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KYC (Know Your Client) って何?~ 金融、専門サービスにおける「本人確認」手続き

10年ほど前までの話でしょうか、皆様ご存じの通り、香港では「簡単に会社が設立できる」「銀行口座が簡単に開設できる」と、よく言われてきました。登記システムなどは以前から変わらず、簡単に会社が設立できる点は今も全く変わっていませんが、肝心な銀行口座を開設できなかったり、また既に保有していたとしても、銀行口座の保持が近年随分難しくなってきており、様々な要因によりせっかく開設した口座が凍結、または閉鎖されたりしてしまうようなことをよく伺います。

 

今回は、このような状況となった要因の一つであろう背景についてお話しいたします。

 

 

 

マネーロンダリング防止及びテロ資金対策条例の施行(2018年3月1日)

香港の会社条例(香港条例第622章)が改正され、マネーロンダリング防止及びテロ資金対策条例(Anti-Money Laundering and Counter-Terrorist Financing Ordinance、略称“AMLO”)が2018年3月1日に施行されました。

 

これにより、主に金融機関、不動産、専門家サービス業者が顧客管理(サービス提供のための顧客受入、顧客管理)のために「顧客デューデリジェンス(Customer Due Diligence、略して”CDD”)」の手続きを行うことが義務付けられました。また、このアンチマネーロンダリング・テロ資金対策は、香港のみだけではなく、国際的に進められており、ご存じの通り、日本でも同様の手続きが求められるようになってきています。

 

 

「顧客デューデリジェンス」について

 

この「顧客デューデリジェンス」とは、顧客の「本人確認」を行う手順であり、通称「KYC(ケーワイシー :Know Your Customer/Clientの略)」と言われています。各監督官庁から「ガイドライン(手引)」が発行されており、各業者はガイドラインに従って、顧客より情報、資料を収集し、保管することが求められています。ちなみに弊社(青葉)でも会計監査業務、会社秘書役業務のご提供に伴い、お客様に同手続きのお願いをさせていただいております。

 

顧客が個人の場合は、パスポートまたは香港IDカードのような身分証明書および住所証明書類(直近の公共料金の請求書、日本の有効期間内の運転免許証など)を確認させていただきます。そして法人の場合は、取締役、および株主構成(直接間接を含む)とその実質的な法人の支配者に関する情報の入手を行うことになります。この確認は、通常、最終的な支配者とされる個人までさかのぼって情報を開示していただき、その個人の本人確認も行われる必要があります。(身分証明書や住所証明書の開示など)

 

これらの情報の収集が適切に期間内に完了できない場合、金融機関、専門業者は、顧客との取引停止をせざるを得なくなる、ということになります。特に銀行は、銀行口座がマネーロンダリングやテロ資金の温床になるリスクが非常に高いことから、銀行口座の出入金の動きが少なかったり、このKYCが完了できていないような場合、一時的に口座が凍結したりして、取締役や本人が香港に渡航し、本人確認書類を提示の上手続きをしないと回復できない、ということが多く発生しています。

 

 

 

Certificated True Copy(原本証明)とは?

さて、上記の「本人確認」手続きでは、各証明書の原本を直接金融機関、専門業者へ提示し、確認してもらうことができればよいのですが、それができない場合には、「原本証明済コピー(Certified True Copy)」を提出することを求められます。

 

日本では、この「原本証明」は、公証人や行政書士が行いますが、香港では、会計士、弁護士、会社秘書役(Company Secretary) といった資格保持者(法人または個人)が署名資格を持ち、原本証明を行うことが認められています。いずれのケースでも、各書類、証明書の原本を拝見し、署名を行います。

(個人証明書類のみでなく、設立証書、商業登記証、定款といった法人登記書類についても原本証明が可能です。)

 

原本証明済みパスポートコピーのサンプル

 

 

 

 

当然ながら、弊社でも原本証明のお手伝いをさせていただくことが可能となっております。また弊社では、原本証明のご提供も含んだ、お得な会社秘書役員業務パッケージを提供しております。詳細のお問い合わせはこちらへお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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