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中国政府、外資誘致のための 24の施策を発表【ニューズレター Vol.94】

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。

 

背景

外商投資環境の更なる改善、投資促進作業レベルの向上、外資誘致の強化のため、中国国務院は2023年7月25日、「外商投資環境の更なる改善と外資誘致強化に関する意見」を提起した。

 

 

 

影響

外商投資環境を更に改善し、外資誘致を強化する。各地は、政策の相乗効果を高めるため、現地の実情に応じた補完的な措置を導入することが奨励される。商務部は関連部門と連携し、指導と協調を強化し、政策推進をじゅうぶんに行い、政策措置を適時に実施することにより、外国投資家にとってより改善された投資環境を構築し、外国投資家からの信頼を効果的に高める。

 

 

 

主要内容

一、外資活用の質の向上

  1. 重点分野における外資導入を拡大する。外資企業が中国において研究開発センターを設立することを支援し、外資企業と中国国内企業と共同で技術研究開発、産業応用を行うことを支援し、外資企業及び外資企業が設立した研究開発センターが大規模な科学研究開発プロジェクトを行うことを奨励する。関連法規を遵守することを前提に、生物医学分野における外商投資プロジェクトの進出・生産を加速させ、外資企業が法律に従った上で中国国内において海外で既に販売展開済の細胞治療薬及び遺伝子治療薬の臨床試験実施を奨励し、海外生産から中国国内生産に移管の医薬品の販売登録申請に関する申請プロセスを改善する。先端製造業、現代サービス業、デジタル経済などの分野における外資企業が、各種専門学校(技能専門学校を含む)、職業訓練機関とともに職業教育及び職業訓練実施に関する支援を行う。

  2. サービス業の開放拡大に向けた総合的試行実証の先導的役割を十分に発揮する。国際的な高水準の経済貿易ルールに対応し、サービス業の開放拡大に向けた総合的試行実証の早期かつ試験的取り組みを強化する。知的財産権、株式及び関連の実体資産を組み合わせた担保融資の実施を奨励し、知的財産権証券化の標準化を支援する。株式投資及びベンチャーキャピタルの株式譲渡の試験的地域の数を計画的に増やす。中国国内インターネットのVPN事業(外資持株比率50%以下)、情報サービス事業(オンライン出版サービスを除くアプリケーションショップのみ)、インターネット接続サービス事業(ユーザー向けインターネット接続サービスのみ)などの付加価値電信サービスを開放するための試験地域の数を着実に増やす。

  3. 外資誘致のルートを拡大する。適格外国投資家による投資会社と地域本部の設立を奨励する。投資性会社によって投資された企業は、国の関連規定に従い外商投資企業の待遇を享受できる。適格海外投資事業有限責任組合(QFLP、Qualified Foreign Limited Partner[1])による中国内投資の試験的プロジェクトを綿密に実施し、QFLPのための健全な外国為替管理の円滑化システムを確立し、中国外から集めた人民元をもって直接中国国内投資を行うことを支援する。

  4. 外資系企業の段階的移転を支援する。

  5. 外資プロジェクトの建設促進メカニズムを改善する。主要かつ重要な外資プロジェクトに取り組む専門チームのメカニズムを改善し、要因支援、政策支援、サービス保障を強化し、外資プロジェクトの早期調印、早期着工、早期操業、早期生産を促進する。

 

二、外資企業の内国民待遇保障

  1. 外商投資企業が法律に従った上で、政府調達活動に参加することを保障する。

  2. 外商投資企業が法律に基づき対等に基準制定に関与することを支援する。

  3. 外商投資企業が平等に支援政策を享受できることを保証する。産業発展や内需拡大を支援するために各地方が導入する政策は、法令で明確に規定されているものや国家安全保障分野に関わるものを除き、ブランドを限定したり外商投資ブランドであることを理由に、外商投資企業及びその製品・サービスを排除されたり差別されたりしてはならず、外商投資企業及びその製品・サービスが政策を享受するための追加条件を設定してはならない。

 

三、外商投資保護の継続的強化

  1. 外商投資権益保護のメカニズムを改善する。国際投資紛争処理の作業メカニズムを改善し、当事者責任を明確にし、紛争予防を強化し、国際投資紛争を適切に処理する。

  2. 知的財産権の行政保護を強化する。特許権侵害紛争に対する行政審判制度を改善し、行政審判の執行を強化する。展示会における知的財産権ワークステーションの活用、出展製品の著作権、特許権、商標権などの知的財産権の申請受理、効果的な権利侵害予防措置の提供など各地域を支援する。

  3. 知的財産権の行政執行を強化する。外商投資企業の知的財産権を侵害する行為を断固として取り締まり、地域を跨いだ連鎖的に行われる知的財産権侵害に対し特別な取締りを実施する。

  4. 対外関連の経済貿易政策・規制の策定を標準化する。対外関連の各種経済貿易政策・措置の策定は、透明性と予見可能性を高めることに重点を置くべきであり、法律に従い外商投資企業の意見を聴収し、新たに導入される政策・措置に合理的な移行期間を設けるべきである。

 

四、投資運営の利便性をレベルアップ

  1. 外商投資企業の外国人従業員の在留政策を最適化する。出入国政策・措置を継続的に最適化し、外商投資企業の外国人高級管理職・技術者及びその家族の出入国・在留に対し、利便性を向上させる。主要な投資誘致国・地域の在中国大使館・領事館に対し、多国籍企業の高級管理職のビザ申請に対する利便性を引き続き向上させるよう指導し、海外の事業代理店を通じ入国政策を速やかに公表する。適格外商投資企業が雇用且つ推薦する外国人高級管理職、技術人材の永住居留申請に対し利便性を提供する。公共交通機関、金融サービス、医療保障、インターネット決済などの場面で、外国人の永住居留身分証の使用利便性を向上させる。

  2. クロスボーダーのデータ流動に対する円滑なセキュリティ管理メカニズムを模索する。「サイバーセキュリティ法」、「データセキュリティ法」、「個人情報保護法」などの要求事項を実施し、条件を満たした外商投資企業のためのグリーンルートを確立し、重要データと個人情報の対外セキュリティ評価を効率的に実施し、安全で秩序ある自由なデータの流れを促進する。北京、天津、上海、大湾区などにおけるデータ越境のセキュリティ評価、個人情報保護認証、個人情報越境にかかわる標準契約書提出などの制度実施プロセスにおいて、自由に流出できる一般データリストの形成を試験的に模索し、クロスボーダーデータ流出のコンプライアンスサービスサービスプラットフォームの構築を支援する。

  3. 外商投資企業に対する法律執行検査を調整、最適化させる。「双随機、一公開[2]」監督と信用リスク分類管理を推進し、信用リスクの低い外商投資企業に対する無作為検査の割合と頻度をさらに減らす。生産安全、環境保護、製品品質などの企業関連法律執行検査を調整する条件を備えた地域を支援し、「一度の来訪で一度に複数項目をチェック」という目標を実現する。

  4. 外商投資企業に対するサービス保障を完備する。外商投資企業のための健全な懇親会制度を確立する。各レベルの主要・重点外資プロジェクトの作業部会は、プロジェクトの調印、建設、試運転において遭遇する困難や問題を適時に調整・解決するための健全な連携・調整メカニズムを確立する。また、自由貿易協定の原産地証明書の発給を適切に行い、外商投資企業による関税減免政策の享受に対する利便性を向上させる。

 

五、金融・税制面での支援強化

  1. 外資誘致促進のための金融保障を強化する。中央対外経済・貿易経済発展特別資金を通じ、外資のランドマークプロジェクトへの支援を強化し、プロジェクトの早期実施を促進する。各レベル地方政府による外商投資促進資金の利用を改善し、重点産業チェーンへの投資誘致サービスを拡大する。各地域が法定権限の範囲内で主要多国籍企業の投資プロジェクトを支援することをサポートする。

  2. 外商投資企業の中国国内での再投資を奨励する。外国投資家が中国国内で得た利益の再投資にしば源泉所得税を課さないという政策を実施し、広報力とカウンセリング力を強化し、地方の各レベル商務、税務等部門より、政策の適用範囲、申告資料、取扱プロセスを細分化するよう指導し、よりよく政策実施する。

  3. 外商投資企業に対する税収優遇政策を実施する。外国人個人が住宅手当、語学研修費、子女教育費などの手当に対する免税優遇政策を享受できるよう、国の関連規定に従い、サポートする。外資系研究開発センターが、科学技術イノベーションを支援するための輸入税収政策と、国産設備の調達に関する増値税還付政策を享受できるよう、国の関連規定に従い、指導・サポートを行う。

  4. 国が発展を奨励する分野への外商投資企業の投資を支援する。各地域により、法定権限の範囲内で外商投資奨励産業目録の規定に従う外商投資企業に対し、奨励優遇措置を実施するよう支援する。奨励類の外商投資プロジェクトにかかわる輸入設備免税に関する支援政策と措置の実施を確実に行う。

 

六、外商投資促進方式の完備

  1. 投資誘致メカニズムを改善する。

  2. 外資誘致の利便性を向上させる。

  3. 外商投資促進ルートを拡大する。中国大使館・領事館と所在国・地域の主要企業との連携を強化し、中国への投資機会を宣伝する。商務部、中国貿易促進会の在外経済・貿易と投資促進機関との連絡を強化し、各国・地域における海外設立投資促進機関(駐在事務所)の役割をより発揮し、海外の経済・貿易と投資促進機関との連絡・協力を強化するよう各地域を支援する。

  4. 外商投資促進評価を最適化させる。外資誘致の経済・社会発展への実際貢献を重視し、誘致投資規模や実際の払込資本額に関する統計データを評価や関連企業・人員の賞罰根拠として単純に用いることを防ぎ、外商投資促進への「水増し」を防止するため、健全な外商投資促進効果の評価制度を確立する。

[1]境外の機関投資家が資格認定と外貨資金の監督管理プロセスを経たのち、外貨を人民元に交換し、元建てのプライベートエクイティファンド(PE)やベンチャーキャピタル(VC)市場に投資することを認める制度。

[2] 監督プロセスにおいて、無作為に検査対象を選択し、無作為に法律執行検査官を選択、派遣し、検査状況及び調査結果を速やかに社会に公開することを指す。

 

 

 

 

 

【法規リンク】

 

 

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