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2022年の香港を振り返ってみる

香港では中国との出入境が3年ぶりの再開により、2023年こそは香港のビジネス環境がコロナ禍以前に戻るのではないか、という報道であふれており、その期待により株式市場も上昇していますが、2022年の香港がどのような状況、環境であったか、今さらながら振り返ってみたいと思います。

新型コロナに関する施策について

2022年香港の新型コロナ感染者数推移(提供元: JHU CSSE COVID-19 Data 

2022年の香港政府による新型コロナに対する政策は、中国本土に倣い「厳しい検疫と隔離政策」であったかと思います。

 

それが功を奏したのか、2022年初旬は感染報告が、ほぼ輸入症例にとどまり、香港内での感染は少なく落ち着いた状況が続いていましたが、旧正月があけた2月中旬から3月にかけてオミクロン株の香港内感染が拡大しました。

 

現在も感染者が増加傾向にあるものの、香港政府は夏ごろからコロナ対策を中国に合わせたゼロコロナ政策から段階的に緩和しウィズコロナへシフトしていきました。香港への入国時の隔離については、6月末まで最長3週間ものホテル隔離から徐々に緩和していき、9月26日より撤廃されました。

 

これは、中国とのボーダー開通を最優先するが故に、中央政府から許可をもらうための、ゼロコロナに合わせた香港の隔離政策でしたが、厳しいコロナ対策に各国政府からの批判をうけ、また外資企業や外国人駐在員の香港からの撤退が相次いだため、まずは国際金融センターである香港の地位を守るべく、ウィズコロナへと舵をきったようです。

 

 

 

人材の流出について

EUの香港事務所によりますと、2022年2月、香港在住のEU市民の1割がすでに香港を離れたと警告する書簡を当時の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官に送り、また米国政府が3月に発表した報告書では、21年に約8.5万人いた香港在住の米国人が、すでに約7万人まで減っていると指摘していました。

 

こうした優秀な海外からの人材の多くは、国際金融センターを支えてきたエリートであることが推測され、そんな優秀な人材が香港を離れてしまったことが大きなダメージであったかとは想像に難くありません。

 

そんな海外の優秀人材が不足している状況への対策として、香港政府は香港へ移住するためのオンラインでのワンストップサービスを提供できるプラットフォームの運用を12月より開始するなど、各種人材受け入れスキームを推進していく模様で、2023年にどれほど香港へ優秀人材が誘致できるかが課題の一つです。

 

外国人材は厳しいコロナ政策で流出しましたが、香港居民も2020年6月に国会安全維持法が制定されて以来流出している状況が続いています。香港の政府統計処によると、2022年中期の人口は2021年中期と比べ約11.3万人減(人口流入‐人口流出)となり、1997年記録開始以来、最も高い数値で人口が流出していることがわかりました。

 

そんな状況のため、欧米諸国や日本では、香港(一国二制度)の崩壊であるとした批判的な報道が多いかとは思いますが、実際香港でビジネスを行っている外資企業が抱いている印象とは違うようです。

 

 

 

在香港・外資企業を対象にしたアンケートから見る香港

香港統計局が親会社が香港がである香港会社(外資企業-約9,000社弱)を対象に行ったアンケート調査の結果は以下の通り。(出典:Report on Annual Survey of Companies in Hong Kong with Parent Companies Located outside Hong Kong

こちらはアンケートは、外資企業が抱く香港の優位性TOP5で、1位は簡素な税制度と低税率で59%(不利と回答は1%)の外資企業に選ばれています。そこから情報の自由度45%(不利3%)・物流の自由度45%(不利3%)が2位タイ、腐敗のない政府を選択したのは42%(不利3%)で3位、最後に法治と司法の独立性を選んだのは34%(不利6%)でした。

 

一方で、香港におけるビジネスにおいて不利である部分のTOP3は以下の通り。

やはり不動産価格が世界でも高い香港では、工場を含むオフィスや住居の賃貸料が大きな懸念点となっているようです。また気になる政治の安定性については、有利が28%、不利が9%とビジネスにおいて大きな影響を感じさせる数字ではない結果でした。

 

この政治の安定性についての数字の変化は顕著で、デモや国家安全法の制定があった時期において、日系企業をはじめとする外資系企業にとって香港に対して不利であるとの回答が高いものでしたが、2022年時点ではそれが落ち着きを取り戻しています。また今後3年の香港の動向を見据えて、従来の事業を維持し、慎重に状況を見ていることが、以下の統計データから読み取れます。

 

 

また過去6年間の在香港・外資企業の会社数の推移は以下の通り。

親会社が日本である香港会社の数は、1,388(22年)1,388(21年)、1,398(20年)、1,413(19年)、1,393(18年)と、過去5年においてほぼ横ばいで、アメリカ、イギリス、シンガポールもほぼ横ばいの状況であるといえます。

 

その一方で、中国本土を親会社にもつ香港会社のみが、過去5年連続して増加しており、その数は最大となっています。

 

 

 

外資企業にとっての香港ビジネスについて

香港は依然として簡素な税制や低税率、物流の自由度や地理的な利便性などの対中国投資拠点としてのビジネスメリットを有していることに加え、大湾区政策などのように、香港政府主導により力強い中国経済の取り込みを狙ったさまざまな施策が実施されようとしています。

 

2022年7月1日、香港返還25周年式典に参加した習近平国家主席は講話にて、香港の国際性を維持せねばならないと強調し、「香港が自由で開放的なビジネス環境、国際的なネットワークの開拓といった独特の地位と優位性を維持することを強く支持する」と語っています。

 

これは、人民元の国際化が十分に進んでいないため、自由な金融取引は香港を通じた限定的なルートに制限し、引き続き、香港をグローバルな金融の窓口として利用していきたいという姿勢が読み取れます。

 

このように、習近平主席が、欧米型の経済システムや、さらには英国が残した法律までも自ら高く評価とも言える発言をしたことは、大きなインパクトを持ち、これには、香港の外国人を含むエリートたちを引き留めるためもあろうともいわれており、中国のビジネスのゲートウェイとしての香港のメリットは、少なくともこの数年で大きく失われるものではないと考えられます。

 

 

 

2022年の香港の実質GDPは、約28,212億HKDとコロナ以前の水準まで戻ってきており、2023年は対中国ビジネスがより活発になることは予想に難くありません。香港でのビジネスを検討するに当たり、日本で報道されるイメージのみで左右されるのではなく、統計データ等の事実を理解した上で、香港を活用して将来的に中国ビジネスをどのように進めていくかという視点で判断する必要があるといえます。

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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