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深圳羅湖、「深圳香港現代商業貿易産業アップグレード発展区計画」を発表【大湾区情報レター Vol.52】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


  

 

 

 2022年12月30日、第1回香港深圳現代商業貿易産業アップグレード発展交流会議において、深圳羅湖区は深圳香港現代商業貿易産業アップグレード発展区計画を発表し、「羅湖深圳香港の綿密な融合発展に関する白書2022」(以下「白書」)を発表しました。

 

 その前の10月から11月にかけて、羅湖は「羅湖深圳香港の綿密な融合発展区建設加速実施計画」を発表し、45の具体的な取り組みを開始しました。また、中国人民銀行(深圳)と「深圳香港消費金融品質向上発展模範プロジェクト」の協力覚書を締結し、それには住民のクロスボーダー決済を促進する11の政策が含まれています。

 

 羅湖投資促進会議では、50万㎡の土地と200万㎡の良質な産業スペースを立ち上げ、商業貿易や消費などの分野で深圳と香港の綿密な協力関係を促進することとしました。羅湖地区は深圳と香港の協力において、頻繁に実用的な動きを見せており、深い融合と発展のペースは堅実進められています。

 「我々は羅湖の利点を最大限に生かし、香港人と香港企業に最大限の誠意をもって奉仕し、深圳と香港の深い融合と発展の新たなページを書き記します。」 羅湖区委員会副書記・区長である范徳繁氏はこのように述べました。

 かつて「発展の最前線」にいた羅湖は今、高い位置から再スタートし、深圳と香港の融合による中国現代都市建設の先頭に立ち、「香港のニーズ」に率先して応え、常に「羅湖ができること」に全力を注いでいます。新しい羅湖は、住んでよし、働いてよし、訪れてよしの快適な街となります。

 

 

1つの「宝の土地」と2つの「ミリオンスペース」

 近い将来、羅湖口岸に近い、面積9.6万㎡の土地において、香港 に近い税制政策が適用される予定です。多くの香港企業の進出により、深圳と香港の融合による試行地区のフィールドに花が開くことになります。

 

 香港と協力し、この「宝の土地」において「国内での輸出扱い」という特殊な監督管理政策を模索し、香港と同調化した税制の実施、香港と深圳の共同管理による産業園の計画、内外の「双循環」による連携を実現する場所である、と羅湖区委員会常務委員会、副区長である夏東氏は述べています。

 

 また、100万㎡を超える土地を開発する「ミリオンスペース」も計画に含まれています。2つある「ミリオンスペース」のうち1つ目は、アップグレード発展区内の良質な産業用建物のスペースです。今回、羅湖が注目したのは、「兆鑫匯金広場」「深房広場」「深圳国際貿易センター」「深城投センター」「深圳華潤ビル」などのビル、面積合計110万㎡となります。

 

 そして2つ目の「ミリオンスペース」は、アップグレード発展区において今後3年間で市場に投入される予定の、高品質な産業用スペースになります。羅湖では、大中華環球金融センター、城建雲啓ビル、深潤ビル、友誼城、食品ビルなど、合計130万㎡のハイクオリティなビルが新たに立ち上げられる予定です。

 

 

 

2つの「ミリオンスペース」は、深圳と香港の現代商業貿易のグレードアップと発展を強力にサポート

 羅湖は、深圳河沿いに約6.4万㎡の確保済の土地、清水河重点区域に35万㎡以上のハイクオリティな用地、大梧桐生態統合区に90万㎡超の産業用地を有しています。また、東門活力ファッション消費エリア、水貝黄金ジュエリー特色エリア、蔡屋囲国際ハイエンド消費エリア、人民南深圳香港融合消費エリア、筍崗「家文化」テーマの消費エリアには420万㎡以上の優良産業スペースがあります。

 

 「これらは、香港の北部都会区の建設とリンクしており、深圳と香港の現代商業貿易産業のアップグレードと発展を促進するために、羅湖の我々が取り出す本当の誠意となります」と夏東氏は述べました。香港の北部都会区の建設にリンクし、最高の環境、最高の生態を持つ羅湖は、香港投資家、香港企業、香港人が羅湖に進出、定住することを歓迎しています。

 

 

 

旧市街の庶民的雰囲気の中に個性的な消費エリア

 羅湖は元々香港が深圳で最も頻繁に交流し、香港人に最も親しまれている地域です。羅湖管轄地区には4万人近くの香港人が常住しており、深圳市の常住香港人の20%を占めています。また、羅湖には6,400社以上の香港系企業が進出しており、羅湖の外資系企業の9割を占めています。そして街中の建築のデザインも香港に似ており「香港っぽさ」が強く感じられるところとなっています。

 

 羅湖は深圳で最も消費内容が充実しており、消費貢献度が高く、消費産業が最も集中しており、消費の基本的役割を最も十分に発揮している地域の一つです。羅湖は「2021年中国夜間経済が盛んな都市・県トップ100」で全国8位、深圳市では唯一トップ10入りを果たしています。

 

 主要な商業貿易産業地域として、2021年、羅湖区の商業貿易産業の付加価値は433.56億人民元に達し、同区のGDPの17.2%を占めており、一人当たりの社会消費財の小売販売額は11万3,800人民元に達し、深圳市の平均レベルをはるかに上回りました。

 

 2021年、広東省政府工作報告において、深圳の国際消費センター都市建設を支援することが提案され、2022年、深圳商務局は「深圳市国際消費センター都市建設加速に関する若干の弁法」と関連支援策を発表しました。羅湖は深圳で消費においての模範とリーダーとして重要な役割を果たしており、国際消費センター都市の中核エリアの建設を加速させるという目標のもと、国際および国内消費市場の開拓と拡大に全力を尽くしています。

 

 先日、羅湖は観光業の発展のために「十」の支援策を打ち出し、観光によりビジネスをもたらし、全区域での消費拡大と質の向上を促進し、羅湖が消費サービスの国際中心地区となることを推進していきます。

 

 

 

1+1+N」プランニングシステムの構築

 羅湖は、香港の北部都会区と経済・社会の各分野で綿密に協力するための基盤と条件を備えています。

 

 「香港深圳現代商業貿易アップグレード発展交流会議」で発表された「白書」では、羅湖全域(約78.8km2)を香港の北部都会区と結び、出入境イミグレーションと周辺地域(約9.5km2)を中心に羅湖・香港間に現代商業貿易産業アップグレード発展区を建設し、「双城・三圏」(Twin City Three Circle )*に積極的に組み入れる計画が明示されました。

*「双城・三圏」:ツインシティー(双城)は香港と深圳市、スリーサークル(三圏)は深圳湾優質発展圏、港深緊密互動圏、大鵬湾/印洲塘生態康楽旅遊圏の3つのエリアを指し、当エリアにおいて現代サービス業、科学技術イノベーション産業、自然保護観光レジャー産業をそれぞれ推進していく計画である。

 

 羅湖は大湾区と先行デモンストレーション・ゾーンの建設を推進するグループを開設し、深圳香港口岸経済ベルトの司令支部を設置しました。羅湖はまた、中国国務院部門委員会、省、市の部門との連絡を強化し、北部都会区発展戦略チームと積極的に連携し、北部都会区発展連合を結成し、羅湖南・香港打鼓嶺地域における連絡システムを構築しています。


 「深圳市羅湖区金融業高品質発展支援に関する若干の措置」では、深圳、香港の金融面での協力発展を奨励し、両地間のクロスボーダー金融専門機関もしくは専門子会社が進出する場合、最大2,000万人民元の奨励金を提供し、専門人材には6万人民元の生活費補助を一度のみ、羅湖で1年間常勤で雇用された香港の若者には学士は2万人民元、修士は3万人民元、博士は5万人民元の補助金が最大3年間、毎年提供されます。羅湖深圳香港綿密な統合発展のためのスタートアップエリアでは、約100万平方メートルの質の高い産業スペースを提供する予定です。 香港の投資家、香港企業、香港人が羅湖に「来て、留まって、溶け込む」ことを歓迎するために、誠心誠意で臨んでいます。

 

 

 

香港・マカオ人材が中国本土に溶け込むための「ファースト・ストップ」の創出

 深圳、香港間ボーダーの流動性のライフラインとして、出入境イミグレーションなどのクロスボーダー・インフラの整備が最優先のプロジェクトとして挙げられています。「白書」によると、羅湖は羅湖イミグレーションの改善、改築を全力で推進し、文錦渡イミグレーションの生鮮貨物運送機能の移転を加速し、質の高い良質なビジネスに特化したイミグレーションの建設に力を入れています。また、羅湖では、深南路東部沿線や地下鉄17号線などのプロジェクト建設を加速させ、香港スタイル生活中心圏の事業サービスを強化します。

 

 深圳と香港からの各種人材を集め、香港、マカオの人材が中国本土に溶け込むための「ファースト・ストップ」を構築するために、羅湖は、イミグレーション周辺に香港とマカオの若者のイノベーション・インキュベーションの基地を開設し、北部都会区建設に向けた深圳市内で最初の人材の育成トレーニングを開始し、香港人材の育成のための特別支援の導入が開始されます。

 

 クロスボーダー要素の融通という点では、羅湖は「深圳・香港通関デジタル人民元全地域消費フェア」を開催し、デジタル人民元の実証応用シナリオを深圳と香港で拡大します。引き続き、クロスボーダークレジット改革を深く推進し、行政サービスや国民生活の保障などの分野で多くの改革実証プロジェクトの実施を推進します。

 

 産業の発展、共栄といった面では、羅湖は保有している工業団地のアップグレード、改築を進め、深圳や香港からハイエンド技術や製造分野を導入する予定です。深圳の宝石や玉石の総合取引プラットフォームを利用し、香港のジュエリー産業が中国本土に進出し製品を展示・販売し、需要と供給をマッチングさせるプラットフォームを提供します。

 

 公共サービス交流の面では、羅湖は香港・深圳家庭仲介サービスセンターを開設し、人民南地区には香港医療保健プラットフォームを建設するなど、より多くの私立学校が香港籍学生向けのクラスを開設するのを支援し、越境家族総合サービスや深圳・香港高齢者サービススキームを立ち上げるなど、住みやすい、仕事をしやすい、新しい空間を作り出すことに注力します。

 

 香港人を羅湖の生活にさらに溶け込ませるため、香港と深圳の綿密な融合と発展のための交流センターを建設し、「羅湖香港・深圳女性児童交流活動センター」の建設を開始する予定です。第1回香港・深圳文化月間では、文化交流を通して両地域の住民の融合と発展を促進するための一連の活動が予定されています。

 

 

 

【参考資料】

・深圳羅湖、「深圳香港現代商業貿易産業アップグレード発展区計画」を発表

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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