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【中国】新型コロナウイルス感染症「乙類乙管」への分類後、企業の労務への影響について

2022年12月26日、国家衛生健康委員会は、新型コロナウイルス肺炎を新型コロナウイルス感染症と改称し、2023年1月8日から、新型コロナウイルス感染症に対して採用されていた「中華人民共和国伝染病防治法」が規定する甲類伝染病予防と管理対策を解除し、新型コロナウイルス感染症を「中華人民共和国国境衛生検疫法」で規定する検疫伝染病管理対象から外すことを公布しました。

 

今回は、新型コロナウイルス感染症が乙類乙管*に分類されることによって、雇用主や従業員にどのような影響を与えるかについてご紹介いたします。

 

*注記:”乙類乙管” =「中華人民共和国伝染病防治法」では、感染症を感染力や流行状況、危険度に応じて、甲類、乙類、丙類の3種に分類している。「乙類乙管」とは、乙類伝染病に分類され、それに従って管理することを指す。

 

 

1、労働者が新型コロナウィルスに感染後、通常勤務の基準で賃金を支払う必要がなくなる。

労働者が新型コロナウィルスに感染した際の賃金支給に関して、2023年1月8日より前までは、以下のように規定されていました:

政府に関して:

「中華人民共和国伝染病予防治療法」第41条に基づき、甲類伝染病の症例が発生した場所またはその場所の中の特定区域の人員に対して、隔離措置を実施した政府は、隔離期間中において隔離された人員へ生活の保障を提供しなければならない。

 

雇用主に関して:

隔離された人員が雇用されている場合、雇用主は隔離期間中において勤務報酬の支給を停止してはならない。「新型コロナウイルス肺炎に関する労働人事紛争事件の審理に関するいくつかの問題の解答」の印刷配布に関する通知」によると、労働者は法に基づいて隔離措置が実行されている新型コロナウイルス感染症患者、病原体保有者、疑似患者、濃厚接触者などに属する場合、雇用主は通常勤務の基準で隔離期間の賃金を支払わなければならない。また、「労働契約法」第40条、41条の規定に基づき、当該従業員と労働契約を解除してはなりません。

 

 

 

乙類乙管への分類後の取り扱いについて

2023年1月8日より、「乙類甲管」から「乙類乙管」へ引き下げた後は、新型コロナウィルス感染症は甲類伝染病の管理対象から外されることになるため、従業員が新型コロナウィルスに感染した場合は、雇用主は上記の甲類伝染病に関連する規定を従う必要がなくなり、労働者の休業期間中に関連の疾病証明が提供される場合、病気休暇として処理することができるようになります

 

 

 

2、労働者が新型コロナウィルスに感染した場合、必ずしも病気休暇として処理しなければならないとは限らない。

新型コロナウイルス感染症は、甲類伝染病の管理対象から外され「乙類乙管」に分類された後は、性質としては病気であるとみなすことができます。労働者は、健康権を有しているため、病気の際は病気休暇を申請し、治療のために仕事を中断し、法定医療期間を享受する権利があります。

 

ただし、病気になった際に必ず病気休暇の給与をもらえるというわけではありません。「企業従業員疾病又は業務外傷病の療養期間に関する規定」によると、労働者は病気になり、休業して治療・療養をする必要がある場合のみ、病気休暇として取り扱うことができます。

 

現在、司法の判例に基づき、労働者の病状が事実であり、且つ専門医療機関が発行した病気休暇証明書と受診記録があれば、企業は病気休暇を承認しなくてはなりません。そのため、労働者に疾病証明書(例えば医者の療養証明書)があり、企業・雇用主の病気休暇申請条件に合致する場合、病気休業の期間中に、病気休暇として処理し、病気休暇の基準で賃金を支払う必要があります。

 

 

 

 

3、労働者が発効日である2023年1月8日より前に新型コロナウィルスに感染した場合、雇用主はどうのように賃金を計算するべきか?

2023年1月8日より、新型コロナウイルスは甲類伝染病の管理対象から外されることになるので、当該政策規定の観点から、2023年1月8日より前までは、新型コロナウイルスは依然として甲類伝染病に分類されるため、感染者に対しては、現行の政策規定に従い、関連隔離政策を実施し、隔離期間中の勤務報酬(即ち労働契約書で約定した賃金)を支給する必要があるといえます。

 

 

 

 

4、濃厚接触者に対して「隔離期間の賃金」を支払う必要があるか?

2023年1月8日より前までは、雇用主は濃厚接触者に対して通常勤務の基準で隔離期間において賃金を支払わなければなりませんでした。

 

しかし、2023年1月8日から新型コロナウイルス感染症が乙類乙管へ分類された後は、隔離措置を行う必要がなくなるため、新型コロナウイルス感染者と密接に接触した場合であっても濃厚接触者と見なされることがなくなります。つまり、濃厚接触者という概念がなくなるため、相応の隔離措置や隔離期間の賃金支給の必要性もなくなり、法律の観点から従業員は通常通り出勤できる状態であるといえます

 

 

 

 

 

ここまでの4つのポイントについては、主に労働者の賃金に関してですが、次にご紹介する3つのポイントについては、労働関係、医療期間に関連する影響となります。

 

 

5、労働者が勤務中に新型コロナウィルスに感染した場合、労災認定されるか。

「職務遂行により新型コロナウイルス肺炎に感染する医療従事者及び関係従業員の保障問題に関する通知」(人社部書簡[2020]11号)(以下「通知」)によると、医療従事者及び関連従業員が新型コロナウィルス肺炎の予防と治療といった職務遂行により、新型コロナウィルス肺炎に感染、又は新型コロナウィルス肺炎で死亡した場合、労災と認定され、法により労災保険待遇を享受できます。

 

つまり、新型コロナウイルスが「乙類甲管」に分類されていた2023年1月8日より前の時期において、法律により労災待遇を享受できていたのは、新型コロナウイルスに罹患するリスクが高い職業に従事する予防や治療関係の医療従事者及び関連従業員のみで、そうでなければ、勤務中に新型コロナウィルスに感染した場合、この「通知」に基づいた場合、労災と認定することができませんでした。

 

また一方で「労災保険条例」の労災認定では、職業病に罹患または勤務時間中及び勤務部署で突発的な疾病により死亡、または48時間以内に応急手当をしたにも関わらず死亡した場合のみ、罹病による労災を認定するとしています。

 

以上のことから、新型コロナウイルスが2023年1月8日より乙類乙管へ分類された後は、「通知」が適用されなくなり、勤務中に新型コロナウィルスに感染したことのみで労災を認定する法的根拠がなくなりますが、ただし、「労災保険条例」の労災認定に基づき、労働者が新型コロナウィルスに感染して48時間以内に応急手当をしたにも関わらず死亡した場合、労災と見なされることになります

 

 

 

 

6、雇用主が新型コロナウィルス感染を理由に、労働者を解雇することは可能か?

2022年1月8日より前の適用規定:「新型コロナウイルス感染による肺炎疫病の予防・抑止期間の労働関係問題の適切な処理に関する通知」

新型コロナウイルスの感染による肺炎患者、疑似患者(みなし陽性者)、濃厚接触者である労働者が隔離治療または医学観察期間中、および政府が隔離措置、又はその他の緊急措置を実施することで正常な労働を提供できない場合、企業は労働者に該当期間の労働報酬を支給し、労働契約法の第40条と第41条に基づいて労働者と労働契約を解除してはなりません。

 

 

2022年1月8日以降の適用規定:「労働契約法」第42条

罹病、又は業務以外の事由により負傷の場合、規定の医療期間*内に、雇用主は本法の第40条、第41条の規定に従って労働契約を解除してはいけません。

 

従いまして、2022年1月8日以降、新型コロナウィルスに感染した労働者に対しては、労働契約法の第40条と第41条に規定された労働契約解除条件を満たした場合、法定医療期間ではない、あるいは医療期間終了後において、雇用主は法に基づいて労働契約を解除することができます。

 

*注記:「医療期間」とは、労働者が罹病、又は業務以外の事由により負傷して治療や療養のために休業しなければならない期間で、その期間中、雇用主は労働契約を解除してはなりません。中国の「労働法」に基づき、医療期間の長さは勤務年数によって決められます。具体的には、下記表をご参考ください。

 

医療期間の計算開始日は、病欠休暇日の初日から計算することになりますので、労働者が新型コロナウィルス感染症に感染した日から、自動的に医療期間に入るわけではありません。

 

2023年1月8日以降、新型コロナウィルス感染症は甲類伝染病の管理対象外となったため、新型コロナウィルス感染症に感染した場合、通常の病気と見なされることになり、病気休暇の申請方法や必要となる証明書類などについては雇用主の社内規則制度に準ずることができます。労働者が新型コロナウィルス感染症に感染した場合は、雇用主へ病気休暇を申請する必要があります。症状が重くて病欠休暇が長くなる場合は、雇用主の社内規則制度の要求に基づいて、病院の診断書などの疾病証明書を提出する必要があります。

 

また、疑似患者(みなし陽性者)及び濃厚接触者は、医学的に新型コロナウイルス感染者として認められていない状態ですので罹病とは言えません。従いまして、医療期間を考慮する必要がなく、雇用単位が労働契約法の第40条と第41条の規定に従って雇用関係を終了することができます。

 

 

 

 

7、労働者が新型コロナウィルス感染症になった後、雇用主は労働契約書の期限を延長する必要があるか?

2022年1月8日より前:

人的資源社会保障部が以前配布した[2020]17号「人的資源社会保障部など7部門による疫病発生における労働関係の適切な処置に関する意見」に基づき、労働者が新型コロナウィルス感染症になり、且つその労働契約期間が満期を迎えた場合、労働契約期間は、労働者の隔離治療期間、医学観察期間、隔離期間の各期間が満了するまで、または政府が実施した緊急措置が終了するまで延長する、とされています。

 

したがって、新型コロナウィルス感染症が分類される前は、甲類伝染病に分類され管理されていたため、上記に該当する場合は、それぞれの期間の終了まで労働契約書の期限を延期しなければなりませんでした。

 

2022年1月8日以降:

「乙類乙管」へ分類された後は、「労働契約法」第42条、45条の規定に基づき、労働者が病気あるいは非業務上の負傷の状態の場合、規定された医療期間内において、労働契約期間はその状態が回復するまで延期しなければなりません。

 

 

 

 

最後に

新型コロナウイルス肺炎の名称変更は、中国政府による国民への隔離・管理措置の終了を意味しています。今後は新型コロナウイルス感染者に対する隔離措置の実施や濃厚接触者の判定、高リスク区域や低リスク区域の区分けを行わず、国境衛生検疫法に基づき、今後は入境者や貨物などに対する検疫感染症管理措置も行う必要はありません。

 

このような状況により、景気回復が期待されるものの、多くの企業にとっての人事や労務管理において、その対処は大きな課題となっているかと思います。もしも本件の対応方法などについてお悩みがあれば、弊社青葉グループの弁護士事務所には、経験豊富な弁護士が在籍しておりますので、一度お気軽にご連絡ください

 

 

 

 

 

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