NEWS

ニュース

政策の恩恵が大湾区の自動車消費の潜在能力を引き出す【大湾区情報レター Vol.94】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

 

最近、広州市内の多数の新エネルギー車専門ディーラーには、乗用車の見学・試乗・価格問い合わせをする来店客が絶え間なく訪れています。

 

広州市では「乗用車買い替え支援政策」の人気が継続しており、2024年には10万人の消費者が同政策の恩恵を受け、今年に入ってからも約6万人の消費者が利用し、120億元超もの自動車販売につながっており、広州市での同政策の盛り上がりは、広東省が政策の恩恵を活用して大湾区の自動車消費を活性化させている縮図であるとも言えます。

 

 

 

「購車恵民、悦享消費(車購入で恩恵を受け、楽しく消費)」をテーマに自動車消費促進キャンペーンを実施

今年に入り、広東省商務庁は「政策+イベント」の組み合わせ戦略を展開し、複数の革新的な政策措置を打ち出し、異業態連携と全チャネル連携で自動車消費環境を最適化しています。

 

今年3月から5月にかけては「購車恵民、悦享消費(車購入で恩恵を受け、楽しく消費)」をテーマに自動車消費促進キャンペーンを実施し、廃車更新・買い替え更新・新車購入支援など様々な施策を展開、消費者の購車体験向上に努めました。同時に、革新的な政策で新たな消費シーンや業態を創出し、中古車流通を活性化させることで、消費者の多様化する自動車購入ニーズに対応しています。

 

 

 

中古車取引のボトルネック「逆発票」発行の簡素化により買い替え促進

中古車販売における「逆発票*」発行の簡素化政策の実施により、中古車取引のボトルネックが効果的に解消され、買い替え促進と消費のアップグレードが推進されています。

 

ある高級車貿易会社の運営責任者は、

 

「以前は中古車を売却する際、中古車取引市場まで出向いて売主が発票を発行する必要がありましたが、現在は電子税務局の『特定業務逆発票発行』システムを利用すれば、10分程度で発票発行が完了します。当社では2025年、逆発票発行により中古車買取業務の効率が60%向上しました」

 

と語りました。

 

* 逆発票 :資源回収企業が個人売主に対して買取請求書(発票)発行を認める新しい制度。

 

 

 

「最初の発票」が不足するという課題*が解決

「逆発票」制度の導入により、中古車業界が長年悩まされてきた個人売主の「最初の発票」が不足するという課題*が解決されました。広州市税務局のデータによりますと、2025年上半期だけで広州市で累計4万件の逆発票が発行されました。

 

*「最初の発票」がないという問題について

発票の流れの上流に位置する個人(例:中古車売主など)が適格な増値税発票を発行できないため、下流の資源リサイクル企業が仕入税額控除に必要な正当な証明書類を取得できず、控除可能な仕入額の証憑不足となり、税務負担の増大およびコンプライアンスリスクの上昇を招いていた。

 

 

 

中古車市場の活性化が新エネルギー自動車産業の成熟化に向けた重要なポイント

大湾区戦略研究院産業発展研究センターの欧陽志楠主任は、

 

中古車市場の活性化が新エネルギー自動車産業の成熟化に向けた重要なポイントであり、その核心的価値は「既存車両の消化→新規需要の創出」という好循環の構築にある

 

と指摘しています。

 

具体的には、以下の2つの効果が期待されます。

1つは、新エネルギー車の流通チャネルを円滑にすることで、消費者が抱える「残存価値が低く転売しにくい」という懸念を解消し、初回購入のハードルを下げることです。そしてもう1つは、中古車市場で形成される価格帯の多様化により、地方市場やエントリーレベルの需要を的確にカバーし、潜在的な新車購入層を育成できることです。

 

 

 

政府による中古車購入者向けの包括的なサービス体制

「逆発票」政策の実施に加え、広州市の税務局、商務局、公安局などの関係部門が連携し、中古車購入者向けの包括的なサービス体制を構築しています。

 

越秀区税務局第一税務所の李麗所長は

 

「廃車処理に伴う税金還付については、『研修→手続き簡素化→処理速度向上』というメカニズムを確立し、還付承認にかかる時間を15営業日から3営業日に短縮しました。さらに購入者向けに『オンライン+オフライン+ディーラー』の三位一体の納税手続きシステムを整備し、『車両購入と同時に納税手続きが完了』する仕組みを実現しています。」

 

と説明しています。

 

統計によりますと、2025年上半期に広州市税務局が処理した新エネルギー自動車購入税の減免額は累計20億人民元以上にのぼり、越秀区だけでも2,700人以上の購入者が税制優遇を受けています。

 

 

 

包括的なサービスシステムが「シームレスな連携」を実現

買い替えを検討している乗用車オーナーにとって、この包括的なサービスシステムは

 

「売却時の『逆発票』発行による時間短縮→税金還付手続きの効率化→新車購入時の補助金・減税による費用削減→ナンバープレート取得(3日以内)」

 

という一連の「シームレスな連携」を実現しています。

 

 

 

中古車情報検索プラットフォームの発展を促進することで取引の透明性が向上

さらに広州市では、複数部門間のデータ共有メカニズムの構築を進め、第三者機関による中古車情報検索プラットフォームの発展を促進し、取引の透明性向上を図っています。広州市税務局の関係者は

 

「中古車取引市場や廃車解体業者とのデータ直接連携を模索し、政策の恩恵をすみやかに消費活性化につなげていきたい」

 

と語っています。

 

 

 

香港の自動車消費市場の活性化をも後押し

政策のイノベーションはさらに、新エネルギー車が広州から香港への輸入の新たなルートを開拓し、香港の自動車消費市場の活性化をも後押ししています。

 

このほど「広州-香港自動車輸出快速ライン」プロジェクトが始動し、第一便として52台の新エネルギー車が広州南沙から香港へ輸送されました。関係者によりますと、この「新快速ライン」は香港自動車市場の旺盛な自動車需要に応えて誕生しました。

 

香港の自動車市場は完全に輸入に依存しており、年間輸入台数は約5万~6万台に上ります。BYD(比亜迪)、XPENG(小鵬)、GAC AION(広汽埃安)などのブランドが特に消費者から人気を集めています。

 

2024年には、南沙港から香港へ輸出された新エネルギー車は12,000台を超えました。ただし、香港の法律では、輸入車は香港到着後、税関申告やナンバー登録などの手続きが必要で、これにかかる待機期間は約30日間となっています。

 

 

 

香港へ輸出される自動車ナンバー登録待機期間が従来の14営業日から3営業日以内に短縮

香港消費者における中国本土製新エネルギー車への需要の持続的拡大を受けて、広州市商務局は南沙区政府と連携し、税関部門との調整を強化、手続きの最適化を図り、「広州-香港自動車輸出快速ライン」モデルの確立を実現しました。

 

南沙税関の林睦俊副税関長は

 

「この新モデルでは、中国本土から香港へ輸出される自動車のナンバー登録待機期間が従来の14営業日から、到着後3営業日以内に大幅に短縮されました。これにより、中国本土から香港へ輸出される新エネルギー車の最終コストがさらに削減され、香港市民へ恩恵をもたらしています」

 

と語っています。

 

香港の自動車ディーラー各社も、この新モデルがもたらす利便性に対してこぞって賞賛の声を上げています。GAC(広汽)ブランドの香港代理店代表である黄毅力氏は「新政策により時間が3分の1、資金コストも3分の1削減でき、業界にとって大きな後押しとなっています」と評価しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

政策红利释放大湾区汽车消费潜力

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
  2. 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
  3. 法律法規の解釈や特定政策の実務応用及びその影響は、それぞれのケースやその置かれている状況により大きく異なるため、お客様各社の状況に応じたアドバイスは、各種の有償業務にて承っております。
  4. 本文は国際的、業界の通例準則に従って、Aoba Business Consultingは合法チャネルを通じて情報を得ておりますが、すべての記述内容に対して正確性と完全性を保証するものではありません。参考としてご使用いただき、またその責任に関しましても弊社は負いかねますことご了承ください。

  5. 文章内容(図、写真を含む)のリソースはインターネットサイトとなっており、その版権につきましては原作者に帰属致します。もし権利を侵害するようなことがございました際は、弊社までお知らせくださいますようお願いいたします。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

Contact Us お問い合わせはこちら