戦が行われました。この省レベルのリーグ戦の背景には、広東省の製造業による協業体制があります。ディスプレイパネルからタイム&スコアリングシステム、オーディオアンプからスマートウェアに至るまで、産業チェーンの各企業が連携した設備達が、試合の中で機能しています。
現在、広東省では「両業協同」(製造業と生産性サービス業の連携)が、産業モデル転換の重要な方向性となっています。長年にわたりGRP(地域総生産)で全国トップを維持してきている広東省にとって、製造業は基盤であり、そしてサービス業は成長の原動力であり、両者の境界線は、ますます多くの場面で曖昧になってきています。
文化、観光分野では、スポーツイベントにはハードウェアの支援が必要不可欠であり、エンタメ公演、興行には設備、機材に依存しています。また、工業跡地の有効活用は、製造と消費の直接的な関わりを示しています。
広東スーパーリーグ会場が電子産業の集大成の場に
そんな中広東スーパーリーグの開幕戦は、広東省の電子情報製造業の集大成の場となりました。
- ピッチサイドに設置の大型LEDスコアボードや円形広告ディスプレイのコアパネルは、TCL華星や京東方の広東工場で製造
- 4K対応エンコード・デコード機器のソリューションは、華為海思(ファーウェイ・ハイシリコン)や広州視源(CVTE)が提供
- タイム&スコアリングシステムは広州粤芯半導体(CanSemi)が提供
- 会場の音響アンプモジュールは仏山で生産
- 選手が着用するスマートモニタリングベストは深圳のハイテク企業による製品
ひとつの省レベルのサッカーリーグ戦により、チップからパネル、そして完成品端末に至るまで、完全な産業チェーンがつなぎ合わされました。広東省のハイパーハイビジョン映像産業規模は全国の40%以上を占めており、このうちスポーツイベント向け専門ディスプレー機器は、この3年間で年平均25%以上の成長を遂げています。
TCL華星や京東方などの企業は、大型LCDやMini LED分野でグローバル市場の主要シェアを誇っています。視源股份や康冠科技などは、スポーツ会場向けのカスタマイズされたディスプレー端末を提供しています。
さらに、万力タイヤ、広汽領程といった広東省の製造企業も、大会の冠スポンサーや公式車両提供などを通じて、文化・観光消費市場に直接関わっています。
広東省のエンタメ設備は、世界市場を支える重要な基盤
2026年の第1四半期、広東省のエンタメ設備輸出は20%から35%の成長を達成しました。その主力となっているのは、プロ向けの照明機器、音響機器、および制御システムです。大湾区のエンタメ設備の産業規模は中国全土の約9割を占め、世界市場シェアは70%を超えています。
中山、広州、深圳の3都市は、世界最大のエンタメ照明産業クラスタを形成しています。光源のパッケージングからスマート制御システムに至るまで、ほとんどの工程は50キロ圏内で調達・連携が可能であり、設計から納品までを効率的に実現しています。
中山熠日照明(EK Lighting)は、2025年に開催された第15回全国運動会の開会式において、1,000台近くの照明機器を提供しました。また、同社はイタリアのブランドであるClaypaky社の買収を完了し、製品の輸出からグローバル運営への飛躍を遂げています。
さらに、広州励豊文化などの企業は「製造」と「コンテンツ」の橋渡し役を担っています。これらの企業は、大型の光と影による没入型演劇「黄埔!黄埔!」などの舞台作品において、自社開発の音響・照明・映像技術と地域文化を融合させ、再現可能な没入型演芸ソリューションを構築しています。そして、スポーツ大会の開閉会式、音楽フェスティバル、観光地のナイトツアーなどの多様なシーンを支えています。
工業跡地が複合型文化観光空間のプラットフォームに
過去5年間で、広東省では60箇所以上の工業跡地が文化・観光施設への改修を完了、または改修進行中です。
これにより、関連投資は200億人民元を超え、「日中の産業観光+夜間の消費」を組み合わせた複合型空間が数多く形成されています。広州市の旧工場や旧埠頭、仏山市のディーゼルエンジン工場、深セン市の旧工業団地、珠海市の染色工場などが、都市型消費のランドマークへと生まれ変わりつつあります。
広州の「琶醍(パーティー)」は、珠江ビール工場の蒸気タービン棟と麦芽サイロを改装したものです。
空間の要素として蒸気タービン発電機や粉砕機などの重機を残し、使われなくなった麦芽サイロはセレクトショップやクラフトビール体験スペースに生まれ変わり、川沿いの文化・観光消費エリアを形成しています。
1904年に建設された太古倉埠頭は、10年以上にわたる改修を経て、T字型埠頭や英国式倉庫群が修復されました。そこには映画館、ライブハウス、デザイナーズホテルなどの商業施設が導入されています。2024年の来訪者数は1,000万人を突破し、夜間消費の割合は8割を超えました。
広東省においては、製造業が施設とツールを提供し、サービス業がコンテンツと運営を担っています。両者が連携することで文化・観光消費や夜間経済の発展を支え、産業転換の具体的な成果が、生産と生活の融合の中で実現されています。
【参考資料】
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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