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良く聞く就業規則や雇用契約書に関するお悩み

会社が稼働していて、従業員を雇用しているのであれば、どの会社でも必ず作成しているはずの就業規則と雇用契約書ですが、それらに関するご相談を受けることが、この数年多くありました。

 

それは、この数年は新型コロナによる渡航制限の影響などにより、香港現地にて日本人管理者が不在であったり、日本本社から内部統制・ガバナンス担当者の渡航が出来なかったことを背景に、会社のコンプライアンス体制の整備・強化を進められたケースが増えたからです。

 

今回は、その際に、改めて就業規則や雇用契約書の内容を確認され、弊社へご相談いただいたお悩みをいくつか紹介いたしますので、御社の就業規則や雇用契約書を更新するきっかけとしていただれば幸いです。

 

 

就業規則や雇用契約書を長期に渡り更新していない

弊社に来るご相談で一番多いものはこちらになるかと思われます。良くあるケースでは、設立当初に作成をしてから一回も更新されていない、数年前に最後に発生した従業員の雇用以来更新をしていないというものがあります。

 

香港の雇用条例は日本や中国の労働基準法と比べて比較的シンプルであり、自由度の高いものとなっています。とは言え、当然のことながら、香港の雇用条例も時間の経過と共に改正がされており、数年以上更新をされていない場合は最新の雇用条例に準じていない可能性が高くなってきます。ここ数年で行われた改正の中で、多くの企業に適用される例としては、産前産後休暇ならびに育児休暇の延長が挙げられます。

(*中国・広東省の育児休暇についてはこちらの記事を参照。)

 

 

コロナによる影響も

また、コロナ禍において、オペレーションの方法や会社の規則を変更されたケースも少なくないかと思います。それらの変更が一時的、短期的なものではなく、恒久的なものであれば、就業規則や雇用契約書の内容の更新を検討する必要が出てきます。

 

例えば、コロナの感染リスクを下げるために、一時的に出退勤時間を変更したということであれば、従業員への説明や同意を得る必要はありますが、就業規則を変更する必要は無いかと思われます。一方で、コロナ禍において在宅勤務、テレワーク体制が整ったため、今後も在宅勤務を恒常的に組み入れるようでしたら、出退勤に関わる項目などを更新する必要があります。

 

 

 

この様に、関連条例の変更であったり、会社の運営方法に変更があった際には、現在の就業規則や雇用契約書が適切なものかどうかを確認し、必要に応じて更新・修正をする必要があります。

 

 

 

就業規則や雇用契約書を日本語で作成している

日系企業で発生するケースとして、就業規則や雇用契約書を日本で作成しているということがあります。香港の公用語は中国語と英語になりますが、雇用条例などにおいて、就業規則や雇用契約書を中国語もしくは英語で作成しなければならないという規定は特にありません。

 

そのため、日本語でこれらを作成すること自体は違反行為ではないですが、これらの書類も雇用という契約に関わるものであるため、当事者である会社と従業員の双方がしっかりと理解できる言語で作成をする必要があります。

 

 

現地従業員に理解してもらうことが前提

日系企業では、日本語を話せるナショナルスタッフ(ローカルスタッフ)の採用をされることが多いですが、日本語能力は人により様々であり、日常会話や自分の専門領域においては十分な言語能力があったとしても、就業規則や雇用契約書の文体をしっかりと理解できないという場合もあります。

 

この様な状況で契約を進めてしまうと、労働争議などが発生した際に、雇用主側が不利な状況になる可能性もあるため、通常は英語もしくは中国語版を正式なものとして使用し、一方で日本人経営陣や日本本社人事部などの関係者が内容を正しく理解できるために日本語訳を別途作成されることが推奨されます。

 

 

 

日本本社もしくは関連会社が使用している就業規則と雇用契約書を使用している

海外展開されている日系企業グループにて、就業規則や雇用契約書をグループ内で統一したい、もしくは中華圏の関連会社間だけでも統一したいというご相談を受けることもあります。

 

当然ながら、各国・地域で労働基準法や雇用条例は異なるため、そのまま使用するということは難しいです。また、中華圏においても、中国、香港、マカオ、台湾それぞれで法律が異なるため、基本的にこれらの書類は各国・地域ごとに個別で作成をする必要があります。

 

一方で、例えば、海外出張手当に関する規定など、多くの国の労働基準法や雇用条例に該当する規制がなく、あくまでもグループとして統一しているルールなどを組み込むことは問題ありません。

 

そのため、グループ内で一定以上の統一性を持たせるということであれば、本社や統括会社の就業規則や雇用契約書を基本として、現地の関連条例に準ずるように改定をする必要があります。

 

 

 

 

まとめ

今回は、就業規則や雇用契約書に関して弊社に良くご相談に来られる内容をいくつかご紹介させて頂きました。

 

これらの書類はあくまで会社内部でのみ使用されるものとなるため軽視されがちですが、適切な作成、更新をされていない場合、昨今、増々重要視されているコンプライアンス面にて、気付かないうちに違反をしてしまっていたり、労働争議などが発生してしまったりすることで、最悪の場合、その際に多くの損害を引き起こしてしまう可能性もあります。

 

 

雇用条例の順守=従業員への安心感

また、これらが適切に作成、更新をされていないことで、従業員からの不信感が発生してしまったケースもあります。雇用条例の目的には会社による不当労働や不当解雇から従業員を守ることも含まれているため、しっかりと雇用条例を遵守することで、従業員へ安心感を与え、会社が従業員を大切に思っているというメッセージを伝えることが出来ます。

 

 

 

これらの対応をするためには、現行の雇用条例を十分に理解をした上で、改正があった際には都度その改正内容を理解し、現行の就業規則や雇用契約書の更新の必要性を判断する必要がありますが、それには法律面における専門知識が必要となってきます。

 

弊社リーガル部門では、各企業からのお悩みに対して、雇用条例を遵守した上で、個別にテイラーメイドした対応を行い、各企業に取って最適となる内容をご提案させて頂いておりますので、ご相談事がございましたら、いつでもお気軽にお問合せください

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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