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大湾区がグローバル医薬イノベーションの「第一候補地」へ!【大湾区情報レター Vol.100】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

2026年1月28日、「多国籍製薬企業 大湾区ビジネス懇談会」が広州で開催されました。

 

ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー、アストラゼネカ、バイエルなど15社の多国籍製薬企業から中国地区総裁および部門責任者ら40余名、広東省関係機関および珠江デルタ地域9市の政府関係責任者と専門家が一堂に会し、世界の医薬産業のトップレベルの知見が集まる対話が繰り広げられました。

 

参加者らは、

  • 「国家医療保険制度による医薬品価格交渉対象薬の大湾区における運用」
  • 「革新的医薬品に関する商業健康保険の進展」
  • 「『港澳薬械通』* の実施と最適化」

 

などのテーマについて踏み込んだ意見交換を行い、大湾区が世界の医薬品イノベーション資源として魅了させていく決意を示すとともに、開放と相互利益を特徴とする産業エコシステムの構築に向けた道筋を描き出しました。

 

 

* 港澳薬械通とは:

香港やマカオで承認済の薬品や医療機器を広東省の指定医療機関が輸入、使用できるスキーム

 

 

 

政府・企業協力で医薬品の高品質発展に向けた「大湾区モデル」を模索

懇談会において、広東省の関係部門の責任者は、過去2年間に広東省が20件近くの関連政策文書を相次いで策定し、

 

  • 全産業チェーンをカバーする発展計画、
  • 優位性のある分野を対象とした特別政策、
  • 未来産業の行動計画

 

という「政策パッケージ」を形成し、企業に対して全面的で持続可能な優れた発展環境の構築を目指していると紹介しました。

 

出席した多国籍製薬企業の代表者は、総じて大湾区のマーケットには大きな潜在力があり、イノベーション環境も日々整備されていることから、将来を見据えた事業展開における戦略的要地であるとの認識を示しました。

 

 

香港ウィンヘルス・ファーマ(維健医薬)の創業者、王威氏は、

「広東省は、開放的な姿勢で世界の医薬品イノベーションにおける重要な発信地となりつつあります。

 特に革新的な医薬品の市場参入において、大湾区には大きな可能性がある」

 

と述べました。

 

現在、広東省では革新的な医薬品・医療機器の製品リストを定期的に発表する仕組みを確立し、より多くの革新的な医薬品が速やかに医療保険の適用リストに組み入れられるよう推進しています。

 

 

 

支払いのデジタル化とワンストップ決済サービスによる利便化を促進

さらに、遠隔地受診時の「デュアルチャネル」直接決済を促進し、患者が地域を越えて医薬品を利用しやすい環境を整えています。

 

支払い保障の面では、広東省はまず、全省の医療保険個人アカウントから民間の医療保険を購入するためのチャンネルを開通させました。

 

現在、10都市でこの制度が実施されており、22のパイロット病院では民間保険による直接支払いが実現し、患者が費用を一時立て替える必要がなくなっています。

 

さらに「医療保険+民間保険」のワンストップ決済サービスを提供し、患者の負担を一層軽減しています。

 

現在、広州、深圳、珠海など7都市では、「港澳薬械通」の対象製品の一部を医療保険の保障範囲に組み入れており、より多くの患者がこれらの革新的医薬品を利用でき、かつ負担可能なものとなるよう努めています。

 

 

 

ファイザー製薬の上級副総裁である銭雲氏は、

 

広東省が先行優位性を活かし、率先して「省レベルの商業保険・革新的医薬品清算プラットフォーム」を構築することで、従来の「一時立て替え、後日払い戻し」というプロセスを根本的に解消すべきで、同時に、基準を統一することで保険会社の運営コストを削減し「目録-支払い-使用」という好循環を形成するべきである。

 

と述べました。

 

また、ジョンソン・エンド・ジョンソン(イノベーション製薬)中国区総裁の黄琛氏は、

 

医療機関が民間保険を迅速に導入するよう促すための具体的なインセンティブ措置を打ち出し、国家医薬品価格交渉対象薬の適用に関する政策についての研修や広報活動を強化し、優れた政策が現場の医師にまで確実に浸透するようにすること。

 

と提案しました。

 

 

 

「港澳薬械通」が医薬品・医療機器承認の「ファストトラック」に

「港澳薬械通」政策は、多国籍製薬企業が注目する一大焦点となっています。

 

関係者によると、広東省はこの2年近く、「広東省の大湾区内にある九都市における香港・マカオからの医薬品・医療機器輸入管理条例」などの法規政策を策定・施行し、申請手続きの標準化とプロセスの最適化を通じて、審査承認の効率を大幅に向上させました。

 

中国本土への輸入が承認された香港・マカオの医薬品・医療機器の品目数は、2023年の48品目から現在では146品目に急増しています

 

また、指定医療機関は19機関から71機関に拡大し、大湾区内の9都市すべてをカバーしています。

 

この「ファストトラック」は、多国籍製薬企業の革新的な製品が、より円滑に大湾区市場に参入するための後押しとなっています。

 

フランスのセルヴィエ中国の総経理であるMANUEL RUIZ氏は懇談会で、

 

2025年、当社が開発した希少な脳腫瘍治療薬が「港澳薬械通」の制度を通じて広東省で承認されたため、中山大学腫瘍防治センターでいち早く使用されることができました。

「港澳薬械通」は非常に影響力の大きい制度的イノベーションであり、新薬が中国市場に参入する際に直面する構造的な課題に的確に対応しています。

 

と、成功事例を紹介しました。

 

 

 

リアルワールドデータを用いた研究も加速

また「港澳薬械通」は、多国籍製薬企業が大湾区でリアルワールドデータ*を用いた研究(RWD研究)を実施するための条件を整えています。

 

*リアルワールドデータとは:

診療録(カルテ)や処方箋、ウェアラブルデバイスのデータ等がリアルワールドデータと呼ばれており、医薬品などの研究・開発、公衆衛生、医療経済など幅広い分野で利用されています。

 

これを受け、広東省は関連政策を打ち出し、公立医療機関と企業との連携による当該研究の実施を明確に支援するとともに、申請手続きの詳細を定めました。

 

これまでのところ、7社の多国籍製薬企業が大湾区内の4つの医療機関と連携し、9件のリアルワールドデータ研究を実施しています。

 

 

暨南大学・大湾区医薬品・医療機器リアルワールドデータ研究院院長の蒋傑氏は、

 

大湾区は、外資系企業がリアルワールドデータ研究を実施する上で、最も理想的な環境です。

 

同研究院が設立当初より目指しているのは、『港澳薬械通』の対象製品が大湾区のパイロット病院で使用されるにあたり、リアルワールドデータに基づく安全性、有効性、そして経済性の評価を提供することです。

 

現在、同研究院は既に3件の前向きリアルワールドデータ研究と、複数の後ろ向きリアルワールドデータ研究を完了しています。

 

と述べました。

 

 

 

近年、大湾区に対する多国籍製薬企業の関心はますます高まっています。

 

現在、サノフィ・パスツール、フェリング・ファーマ、アスペン・ファーマ、アストラゼネカを含む複数の多国籍製薬企業が広東省に生産拠点や地域統括本部を設立しており、その他の企業も重要な支社・拠点を設置しています。

 

キエジ・ファーマ中国総経理の鄧浩青氏は、

 

多国籍企業は、革新的な医薬品・医療機器の導入者であるだけでなく、広東省の医薬産業の質の高い発展を支える長期的なパートナーでもあります。

 

将来的には広東、香港、マカオ三地域の医薬品登録に関する連携メカニズムを強化し、いずれか一地域での登録申請に基づき、三地域で同時に事前審査を行うことを可能にし、大湾区におけるリアルワールドデータ研究の戦略的ポジショニングを高めることで、大湾区のデータが、革新的な医薬品・医療機器の全国市場参入を後押しする『促進剤』となることを期待しています。

 

と述べました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

大湾区加速迈向 全球医药创新“首选地”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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