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よくある監査の相談事項シリーズ 第八回 2026年度適用「金融商品の分類および測定に関する改訂」について

 

弊所、青葉監査法人では、これまで香港へ進出されている多くの企業に対して会計監査を行ってまいりました。その経験を活かし、クライアントよりよくお問い合わせいただくご相談について、「よくある監査の相談事項シリーズ」と題しまして紹介しております。

 

今回は、2026年度に適用される「金融商品の分類および測定に関する改訂」についてご紹介いたします。

 

 

 

決済日に金融負債を認識中止することが明確化:

HKFRS 9 (金融商品)および HKFRS 7(金融商品:開示)において、2026年1月1日以後に開始する事業年度から適用される改訂版「金融商品の分類および測定に関する改訂(Classification and Measurement)」により、金融負債は原則として、「決済日(settlement date)」にのみ認識の中止(derecognition)が認められることが明確化されました。

 

決済日とは、負債が消滅する日、またはその他の認識中止の要件を満たす日として定義され、電子決済や銀行振込の文脈における原則的な解釈としては、「支払人の口座から現金が引き落とされ、受取人(取引先など)の銀行口座に実際に現金が着金(入金)した日」を指しています。

 

ただし、電子送金システムによる支払いについては、以下の一定条件を満たす場合に限り、決済日より前の認識中止を認める任意の例外規定があるため、「原則」としています。

 

例外規定:

・支払いを開始した後、企業がその支払いを取り消したりアクセスしたりできないこと。

・重大な決済リスクが存在しないこと。

・支払いが適格な電子システムを通じて行われること。

 

 

 

「原則的」な会計処理 VS 「例外規定」の会計処理

決算日を跨ぐ取引きを事例に、原則的な会計処理と例外規定による会計処理の違いと影響については、以下のようになります。

 

 

事例:

〇当社は仕入先に対し買掛金(金融負債)100が計上されている。

〇当社はインターネットバンキングで決算日の午後に仕入先へ100万の振込(電子決済)を行った。

〇仕入先の銀行口座に着金したのは決算日の2日後だった。

 

 

 

「原則的」な会計処理

原則となる決済日の定義を適用する場合は、負債が実際に消滅したのは仕入先の銀行口座に着金した決算日の2日後となるため、決算日時点において、当社のBS上には当該買掛金および現金についても認識されたままとなります。(この銀行口座の残高については差異調整が必要になります。)

 

 

 

「例外規定」の会計処理

今回の改訂では、上述の例外規定をこの事例が満たしている電子決済である場合に限り、決算日時点において、この買掛金を取り崩して認識を中止してもよいことが認められています。

 

これにより決算日時点において、BS上の負債を軽くしたいため急いで送金指示を行った、などのような状況により例外的な会計方針の選択肢が増えたことになります。

 

 

 

未取立小切手への影響

この2026年改訂が施行される前までは、実務上、小切手の発行日(または受領日)に負債や資産を消去することが慣行化していました。(会計基準に従っているわけではなく、実務上容認されるグレーゾーン。)今回の改訂では、まさにこの「慣行」である発行日・受領日での認識ではなく、明確に「決済日」で認識するよう線引きが行われたのです。

 

また、小切手による決済は、この電子送金の例外規定の対象とはなりません。そのため、未取立小切手(発行済みだが受取人がまだ取立てていない小切手)については、銀行での決済が完了しておらず、企業が依然として支払義務を負っているため、通常金融負債を認識中止する事はできません。

 

例えば、会社が決算期末日より前に仕入先へ小切手を発行したものの、その小切手が未呈示(すなわち、仕入先によってまだ換金または決済されていない状態)である場合、当該負債は認識を中止することができず、買掛金は、小切手が実際に呈示され、決済されるまで、帳簿上に残しておかなければなりません。

 

つまり、会社が期末日以前に支払いのための小切手を発行したことを理由として、帳簿上この負債の取り崩し、および銀行預金残高の減少を認識できません。またそのため、銀行調整表に未呈示小切手による決済調整として記載される事もなくなります。

 

 

 

例外規定は負債のみ・原則は売掛金等の資産にも同様の考え方が適用

改訂は、主として金融負債を対象としており、例外規定は「負債」を認識している支払い側のみに適用可能で、受け取る側の(売掛金の消去)には適用できないため、一貫して口座に着金した日にしか売掛金を消去できません。

 

原則となる「決済日」による認識については、金融資産についても同様の考え方を適用し、金融負債との会計処理の対称性を確保することが示されています。

 

そのため、先の小切手による決済のケースについては、顧客から小切手を受領しただけでは売掛金を消滅させることはできず、売掛金の認識中止は、小切手が銀行で実際に決済され、現金化された時点まで待つ必要があります。

 

 

もしも自社の財務諸表において小切手の発行・受領日のタイミングで認識されていたのであれば、今後は、「実際の決済日」が会計認識の基準となることが明確化されたため、企業は会計方針および銀行勘定調整表の見直しを早期に進めることが重要となります。

 

 

 

弊社グループでは、日本人経営者へは日本語での会計基準の説明とナショナルスタッフの経理ご担当者へは広東語での会計処理の説明など、クライアントとしっかりとコミュニケーションを取り、会計基準に準じた最善となる会計処理のご説明をさせて頂いております。もし、監査対応や会計処理につきお悩みがございましたら、いつでもお気軽に弊社へお問い合わせ下さい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考リンク先:

HKICPA : Amendments to the Classification and Measurement of Financial Instruments

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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