NEWS

ニュース

外貨管理局の外貨管理サポートの改善および知的資産に対する法律保護の全面強化について【ニューズレター Vol.78】

不定期ではございますが、青葉グループではニューズレターを配信しております。青葉ニューズレター【Vol.78】の内容は、

 

  1. 「就業補助金金類政策リスト発布及び第一陣地区におけるオンライン受給申請プラットフォームに関わる通知」
  2.  国家発展改革委員会西部大開発企業所得税政策の継続に関する公告
  3. 「国家外貨管理局の対外業務発展に関わる外貨管理サポートの改善に関する通知」
  4. 最高裁判所による「知的資産に対する法律保護の全面強化に関する意見」の発布
  5. 最高裁判所による新型コロナウィルス感染発生に関わる民事事件の審理についての指導意見(一)

 

となっております。

今回はその中から「国家外貨管理局の対外業務発展に関わる外貨管理サポートの改善に関する通知」および最高裁判所による「知的資産に対する法律保護の全面強化に関する意見」の発布について、ご紹介いたします。

 

(*全記事が記載されているニューズレターはこのリンクからダウンロードしていただけます。)

 

 

 

1. 外貨管理局の外貨管理サポートの改善に関する通知

新型コロナウィルスによる経済的な影響の防止策として、国家外貨管理局は4月24日に「国家外貨管理局の渉外業務発展に関わる外貨管理サポートの改善に関する通知」(以下「通知」)を発布し、外貨業務の手続きの簡略化を含めた外貨業務サービスの改善措置を発表した。

 

「通知」は、企業の外貨管理業務の手続きを簡略化、また条件を緩和することが記載されている。また銀行及び外貨管理局により引き続き事後の抜取検査及び監督管理方式は行われるため、企業は検査に備え関連資料を保管することが推奨される。

 

 

主要内容

一 外貨管理業務の改善

(1)資本項目収入の支払利便化を全国展開

一定の条件を満たす企業は資本項目収入(資本金、外債、国外上場などで得た収入)を国内での人民元(元転した)による支払いをする際に、真実性の証明資料を事前に銀行に対して提供する必要がなくなった。

 

しかしながら、引き続き銀行は事後に抜取調査を行い、所在地の外貨局がモニタリング分析と事中・事後の監督管理を強化する。

 

 

(2)特殊払戻外貨送金業務登記の撤廃 

貨物貿易の外貨収支企業名簿分類でA類に当たる企業は、以下の条件において、事前に外貨管理局での登記手続きを行う必要はなく、直接金融機関で手続きが実施できるとした。

 

☑ 5万米ドル以下相当の金額

☑ 払戻のための外貨返金日と当初の入送金日までの期間が181日以上、

もしくは 特殊な状況により当初のルートで返金できない場合

 

 

(3)資本項目の業務登記管理の簡潔化

一定の条件に合致する「内保外貸」と「国外貸付」の抹消登記業務を、外貨管理局から管轄内銀行で直接抹消登記手続きを行うことができる。

 

・内保外貨の抹消登記: 非金融企業が「内保外貸」の責任を解かれ、且つ内保外貸において契約された事象が発生していない状況下が条件。

・国外貸付の抹消登記: 非金融企業の海外での貸付の期限が満了し、且つ正常に国外貸付の元本と利息を回収した状況下が条件。

 

 

※「内保外貸」とは:

中国国外銀行が、中国企業の海外支店または海外子会社などの国外企業に対してローンを貸し付ける際、国内銀行が担保を提供することを意味する。

 

 

(4)輸出背景のある国内外貨ローンに対して外貨購入による返済の緩和

輸出為替手形などの輸出背景のある国内外貨ローンにおいて、企業は原則上自身が保有する外貨もしくは貨物貿易の輸出外貨で受領した資金をもって返済しなければならない。(規定に従い経常項目の外貨決済口座へ入金および同時に決済手続きをする場合)

 

しかし、期限まで輸出業務の外貨を受領できず、且つ返済可能な外貨資金を保有していない場合、国内外貨ローンの貸付人である銀行は、慎重な業務展開の原則に基づき、企業のために外貨購入による返済手続きが可能となった。またこの場合、所在地の外貨管理局で関連状況の報告届出をする必要がある。

 

 

二、外貨業務サービスの改善

(5)外貨業務の電子証票使用による利便化。

銀行は、規定に従った電子証票審査方式を以って貨物貿易外貨収支を行う場合、該当企業の企業分類A類に所属し、且つ成立2年以上という条件を取り消す。

 

銀行は、規定に従った電子証票審査方式を以ってサービス貿易の初回収入と第二回目収入の外貨収支手続きを行う場合、電子取引証票を必ずしも印刷する必要はない。

 

銀行は、個人が外国為替の売買業務を行う際、外貨決済/外貨為替購入通知書を印刷する必要はない。

 

上述の銀行手続きは、電子証票の真実性、合法性及び使用の唯一性を確保し、且つ電子証票もしくは電子情報を5年間保管し、検査に備えなければならない。

 

 

(6)銀行のクロスボーダーEコマース外貨決済の改善。

多くの銀行が電子取引情報を用いて、クロスボーダーEコマースの市場を活性化させるため、取引情報の採取・真実性の審査などの条件をクリアするという前提のもと、外国為替の売買及び関連資金の入出金サービスの提供を支持する。

 

 

(7)業務審査の注記手続きの緩和。

金融機構は規定に従って経常項目の外貨収支を審査する際、内部統制の条件と実務上のニーズに応じて、実質的なコンプライアンス原則に則り、証票の正本に外貨入出金金額、日付、注記、また業務印の押印をするか否かなどを自主的に決定することが出来る。

 

ただし現行の規定に従って審査資料は事後調査に備えるものとする。

 

 

(8)銀行の金融サービスにおけるイノベーションを支持。

銀行が多種多様な方法により科学的な企業の社会的信用状況の評価を下すことを奨励している。

 

海外との入出金に困難をもたらすような、客観的にコントロール不可能な要素を持つ企業を分類し、また将来性のある中小零細対外企業に対しては、外貨ローンの延期や手続きの簡略化などを与える。

 

銀行が、外貨管理局のプラットフォームが開放する企業信用情報、為替レートなどの情報を利用し、コンプライアンスに則って経営及び業務に対するイノベーションを展開し、中小零細対外企業に対して金融サービスを行うことを推奨している。

 

 

 

法規リンク

「国家外貨管理局の渉外業務発展に関わる外貨管理サポートの改善に関する通知」

 

 

 

2. 最高裁判所による「知的資産に対する法律保護の全面強化に関する意見」の発布

最高人民裁判所は「知的資産権に対する法律保護の全面強化に関する意見」(以下は「意見」という)を発行した。米中経済貿易の第一段階協議で言及した商業守秘義務、知的財産権判決の執行と臨時禁止などの知的財産権問題に関連する内容を含み、法制度を充実させることで、司法政策を明確にし、司法保護を全面的に強化することといった内容となっている。

 

 

主要内容

法による保護、厳格な保護、精確な保護

「意見」では、以下について要求している。

 

① 立証責任の分配規則、立証妨害排除制度と証人出廷証言制度の充実、電子データ証拠の収集ルートを広げ、法による当事者の証拠に係る保全、調査検証申請のサポートにより当事者の立証負担の軽減に努めること。

 

② 知的財産権裁判方式の改革、法律に基づいた委託鑑定・訴訟中止・再審請求などの審査基準を厳格に把握することにより不必要な時間の消費を減少させる。

 

③ 第三者データを十分に活用し、法において知的財産権侵害による収益状況を確定させること。

 

 

深刻な状況の知的財産権侵害行為については、法により賠償額を高額で確定させ、法に基づいて偽物または海賊版商品及び主に知的財産権侵害にあたる素材やツールを没収・廃棄し、知的財産権侵害行為の再発を効果的に防止する。

 

異なる所有制度や国における当事者間の知的財産権にかかる合法的権益を平等に保護し、当事者が知的財産権訴訟において平等な手続きの権利と実体権利を確実に保障しなければならないとする。

 

 

長期間有効、効率が高く、全面的な保護

「意見」は、法により知的財産権に係る不誠実な訴訟となり得る行為を制止し、体制・制度の整備を強化し、司法保護全体の効果を高めると強調している。

 

関連部門との協力を強化、知的財産権保護を全面的な強化、裁判における基礎を強化、知的財産権の司法保護の全面的強化、これらの強力なサポートを提供する。

 

知的成果物の創造から運用までの全体的なつながり、案件の立案から執行までの全フローに対して、知的財産権の司法保護を全面的に強化する。

 

 

 

 

【法規リンク】

最高裁判所による「知的資産に対する法律保護の全面強化に関する意見」

 

 

 

ダウンロードはこちらから
  ↓
青葉ニューズレター【Vol.78】全記事

.

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
  2. 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
  3. 法律法規の解釈や特定政策の実務応用及びその影響は、それぞれのケースやその置かれている状況により大きく異なるため、お客様各社の状況に応じたアドバイスは、各種の有償業務にて承っております。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

Contact Us お問い合わせはこちら