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【中国】至急!受益所有者情報の届出は11月1日まで!

 

 

突然ですが、皆様、「受益所有者情報」の届出はちゃんと提出されていますか?

 

「受益所有者情報管理弁法」(中国人民銀行令・国家市場監督管理総局令〔2024〕第3号)の規定により提出しなければならないこの「受益所有者情報」。

 

当弁法が施行された2024年11月1日以降に設立登記された企業などの主体であれば、こちらは既に設立された際に提出されているかと思います。

 

しかし、弁法施行前である2024年11月1日より前に設立登記された企業などの主体は、2025年11月1日までに、同弁法の規定に基づき受益所有者情報の届出を提出しなければなりません。

 

届出を怠った場合、企業登録管理に関する行政法規に基づき、行政処分の対象となる可能性があるため、今回「受益所有者情報管理弁法」の概要と、誰がどのような情報を提出しなければならないかについて、以下の通りポイントをまとめさせていただきましたので、ご参考いただければと存じます。

 

 

一、届出を提出しなければいけない対象主体

主体 届出要否
会社、パートナーシップ、外国企業の支店 必要
非会社企業法人、個人独資企業、農民専門合作社(連合社)及び中国国内の会社・パートナーシップの支店 暫定不要
個人事業主 不要

 

 

 

二、届出提出の期限

  1. 新規届出

  • 届出期限:
    • 2024年11月1日以降に登記された主体: 設立登記時
    • 2024年11月1日より前に登記された既存主体: 2025年11月1日まで

 

 

  1. 変更届出

  • 発生条件:
    1. 受益所有者情報に変更が生じた場合
    2. 届出免除の承諾条件を満たさなくなった場合

 

  • 届出期限: 該当する状況が発生してから30日以内

 

 

 

三、会社、パートナーシップの受益所有者とは

提出しなければならない「受益所有者」とは、次のいずれかの要件を満たす自然人を、受益所有者とみなします。

 

(一) 直接または間接を問わず、当該届出主体の25%以上の株式、持分、または出資持分を最終的に有する者

(二) 前号の条件を満たしていないが、当該届出主体から25%以上の利益分配権または議決権が付与されている者

(三) 前号の条件を満たしていないが、単独または共同で、当該届出主体を実質的に支配している者

(四)前述(一)から(三)までのいずれの規定にも該当する者が存在しない場合には、当該届出主体における日常の経営管理を担当する責任者を、受益所有者とみなして届出を行わなければなりません。

 

 

 

※受益所有者を特定する際の参考事例集:

事例1:

甲、乙、丙は、A社の自然人株主であり、それぞれA社の株式の55%、20%、25%を保有しています。

 

→甲、丙の持分は25%以上であるため、上記(一)に該当するため、受益所有者となります。

 

 

事例2:

A社の株式は、自然人株主の甲が30%、法人株主のB社が70%を保有しており、この法人株主B社の株式を自然人株主の乙が30%保有しています。

 

→甲の持分は25%以上であるため、上記(一)に該当するため受益所有者となるますが、乙のA社の持分比率は、21%(70%×30%)となるため、上記(一)に該当しません。

 

 

事例3

A社株式の30%を自然人の甲が、70%を知前任の乙が保有しています(それぞれの持分比率に応じた利益受益権を有します)。

 

しかし、合意書に基づき、甲は自己が保有する30%の株式に係る利益受益権を自然人である丙に譲渡しました。これにより、丙がA社の30%の株式に係る利益受益権を享有することとなります。

 

→①条件(一)に基づき、甲と乙は直接A社の株式を25%以上保有しているため、両者ともA社の受益所有者に該当します。

②条件(二)に基づき、丙は最終的にA社の30%株式の利益受益権を享有していますので、丙もA社の受益所有者に該当します。

 

したがい、甲、乙、丙の三名を、A社の受益所有者として届出を行う必要があります。

 

 

事例4

A社株式の70%を自然人の甲が、30%を自然人の乙が保有しています。そして、実体として、甲の子女である丙は、母親である甲を通じて、A社に対して実質的な支配を行っています。

 

→①条件(一)に基づき、甲と乙は直接A社の株式を25%以上保有しているため、両名ともA社の受益所有者に該当します。

②条件(二)に基づき、丙は親族関係を通じてA社を実質的に支配しているため、丙もA社の受益所有者に該当します。

 

したがいまして、甲、乙、丙の三名をA社の受益所有者として届出を行う必要があります。

 

 

事例5:

A社株主の自然人である甲と乙はそれぞれ5%と3%の株式を保有しています。

 

しかし、甲は複数名の株主と共同支配を有する取り決めの契約を締結しており、株主総会などでの意思決定において、支配を共有している複数名の株主と全員一致の合意を約束することにより、会社の支配権を得ています。

 

一方、乙は会社の創業者として、会社の重要事項における決定権に多大な影響力を持っているため、両者とも同社に対して実質的な支配を及ぼすことができます。

 

 

→甲と乙はいずれも条件(三)に該当します。

 

したがい、甲と乙は、A社の受益所有者として届出を行う必要があります。

 

 

 

 

 

今回の「受益所有者情報管理弁法」はアンチマネーロンダリング及びアンチテロリスト融資のため、各主体のコンプライアンスを徹底させるため、公表されたものです。外資系企業の皆様におかれましても、企業のコンプライアンスを保ちつつ、日常の経営管理活動を順調に進めるため、自社の状況を一度チェックされることを推奨いたします。

 

 

受益所有者情報の届出に関し、上記情報はあくまでも目安となる参考情報として提示させていただいております。各企業の状況により、ケースバイケースで対応しなければならないこともあるかと思います。もしも、困ったことやご不明な点などがございましたら、Aobaグループには経験豊富な弁護士が多数在籍していますので、いつでもお気軽にお問い合わせください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考リンク先:

中国人民银行 国家市场监督管理总局令(〔2024〕第3号)  受益所有人信息管理办法__2024年第16号国务院公报_中国政府网

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に中国本土や香港へ進出されている、またはこれから進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国本土や香港での経営活動や今後のビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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