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工作(就業)許可証を所持せず就労することの危険性について

  • 公開日 2020.07.30 最終更新日 2022.01.4 | ビザ 中国

 皆様の中でMビザを使って入国し、工作(就業)許可証の申請をせずに、そのまま就労されている方はいませんか?実際のところ法律上では、工作(就業)許可証を持たずに就労=不法就労となってしまいます。

 

 そもそもMビザって就労ビザじゃないの!?と疑問を持たれる方もいるかもしれません。以下、「就労」を取り上げたお話になります。

 

 

中国の就労手続きに関する3段階:

 習慣的に「ビザ」の一言で片づけてしまいますが、就労に関するものについては、実は3段階 ①Zビザによる入国 ②工作(就業)許可証の取得 ③工作類居留許可の取得 に分かれています。もちろんそれぞれの段階での細かい手続きはありますが、今回は枠組み説明のために省略しています。

 

 

①    入国ビザ

 まず、入国ビザ。皆さんがよく耳にされる、Zビザ、Mビザ、これらは入国に必要となるビザです。(日本人には今までノービザで中国に入国できてしまうという特権ありましたが、この際それは忘れてください。)下記入国に関するビザとその申請者の範囲になります。

 


 上表によればMビザはビジネス貿易活動となっており、つまり、Mビザで入国された方の中国国内での活動の対価である給与は、中国国内企業からではなく、中国国外企業が負担する場合のみ適用されるビザです。入国ビザの中で就労が許されるのは、基本的にはZで入国した者のみです。(Zを所持しているだけでは、就労は許されませんが。)

 

Mビザとは、目的は商用ではあるものの、その性質はFビザから分岐してできたビザで、中国国内での就労を目的としたものではありません。Mビザで許可される範囲は、あくまでもビジネス・技術の指導的な役割としての活動を目的として入国し、その範囲を逸脱してはいけません。

 

 

②    工作(就業)許可証 

 Zビザを所持して中国に入国した者が、必要書類をもって工作(就業)許可を得ます。この就業許可には、年齢、年収、学歴など9つの項目によって点数化された120点満点のA、B、Cの3つのランクに分けがあり、Cランクに分類されると就労許可がおりない可能性があります。

 

 

③  工作類居留許可

 工作(就業)許可証を得た後、この就業を目的とした居留の許可を得ます。それが工作類居留許可となります。つまり許可の下りた居留の目的が親族訪問であったり、留学だったりすることによって、この居留許可の種類は変わります。この許可の下りた目的以外によっての滞在は、不法と見なされます。

 

 

 上述にて 「この入国ビザの中で就労が許されるのは、基本的にはZで入国した者のみです」とも書きましたが、実はMビザで入国した方が、そのまま中国国内で工作(就労)許可証を取得することも可能です。もちろん工作(就業)許可証を取得するには、それ相応の書類等の提出が必要になりますが、完全に無理なわけではありません。ぜひこの機会に見直しされてみてはいかがでしょうか。弊社でのお手伝いも可能です。

 

 

工作許可を取得しなければならないケース:

 Mビザとは別に、下記の2つの状況に当てはまる場合、通常は中国において就業(仕事)をしていると見なされるため、工作許可証と工作類居留許可を取る必要があります。

 

  • 中国で仕事をする外国人は、その労働契約が中国国内の事業所と締結されたものである場合、中国での就業時間の長さに関わらず、中国で就業していると見なされる

 

  • 中国で業務をする外国人は、その労働契約が国外の法人と締結されたもので、労働報酬が国外であっても、中国国内において3か月以上業務を行うの者は(技術譲渡協議を行う外国籍プログラマー、職人、専門家は含まれない)、中国で就業していると見なされる

 

 

 その他、中国において「短期仕事任務の完了」であっても工作許可(短期)を取得する必要があります。下記にに当てはまる外国国籍人員は中国においての仕事の期限は30日を超えてはならず、入国後工作類居留許可を取らなくてはいけません。「短期仕事任務の完了」は下記の事由において入国し、且つ中国停留期間は90日を超えてはいけない。

 

 ① 国内の合作方に赴き、技術、科学テクノロジー、管理、指導などを行う

 

 ② 国内の体育機構に赴きテスト訓練を行う(トレーナー、スポーツ選手を含む)

 

 ③ 撮影を行う(広告、ドキュメンターリーなどの影像撮影を含む)

 

 ④ ファッションパフォーマンス(モーターショーのモデル、グラフィック広告の撮影を含む)

 

 ⑤ 営業性の演出に従事

 

 ⑥ 人力資源社会保障部門認定のその他の状況

 

 

不法就労の処罰について:

最後に、不法就労が発覚してしまった場合の処罰を法律条文から見ていきましょう。

 

 

 上記の通り、中華人民共和国出入国管理法第62条によれば、不法労働者は国外送還される可能性があり、また第80条からわかるように、不法労働をしていた本人、その仕事を紹介した者、並びに雇用した事業所体(企業)にも処罰及び罰金が課せられる可能性があります。

 

 

実例:

 法律ではこのような明記がありますが、実際にはどのような処罰が下っているか、というところに皆さんもご興味があると思います。下記、公開されている実例をご紹介いたします。

 

 

 他にも上記の就業許可と就業による居留許可のない不法就労とは異なりますが、すでに就業許可を取得していても、外国人に対しての当局の取り締まりも厳しくなってきているように感じます。例えば、異なる地域において発行された就労ビザを使って、別の地で就労することもまた不法就労にあたり、深センで実際に摘発例もあります。また就業許可更新の際にも、手続き必須書類ではない納税証明を求められたりする例も散見されています。

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 弊社青葉グループは、弁護士事務所、監査法人、コンサルティング会社の3本柱のもとスペシャリストが多く在籍する専門事務所です。在中国の日系企業の皆様へビジネスの採算性向上を第一にしたアドバイザリーに特化しており、中国特有の問題解決を多数経験をしてきた弁護士や公認会計士によって、最良のソリューション案を提供しております。そのため、同業他社様とは異なった多方面の切り口からのご提案をさせていただくこともあります。皆様が「困った」の際のご相談は、ぜひ青葉グループへお声掛けください。

 

 

 

 

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