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深圳、中国初ICV関連条例公布 自動運転車が合法的に道路走行可能【大湾区情報レター Vol.40】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


  

 

 中国、初のインテリジェント・コネクテッド・ビークル(以下、「ICV」)管理規定が登場しました。7月5日、深圳市人民代表大会は「深圳経済特区ICV管理条例」が正式に公布され、2022年8月1日から施行されることになりました。

 

車両欠陥による事故補償 メーカーに賠償責任

 

 新興製品であるICVは、車両が市場に投入できない、車両登録ができない、有償運行ができない、車両保険制度が不完全、交通事故の際の責任判定ルールが不明確、ネットワークセキュリティやデータ保護関連規制がない、など多くの法的問題に直面していました。このたびの立法は、これら法的障害を全力で取り除くものとなっています。

 

 ICV管理条例では、深圳市工業情報化部が技術成熟度と産業発展のニーズに応じてICV製品の現地規格を策定し、生産者が申請すれば現地規格を満たしたICV製品を深圳市ICV製品カタログに掲載することを規定しています。関連規格を満たし、前述のカタログまたは国家自動車製品カタログに掲載されたICV製品のみが、公安当局の交通管理部門による登録を経て、道路を走行することが可能です。製品カタログに掲載されない場合は、深圳市で販売・登録することはできません。

 

 車両に関する規制が緩和される一方で、道路の規制も緩和されます。同条例では、市人民政府の権限により車両と道路の連携インフラがより完備された行政区全域を選択し公道走行実験と試行運用を実施できることとなり、かつ、承認権限を実施先の関連部門に任せることにより、自動運転の開発における柔軟性がより高くなります。

 

 無人自動運転車による交通違反や責任事故の責任分担をどうするかという社会的関心が広がったことを受け、現行の道路交通安全法規を参考に、有人走行の場合は運転者が違反責任と賠償責任を負うと規定しています。無人走行の場合、原則として車両所有者または管理者が違反の責任と賠償を負うが、違反者に対する罰則は、運転者に対する減点制に関する規定は適用されないこととなります。同時に、交通事故においてICVの欠陥に起因する損害が発生した場合においては、その運転者、また所有者、管理者は、規定に従って生産者または販売者に賠償を請求することができることとなっています。

 

広東省、自動運転のハブへと加速

 

 自動運転の開発・実用化には、法的・技術的側面からの課題があり、現在までに世界17カ国・地域が、ICVの革新的発展のための法的障害を取り除くため、特別法令を策定・導入したり、既存の法律・規定を改正したりしています。

 

 早くも2018年に「ICV道路テスト管理規範(試行)」の公布後、深圳市は直ちに具体的な実施内容の詳細を発表し、現在、ICV試験のオープンエリア、可能走行距離、ライセンス発行数で全国トップクラスにランクインしています。

 

 現在、深圳市は自動運転産業チェーンのレイアウトがより完全になってきており、BYD、ファーウエイ(Huawei、華為)、テンセント、DJIなどの有名企業が参加しているほか、AutoX(安途智行)、DeepRoute.AI(元戎啓行)などの地場の自動運転企業が育成され、百度、Pony.AI(小馬智行)、WeRide(文遠知行)などの企業も深圳で発展しています。データによると、深圳市には自動運転に関わる企業が800社あり、そのうち415社が過去5年間に設立されました。

 

 「深圳市ICV産業クラスタ育成発展促進行動計画(2022-2025年)」では、2025年までに深圳市のICV産業の売上高が2,000億人民元に達し、売上高100億人民元超の企業が10社以上、10億人民元超の企業が20社以上の戦略チームを形成することが提案されています。深圳の自動運転企業AutoXのCEOである肖健雄氏は、深圳は成熟した産業チェーンと特区立法上の利点により、中国内のICV産業における競争のトップティアに入っていると述べました。

 

 広東省は、自動運転の商用化の模索においても全国のトップレベルにあります。ちょうど6月30日、初めて広州市がICV自動運転の混合走行テストを行いました。政策の上で全国に先駆けての試行であり、自動運転企業が正式に道路を走行しタクシーサービスを提供することが許可されたものとなります。

 

 

【参考資料】

 

・深圳、中国初ICV関連条例公布 自動運転車が合法的に道路走行可能

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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