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「クロスボーダー・ペイメント・ゲートウェイ」の始動で加速する大湾区一体化【大湾区情報レター Vol.93】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

 

2025年6月22日、中国本土と香港両地の居住者が、スマートフォンで相手の電話番号や銀行口座番号を入力するだけで、いつでもどこでもリアルタイムで送金できる「クロスボーダー・ペイメント・ゲートウェイ(中国語で「跨境支付通」、以下「ゲートウェイ」)」が正式にスタートしました。

 

初期段階では、両地域それぞれ6つの銀行がサービスを提供し、当面は手数料無料となっています。同日には、全国初となる中国本土から香港への送金(南向き)および香港から本土への送金(北向き)が深圳において実施されました。

 

 

オンライン・モバイルバンキングで、いつでもどこでもクロスボーダー送金が可能

従来のクロスボーダー決済は、国際的仲介機関を経由するため、時間とコストがかかるのが一般的でした。今回導入されたゲートウェイは、中国本土の銀行間決済システム(IBPS)と香港の高速決済システム「FPS(轉数快)」を相互接続することで、送金ルートを大幅に短縮しています。

 

これにより、オンラインバンキングやモバイルバンキングを通じて、いつでもどこでもクロスボーダー送金が可能となり、資金は即時に着金します。送金コストが大幅に削減されるだけでなく、金融主権の強化やリスク耐性の向上にもつながっています。

 

深圳在住の方さんは、香港の学校に通う娘に送金する際、これまでは人民元を香港ドルに両替し、送金してから着金まで半日以上かかっていました。現在では、スマートフォンで必要な情報を入力するだけで、簡単に送金を完了することができます。香港市民からも

 

「以前は市内の両替店の資金ルートに問題があると、マネーロンダリングの疑いをかけられ、口座が凍結されることもありました。最も原始的な方法は、香港で人民元に両替し、現金を持って自ら国境を越えることでした」

 

との声が寄せられています。ゲートウェイの導入により、「大湾区での不動産購入」や「休日のたびに中国本土へ旅行」といった生活が、より便利になります。

 

このように、広東・香港・マカオの金融インフラが相互接続されることで、住民の資金移動のニーズに応えるとともに、生活やビジネスの交流を促進し、大湾区の一体化が加速することが期待されています。

 

 

 

決済の利便性の向上が「北上する香港人」の消費力を拡大

クロスボーダー・ペイメント・ゲートウェイの導入背景には、中国本土と香港の交流の緊密化、経済・貿易協力の活発化、そして南下、北上の消費需要の高まりがあり、効率性及び安全性の高さ、及び迅速な資金循環がより強く求められるようになったことがあります。

 

決済の利便性の向上は「北上する香港人」の消費力を拡大させています。現在では、クロスボーダー決済がよりスムーズになり、都市間の消費もより便利になりました。人の流れ、資金の流れ、ライフスタイルの融合が進み、「私たちは皆大湾区の住民である」というアイデンティティも、より深く根付いていくことが考えられます。

 

さらに、ゲートウェイは、相互接続が秘めている持続的な革新のポテンシャルを持っている面でも高く評価されています。香港メディアは

 

「香港は人民元によるクロスボーダー決済推進のための実験の場となり、世界のデジタル通貨発展に貴重な経験を提供している」

 

と報じています。現在は人民元と香港ドルの送金のみに対応していますが、将来的にはより多くの通貨や国・地域に対応する真のグローバルな決済プラットフォームへと進化する可能性があります。香港金融管理局(HKMA)の関係責任者も、導入状況を踏まえ、同システムの順次拡大、改善を進める方針を示しています。

 

つまり、クロスボーダー・ペイメント・ゲートウェイは、従来の国際送金が抱えてきた効率性やコストの課題を解決するだけでなく、人民元の国際化を促進する重要な手段とあり、両地の発展にさらなる可能性をもたらす重要な突破口となることが期待されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

以支付便利化助力湾区一体化

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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