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大湾区のA株企業の革新力:上半期の研究開発投資総額が1,000億人民元を突破、「主役」は?【大湾区情報レター Vol.45】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


  

    

 科学技術部のデータによると、2021年、大湾区の珠江デルタ地区9都市の研究開発費は3,600億人民元を超え、研究開発投資強度は3.7%と推定されています。大湾区は、イノベーションハブとして、すでに有効な優位性と強力なイノベーション潜在力の両方を備えています。

 

 質の高い経済発展と産業構造の最適化・グレードアップの中核となる力として、大湾区のA株企業の革新力は、大湾区の革新的発展を牽引し、更なる飛躍を遂げることでしょう。

 

 「21データニュースラボ」によると、8月31日現在、大湾区の珠江デルタ経済圏9都市のA株上場企業は727社で、そのうち2022年上半期に研究開発投資を発表した企業は689社、投資総額は1,000億人民元を超えました。

 

 

 

研究開発投資は5年間で1.6倍に増加

 半期報告書によると、大湾区のA株上場企業の売上規模は、前年比10%増の4兆3,100億人民元となり、4兆人民元の大台を突破しました。研究開発投資の強度をみると、上半期の研究開発費の売上高比率は2.62%で、前年同期に比べ 0.18 %の微増となりました。

 好調な業績実力が研究開発投資の強固な基盤となっており、研究開発投資総額の継続的な成長を後押ししています。過去5年間に発表された半期報告書によると、大湾区のA株上場企業の研究開発投資金額は、442億人民元から1,132億人民元と5年間で1.6倍に増加しています。

 

 過去5年間の平均を見ると、研究開発投資額も0.92億人民元から1.56億人民元へと増加し、平均で70%近くも増加しており上昇傾向を示しています。

 

特許件数 5年間で60%増

 広東省科学技術庁によると、近年、広東省のA株上場企業の80%以上がハイテク企業であり、科学技術活動への投資や発明特許の取得数など、広東省のハイテク企業の7つの中核指標は中国国内で1位を維持しています。

 

 科学技術成果の変換を促進することは、大湾区におけるイノベーション・エコロジー・チェーン全体の構築の重要な一部分であります。今年上半期、大湾区のA株上場企業が取得した特許件数は35万3,800件で、前年同期比5%増となり、増加傾向が続いています。

 

 過去5年間のデータを見ると、広東省、香港、マカオのA株上場企業の総特許数と平均特許数は着実に増加しており、総特許数は22万件から35万件と60%近く増加し、平均特許数は346件から534件と54%以上増加しました。

 

 

電子業界のイノベーションをリード

 データによると、2021年、広東省の一定規模以上電子情報製造業の売上高は4兆5,600億人民元で、全国の32.3%を占め、31年連続全国1位となりました。長年にわたる電子情報産業クラスタの質の高い発展を通じて、大湾区では、多くの革新的な電子企業が誕生しています。

 

 申銀万国(申銀万国証券株式有限公司)のティア1産業分類によると、大湾区のA株上場企業は主に電子産業に集中しており、144社と全体の20%を占めています。研究開発投資の割合でも電子産業はトップで、その144社も研究開発投資に関するデータを発表しており、総投資額は314億人民元で、研究開発投資全体の30%近くを占めています。

 

地域イノベーションの新活力は引き続き向上

 珠江デルタの9都市の中で、深圳のA株上場企業数は389社と最も多く、「ホーム」である深圳証券取引所の優位性が存分に発揮されています。データによると、深圳の363社のA株企業が今年上半期に研究開発投資について公表しており、大湾区の上場企業の中でイノベーションの「主役」となっており、大湾区全体の57%を占め、合計645億人民元、前年比15%増となりました。

 

 上半期の大湾区のA株企業の研究開発投資額上位10社のうち、深圳企業は再上位2社を含め計6社を占めています。第一位は、上半期に101億人民元以上を研究開発に投資し、売上高の17%を占めたZTE(中興通訊)、第二位は、上半期に研究開発に65億人民元近くを投資し、純利益が200%以上増加したBYD(比亜迪)となっています。イノベーションを高めることで、これらの大規模な研究開発プレーヤーは、激しい競争の中で業界のベンチマークとなる企業に成長し、深圳が中国における科学技術イノベーションのトップクラスになるのに貢献しました。

 

 「21データニュースラボ」によると、広州のA株上場企業数は深圳に次いで2位で、申銀万国のティア1産業のうち25の主要産業から合計140社が上場し、幅広い産業をカバーしており、広州が比較的整った産業体系と強い基盤を持っていることが分かります。

 

 広州では、133社が上半期の研究開発投資が公表されており、総額は144億3,100万人民元となり、前年同期比22%増となりました。研究開発投資額が最も大きかったのは広州汽車集団で、前年比9%増の27億人民元で大湾区のA株企業の研究開発投資額TOP10に入りました。

 

 イノベーション研究開発という点では、他の珠江デルタ都市のA株上場企業も投資を増やしています。上半期の研究開発投資額上位10社のうち、仏山市の美的グループ、恵州市のTCL科技、珠海市の格力電器がそれぞれ59億人民元、53億人民元、31億人民元を投資しています。この3社はいずれも家電業界の企業で、革新と研究開発において強いバックグラウンドを持っています。上半期の売上高は大湾区のA株上場企業の中で最も高く、美的グループは1,837億元、TCL科技と格力電器は800億人民元を超える売上高を達成しました。

 

 大湾区のA株上場企業の間では、研究開発投資と科学技術革新に依存し、コア競争力と収益性を高め、城壁の堀を広げていくことがコンセンサスになっているようです。

 

 

 

【参考資料】

 

・大湾区のA株企業の革新力:上半期の研究開発投資総額が1,000億人民元を突破、「主役」は?

 

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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