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RCEP実施初年度、企業へのメリット続出 広東省、260億人民元の輸出入商品が恩恵享受【大湾区情報レター Vol.54】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


 

 「地域的包括的経済連携協定」(以下「RCEP」)の実施から1年が経過し、税関総署広東分署の統計によると、2022年、広東省内の税関はRCEP輸出原産地証明書を計6.4万発行し、企業のコストは3億人民元近く削減され、広東省内の税関を通して輸出入された260億人民元分の貨物が税制優遇政策を享受、そのうち139億4,000万人民元分の商品がRCEP加盟国から関税の減免を受け、121億1,000万人民元の輸入商品が輸入税の減免を享受することができました。

 

 この一年、広東省内の税関は、企業がRCEP実施という絶好の機会をつかむためにあらゆる努力を重ね、税制優遇措置を有効に活用し、製品の国際競争力を高め、有利な製品の輸出入規模を拡大するよう支援しました。「RCEP実施以来、当社の対日輸出は大幅に増加し、より多くの優遇措置を享受することができました。」広東千睦貿易有限公司の輸出入部マネージャー黄敏芳氏は、同社が輸出する酸化チタンは、日本への輸入される場合税関が発行するRCEP原産地証明書があれば、0.7%の関税が削減されるため、1年間で数十万人民元の関税削減効果を得ることができる、と述べました。

 輸出入企業が優遇政策をより享受しやすくするために、中国税関総署はRCEP原産地管理プロジェクトを立ち上げ、輸出原産地証明書のオンライン申請、AI審査、セルフ印刷サービス等の機能を最適化し、税関申告書の提出・修正や、より低い輸入税率の適用、各税金並びに手数料の計算及び支払いなどの全プロセスを情報化することを実現しました。同時に、企業がRCEP優遇政策を有効活用出来るように支援するため、税関はRCEPの実施という重要なタイミングに焦点を当て、企業のニーズを満たすように専門人員を配置し、原産地証明業務の全過程をフォローアップします。その中で、広州税関は特別サービス窓口と相談ホットラインを設置し、珠海拱北税関は「護航」「春暉」「政策生放送」などの企業向け宣伝プラットフォームを利用し、企業が抱える難題とニーズの解決を随時フォローアップし、あらゆる面で企業の各種証明書申請コストを削減します。

 

 また、中国税関総署は2022年1月1日から「中華人民共和国税関承認輸出業者管理弁法」を実施しており、税関が承認した適格企業は、輸出または生産した商品がRCEP優遇貿易協定における原産資格の条件を満たしている場合、自ら原産地証明書を発行できるようになり、輸出企業に対する利便性が大幅に高くなりました。

 

 沙多瑪(広州)化学有限公司は広州税関が最初に認定した輸出業者の一つで、主に化学原料を日本、韓国、ASEANなどの国や地域へ輸出しています。過去1年間で、同社はRCEP原産地証明書を計160以上発行し、貨物価値は1,900万米ドルを超え、関連国への輸出において100万人民元以上の税制優遇を受けることができました。「2023年を見据え、RCEP関連国・地域での売上は前年比5%~10%増加すると確信しています」 と同社アジア太平洋地域担当社長で、阿科瑪グループの塗料補助剤アジア太平洋地域担当総裁である劉斌氏は述べました。

 広東省貿易促進会(以下「貿易促進会」)の統計によると、同省の貿易促進制度は2022年に企業のRCEP原産地証明書約1万4,000件、金額にして貨物総額5億6,000万米ドルを扱い、輸入国における関税削減約836万米ドルを享受し、証明書処理手数料を49万人民元軽減させることにも貢献しました。貿易促進会認証センターRCEPサービスシンクタンクの専門家である林建涛氏は、RCEP関連政策を採用する企業の主なニーズは、全体の輸出入商品構造からRCEPに適用できる商品を分析すること、潜在的な税収の余地からサプライチェーンを計画調整すること、RCEPを通じて物流・通関効率を高めること、RCEP協定を用いて商品モデルを最適化し国際市場競争力を向上させることだと述べました。

 

 

 

 

【参考資料】

 

・RCEP実施初年度、企業へのメリット続出 広東省、260億人民元の輸出入商品が恩恵享受

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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