【香港】寄付金の税控除について -大埔火災への寄付金-
このたびの2025年11月26日より香港にて発生した大埔火災により、多大な被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧と、皆さまの安全をお祈りいたします。
日本でも大きく報道された、香港・大埔(タイポー)での大規模火災は、香港の地域社会に深刻な影響を与え、多くの方々が生活の基盤を失う事態となりました。こうした状況を受け、香港に拠点を置く日系企業の皆様からは、「会社として寄付を行いたい。」という声が数多く寄せられています。企業として社会に貢献し、助けを必要とする人々を支援をすることは非常に意義のある取り組みだと、その姿勢に私共も大きく感銘を受けた次第です。
ただ、実際に寄付を行う際は「どこに寄付をすればよいのか」「税控除は適用されるのか」「どのような手続きが必要なのか」といった疑問も多く寄せられています。寄付をしたいという思いがある一方で、香港の税制や寄付先の選定には一定の知識が求められるため、戸惑われる企業や個人の方も少なくありません。
そこで今回は、香港で寄付をご検討されている企業や個人の方向けに、寄付金に関する税控除の仕組み、控除を受けられる寄付先の選び方、寄付の方法や注意事項など、実務に役立つ情報をまとめました。ぜひ今後の寄付活動の参考にしていただければ幸いです。
Contents
香港で寄付をする場合、税控除は受けられる?
寄付をご検討される際に、多く寄せられるご質問のひとつが「税控除は適用されるのか」という点です。香港では、企業・個人ともに以下の条件を満たす寄付について、税控除を受けることが可能です。
どのような寄付が対象?
香港では、税控除を受けるためには、寄付の種類に条件があります。対象となるのは、義援金などの金銭的支援のみとなり、物品の寄付やサービスの提供は、残念ながら税務上の控除対象には含まれません。
そのため、寄付をご検討される際には、現金振込や小切手など金銭による寄付を選択する必要があります。
寄付の支払い方法について
寄付方法は、団体により異なりますが、窓口での支払い、銀行振り込み、FPS、Alipayなど幅広い支払い方法を取り扱っているようで、そんなところが香港らしくもあります。
どこに寄付すれば控除対象になるのか
控除を受けるためには、寄付先が香港政府認可の慈善団体(Approved Charitable Institution)である必要があります。認可を受けていない団体への寄付は、たとえ善意であっても税務上の控除は適用されませんのでご注意ください。
政府認可の慈善団体の一覧は、香港税務局(IRD)の公式サイトで確認できます。
税控除の限度額について
企業・個人それぞれに税控除できる限度額が設定されています。
企業の場合
企業が受けられる税控除額の上限額は、当該年度の課税対象利益の35%までとなります。
個人の場合
個人による寄付の場合、控除の上限額は、該当年度の個人所得税の総収入の35%までで、さらに下限として寄付金額はHKD100以上であることが必要となります。
控除申請に必要となる証憑
寄付金を税控除として取り扱った税務申告を行った際、香港税務局(IRD)からその確認として、証憑書類の提出を求められる場合がありますので、寄付を行った際には、寄付先の慈善団体から発行される正式な寄付金領収書の原本を必ず保管してください。
また当該領収書に、以下の情報が記載されているかもご確認ください。
・認可登録された慈善団体の番号
・当該寄付金が控除対象である旨
電子コピーだけでは不十分な場合がありますので、領収書は紛失しないよう厳重に保管・管理をするようにお気を付けください。
最後に
今回ご紹介したとおり、香港で寄付を行う際には、税控除を受けるための条件や手続きにいくつかの重要なポイントがあります。
・控除対象となる寄付は金銭によるもののみ(物品やサービスは対象外)
・寄付先は香港政府認可の慈善団体であることが必須
・控除上限は企業・個人ともに課税対象利益または総収入の35%
・個人の場合は最低寄付額HKD100以上
・領収書の原本を必ず保管(認可番号と控除対象の記載があるもの)
寄付は、被災地や地域社会を支える大切な取り組みです。しかし、税制や手続きに関する正しい知識を持つことで、よりスムーズかつ効果的な支援が可能になります。今回の情報が寄付活動の一助となれば幸いです。
参考リンク先:
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
免責事項:
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