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香港企業は、売掛金回収等中国国内販売の難しさにどう取り組めばいいのか?【大湾区情報レター Vol.31】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


 

 

 「大湾区香港事業者国内販売開拓調査報告書」が発表され、回答した業者の8割以上は既に中国国内販売事業を展開しており、そのうち83.1%が今後2年間にさらに国内販売事業を拡大する意向を示しています。 当報告書では、売掛金回収に関わる問題を解消するための政策や、香港事業者の品質上の強みを生かした規格認証の制定の必要性など、4つの重要な提案がされています。

 

 アンケートは、2021年8月から11月にかけて、香港工業総会(FHKI)とスタンダードチャータード銀行が、FHKIとその傘下の珠江デルタ工業協会の会員を対象に実施し、有効回答数104件、そのうち84社が大湾区に工場を保有している企業でした。これら工場保有企業のうち78.6%が海外と中国本土の両方に向けた販売を行っており、回答企業の50.7%が自社ブランドを有しており、また中国国内販売を行っている企業の83.1%が2年以内にさらに事業を拡大する予定であることがわかりました。 そして製造業の上位3位は、コンピューター/エレクトロニクス(20.2%)、プラスチック(19%)、金属(15.5%)でした。 また、全体の16.7%が中国本土への販売を行っておらず、そのうち半数は2年以内に販売を開始すると回答しています。

香港企業の61%が研究開発に注力

 今後2〜3年の間に、国内販売実績の20%までの増加を見込む企業は68.8%にのぼります。中国本土での国内販売拡大の要因のトップ3は、「巨大市場のポテンシャル」、「既存のビジネスネットワークの活用」及び「企業の高度化と構造転換」です。 また 当調査の結果は、香港企業の中国本土における同業企業に対するアドバンテージは、製品の品質、技術の研究開発、企業管理であることを示唆しています。 従って、主な開発戦略は、製品開発・設計(61%)、中高価格帯マーケットへの注力(42.9%)、国内販売のための専門チームの設置(41.6%)という傾向にあります。

 

 中国国内販売経験が6年以上ある企業の46.7%が、国内販売による予想売上高に達しており、早期に進出したことによる優位性を示していることが反映されています。 一方で、国内販売経験6年未満の企業では、国内販売による予想売上高を達成したのは34.6%に過ぎません。 これは、この10年間で中国本土のマーケットが大きく変化し、新規参入者が足場を固め、優位に立つことが難しくなっていることを示しています。香港企業の74%が今後5年間で中国本土での競争がますます激しくなると考えている一方、同期間において優位性を維持できると考えている香港企業はわずか19.5%となっています。 香港工業総会名誉会長のダニエル・イップ(葉中賢)氏は、両地域の消費者の嗜好には違いがあるため、まず小規模での早期参入を行い、国内販売専門のチームにより変化を把握し、商品の改良を行うという方法をとることが可能であると分析しています。

香港企業が科学研究をうまく活用することを提案

 企業が国内販売事業を展開する上での課題として、(5点を最高点として)厳しい環境保護政策や事業規制(3.97点)、労働力不足(3.94点)、税制問題(3.94点)を挙げていますが、最大の課題は、取引における信用リスク(4.12点)であり、リスクはサプライチェーンに沿って悪化し、企業間の関連取引により、個々の企業の信用リスクが他企業に対して高くなる可能性がある、と報告に掲載されています。 中国における貿易信用保険の規模は比較的小さく、国内の貿易リスクに関する情報を集める仕組みが現時点にないため、中国における貿易信用保険の供給は需要に対して不足しています。

 

 

 

 

【参考資料】

・香港企業は、売掛金回収等中国国内販売の難しさにどう取り組めばいいのか? (HKET 2022年3月2日)

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
  2. 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
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