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複数拠点で働く方のための香港個人所得税申告

 

香港では、毎年4月より新たな課税年度が開始されます。香港にお住まいの方や、香港で所得を得ている方におかれましては、5月初旬に個人所得税申告書(通称:BIR60)を受領されているかと存じます。

 

香港の税務制度は日本とは異なり、会社が従業員に代わって納税を行う「源泉徴収制度」ではなく、各個人がそれぞれ申告・納税を行う必要があります。そのため、ご自身の勤務形態や滞在状況に応じた正しい申告が重要となります。

 

この個人所得税の申告時期である4月から5月にかけて、弊社に多く寄せられるご相談の中に、

 

「1年のうち香港と日本を行き来して勤務していた場合、どのように申告すればよいか」

「香港を拠点にしながら中国などへ出張していた場合の課税関係はどうなるのか」

 

といった、複数の拠点を移動しながら働かれている方からのお問い合わせが数多く見受けられます。

 

そこで今回は、こうした複数拠点で就労される方に向けて、香港における個人所得税の基本的な考え方と申告方法について、分かりやすく解説いたします。

 

 

 

香港の課税の基本ルール

日本では「全世界所得課税制度」が採用されており、居住者である限り、日本国内外で得たすべての所得が課税対象となります。一方で、香港では日本とは異なり、「源泉地所得制度(Territorial-Basis)」が採用されています。

 

この制度のもとでは、原則として香港で発生した、または香港に源泉を有すると判断される所得のみが課税対象となります。

 

ここで重要となるのは、「所得の源泉がどこで発生しているか」の判断です。単純に滞在していた場所だけで判断されるわけではなく、「どの場所、誰に対して役務提供を行ったか」という観点が重視されます。特に給与所得の場合には、香港に所在する会社に対して提供したサービスの対価が、香港源泉所得として課税対象となるケースが多く見られます。

 

またこの課税対象となるか否かの判断については、最終的に香港税務局に委ねられる内容となるため、日本や中国大陸側で得た給与や報酬を香港の個人所得税の申告内容に含めなくても良い、という判断をご自身では行わず、基本的に香港外で得た所得についても一旦内容に含める必要があることにご注意ください。

 

そのため、「香港にいなかったから非課税になる」といった単純な判断を自身では行わず、基本的な税務局の判断基準としては、雇用契約の内容、業務の実態、勤務場所などを総合的に考慮されることになる、という点にご留意ください。またこの点が、日本の税制との大きな違いであり、複数の国や地域を行き来しながら働く方にとっては、特に注意が必要なポイントとなります。

 

 

 

注意すべきポイント

先ほど香港外で得た所得についても、一旦申告内容に含める必要がある、と記載しましたが、それに関連して日本本社から香港へ出向されている方や、短期・長期の出張で香港に滞在されている方からよくいただくご質問の一つに、

 

「香港の会社または日本本社から受け取っている各種手当も、香港での課税対象になるのか」

 

というものがあります。

 

「手当」と聞くと、住宅手当、移動手当、出張手当など、給与本体と比べて金額が少額であることも多く、申告時に見落とされてしまうことが少なくありません。

 

しかし、これらの手当であっても、「香港の会社のために役務提供を行ったことに対する対価と判断される場合」には、その名称や金額の大小にかかわらず、申告内容に含める必要があり、また香港における課税対象となる可能性が高いことにご注意ください。

 

このように、支給元が日本本社であるか香港法人であるかにかかわらず、「どの場所で、誰のために業務を行った対価なのか」という点が、課税判断において非常に重要となります。複数の国や地域を行き来しながら勤務されている場合には、給与本体だけでなく、各種手当や補助金についても、改めてその点を明示した契約書などを作成されておくことが推奨されます。

 

 

 

申告の際の注意点

個人所得が香港のみで発生している場合であれば、雇用主である香港法人が各従業員へ支払った報酬内容が記載される「雇用主支払い申告書(Employer’sreturn 通称BIR56ABフォーム)」という、事前に税務局へ提出している申告内容と、個人所得税申告書の記入内容が一致しているかどうかを確認することが重要な点となります、

 

しかし、複数拠点で勤務されている場合、その確認も重要ですが、上述の通り各拠点にて受領した給与などの報酬内容についても含まれているかどうか確認しなければならにて点に注意する必要があります。

 

その際、申告内容が香港では非課税であるとしたオフショア申告をする場合や、滞在期間に応じた所得の按分という形で申告を行う場合には、渡航日数の根拠となるTravel Recordや出入境記録を適切に整理・保管しておくことが推奨されます。

 

申告内容と会社側の申告内容に差異があると、税務署から照会や修正を求められる可能性もあります。個人所得税の申告が複数拠点で報酬が発生している場合などは、申告前に専門家へ相談することをお勧めいたします。

 

 

 

まとめ

香港では源泉地所得課税制度が採用されているため、複数拠点を行き来しながら勤務されている場合、申告方法や所得の取扱いは勤務実態や役務提供先によって判断されます。給与だけでなく各種手当や按分計算、申告書の整合性など、注意すべき点も多く、自己判断による申告にはリスクが伴います。

 

将来的な修正やトラブルを防ぐためにもご自身のケースが正しく申告できているか不安な場合は、是非弊社へお気軽にお問い合わせ下さい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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