大湾区の文化産業、投資の新たな「ブルーオーシャン」に【大湾区情報レター Vol.92】
- 公開日 2025.07.28 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

2025年の文化産業博覧会(文博会)では、広東省パビリオンにおいて広東文化産業重点プロジェクトの調印式が開催され、映画・テレビ、エンタメマーケット、アニメ・映画、オンラインゲーム、eスポーツ、ネット配信など多分野にわたる18の重点プロジェクトの契約が締結され、取引総額は16億元を超えました。
広東省が牽引役となり、大湾区の文化産業は急速に発展し、投資の新たなブルーオーシャンとなっています。
Contents
大湾区都市でのスーパーIPとのコラボレーション
中国本土初の「ハリー・ポッター 禁じられた森の旅」の魔法世界テーマパークが深圳市龍華区で開園する予定となっています。また、テンセント傘下の閲文グループ(China Literature)は深圳前海の「湾区書城」に2,000平方メートルの「閲文書園」を建設する計画です。なお、網易(NetEase)は広州タワーと手を組んで「デジタル+文化・商業・観光」の大型オフラインイベントを開始します。これらの大手企業と人気IPが提携、大湾区で事業を展開します。
香港資本の盛力世家(SECA)が深圳に大湾区本部の設立を発表したことも注目されています。盛力世家はスポーツIP開発、マーケティング、アスリートマネジメントなどの分野に強みを持ち、深圳でスパルタンレースやタフ・マッダーなどの人気イベントを成功に導きました。CEOの于蕾氏は「深圳をイノベーション拠点とし、華南地域全体により多くの参加型のアウトドアイベントを開催していきたい」と語りました。
「潮玩(トレンドトイ)の都」、東莞市が世界のアニメ関連商品生産の約4分の1を担っていること、広州市の科韻路には150社近くのゲーム企業が集積し、千億人民元規模のエコシステムが形成されていること、舞踊劇「詠春」がモスクワのボリジョイ劇場で3日連続公演し好評を博したこと、ショートドラマが海外170ヶ国以上に進出し23億米ドルの収益を上げることにより、大湾区の文化産業は驚異的なスピードで成長しています。
「世界の工場」から「文化の工場」へ
人気IPとそれらより派生したノベルティ商品
東莞市の工場では「ナタ 魔童の大暴れ」シリーズのトレーディングカードが次々と生産されており、また、傑森娯楽(Jason Entertainment)はトレーディ
ングカードのデザインに無形文化遺産の技法を取り入れ、その結果、この中国人気IPグッズが海外市場を席巻し、1億人民元以上の売上を記録しました。
広州歌舞劇院による「英歌」は上海で公演され、そのノベルティ商品は完売になりました。「熊出没」「猪猪侠」「喜羊羊」など国民的人気IPの影響力は広東省から全国へ広がり、広東省全体のアニメ産業規模は600億元を超え、20万社の関連企業が全国の文化産業の発展を導くネットワークを形成しています。
広東省ゲーム産業の発展
「中国ゲームNo.1ストリート」と言われる広州の科韻路には150社近くのゲーム企業が集積し、千億元規模のエコシステムを形成しています。テンセントのゲーム「PUBG」は世界で10億回以上のダウンロードを記録し、広州クーロ(Guangzhou Kuro Technology)のゲーム「鳴潮」はリリース初日に107ヶ国・地域でiOS無料ランキング1位を獲得しました。広東省のゲーム産業における収入は全国の80%を占めています。
ショートドラマの海外展開
光盒動力(Light-Hub Power)の業務は170ヶ国以上で展開され、欧米、東南アジア、日本、韓国にユーザーが存在しており、世界のショートドラマアプリでの課金収入は23億米ドルに達しています。CMOの梁剣氏は「ショートドラマは文化輸出の新たなエンジンとなっている」と語りました。
文化産業の潜在力を最大限に引き出す
大湾区文化産業投資大会が今年11月に広州市で開催される予定で、800社以上の投資企業が参加し、締結意向がある契約の金額は80億元に達し、200億元以上の文化産業基金が設立される見込みとなっています。
傑森娯楽(Jason Entertainment)は去年の投資会議で投資家向け説明会を行った後、評価額が3倍に上昇し、2025年第1四半期の売上高は前年比371%増となりました。互影科技(Mutual Shadow)は「AIライブ配信」の技術で戦略的投資
を獲得し、大湾区ライブ基地の建設をスタートさせました。「広州刺繍NFT」はEコマース取引を通して東南アジアに進出し、2,000万元の売上を記録しました。
大湾区では文化産業の「多要素連携による共創型」のエコシステムが構築されています。収入規模はデジタル出版は全国の5分の1、アニメは3分の1、音楽は4分の1、ゲームは5分の4を占めており、映画・テレビ、アニメ、ゲーム、eスポーツなどの競争優位性クラスタが形成されています。
曁南大学産業経済研究院の陶鋒院長はインタビューで「大湾区の文化産業は全国文化産業の重要な成長エンジンになりつつあります」と語りました。
【参考資料】
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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