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【中国】勉強してみませんか?中国子会社からの配当金送金について

日本の会社では通常、3月末を本決算にされている企業が多いかと思いますが、それに対して中国では、どの企業も一律1月1日~12月31日を1つの会計期間と規定されているため、中国企業はすべて12月末決算となります。

 

その期末決算に伴い、日系中国企業の多くは親会社である日本本社や中間会社の香港法人へ、“当期はいくら期末配当を支払えるか”と、よく話題になるかと思います。今回はそんな中国会社から外国の親会社へ期末配当をする場合の、配当送金に関わる手順・手続き及び留意点についてご紹介したいと思います。

 

 

 

1. 配当金金額の決定

日系中国企業のような外資企業は、一般的に、監査済み財務諸表の確定した未処分利益を参考にして配当金の金額を決定することになります。その際、未処分利益については税引後の利益から過年度の繰越損失と相殺し、更に”規定された一定比率の法定積立金”を控除した残高となります。またこの残高を全額配当することも可能です。

 

ただ、もし配当後運営資金が足りなくなってしまった場合、外貨での借り入れ、もしくは増資などの外貨の手続きが必要となり、この手続きはかなり時間がかかってしまうため、配当後の運営資金(支払いなどのキャッシュフロー)に支障が出ず、経営に影響を与えない前提で配当額を考慮する必要があります。

 

また先ほどお話しした、”規定された一定比率の法定積立金”についてですが、外資企業が一般的に積立てなければならない一定比率の法定積立金”以下となります:

 

1、利益準備金

会社は、毎年税引き後利益の10%を法定準備金として積立てなければなりません。ただし、会社の法定準備金の累計額が会社の登録資本金の50%以上となった場合、新たな積立を必要としません。

 

また過去年度より繰り越されている欠損金は、当年の利益をもって欠損を補填しなければなりませんが、その補填する利益が不足している場合、法定準備金による欠損金の補填が認められています。

 

 

2、従業員奨励福利基金

従業員奨励福利基金は、従業員の集団福祉(非経常奨励、住宅購入や修繕など)に使用されます。ただ、積立ては任意であるため、企業によっては積立比率を0%に設定、つまり積み立てを行わないとすることも可能です。

 

 

つまり、外商投資企業にとって、配当前に法定利益準備金を登録資本金の50%までは必ず計上しなければなりませんが、その他の積立金については、従業員への福利厚生についてどのようにするかなどその企業の特性や計画に基づき、株主総会や取締役会を通じて決定されることになります。

 

また、監査後に行われる期末配当金だけではなく、期末を迎える前に配当金を出すことも認められています。もし年度決算の前に、過去年度から繰り越されている未処分利益ではなく、当期の利益から配当金を出す場合は、配当特別監査(ステップ3)を受ける必要があります。

 

 

 

2. 配当金に関する議事録の作成・署名

董事会/株主総会により、配当金金額及び配当金の通貨について決議しなければならないため、議事録にそれら決議事項が明記されている必要があります。

 

ここで注意していただきたいことは、中国の監査報告書では人民元が表示通貨のため、人民元にて未処分利益が開示され、また税務局にも人民元で申告・納税する必要があります。そのため、配当金を外貨にした場合、関連手続きが煩雑となるため、配当金の通貨は人民元の方が簡便となります。

 

もし、どうしても米ドルなどの外貨で配当を送金してほしいと親会社から依頼された場合であったとしても、決議された配当金の通貨を人民元としたまま、実務上は、以下のような方法で外貨で配当金を親会社へ送金することが可能です。

 

A. 中国側の銀行にあるRMB口座でUSDに両替してから送金する。

B. 中国の銀行にUSD口座に配当額が保有されていれば、当日の為替レートにて決議された人民元の配当金額に相当するUSDの金額を送金する。

 

 

 

3. 期中配当したい場合-特別監査報告書の発行(オプション)

年度決算を迎える前に、当期の未配分利益から期中配当金を出す場合は、特別監査(中国語:专项审计)を受け、そして税務局の許可を取得する必要があります。

 

また、特別監査において監査報告書ドラフトが発行された段階で、念のため、監査報告書ドラフトの内容が、銀行(外貨管理局)の要求に満たしているか否か(主に文言の表現とか)を、銀行担当者へ一度確認されることが推奨されます。

 

 

 

4. 会社の中国所在地域の税務局で源泉所得税の申告・納付

中国では外資企業が中国国外にいる株主へ配当金を送金する場合、源泉徴収となる企業所得税を申告し、納付する必要があります。

 

申告の際に必要となる資料は、一般的に配当金に関する議事録と監査報告書の提出が必要となります。これ以外に追加で提出しなければならない資料があるかについては、地域によって異なるため、事前に管轄の税務局の担当官(税務専管員)へ確認されることが推奨されます。また、海外送金となるため、税務局で対外支払届け出手続き(中国語:对外支付备案)も行う必要があることにご留意ください。

 

また源泉徴収の企業所得税を納付するタイミングは税務局での申告手続きの際となります。そして源泉徴収の企業所得税税率は、日本と中国の間に締結された租税協定に基づき、10%となります。

 

直接の親会社が香港会社の場合は、一定の条件を満たすことで、この税率が5%の優遇税率を適応することが可能となります。また優遇税率を適応する際に必要となる書類として、香港税務局が発行する親会社となる香港会社の「香港税務居民証明書」を取得する必要があります。

 

 

5. 銀行での送金手続き

必要となる資料は、一般的には配当金に関する議事録と監査報告書、そして、ステップ4の手続きにより源泉所得税税金を納付した後に、取得した企業用の控え資料となります。(もし対国外の支払い手続きに関する控えの資料があれば、こちらも準備されることが推奨されます。)ただし、こちらも事前に取引先の銀行へ確認された方がよいかと思います。

 

 

 

 

 

弊社は、この配当に関する一連の流れに必要となる手続きのサポートや、香港税務居証明書の申請サポート等も行っております。ご入用の際はいつでもお気軽にご相談ください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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