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珠江デルタ9都市2023年上半期経済データ発表 成長率トップは深圳、工業成長率トップは珠海【大湾区情報レター Vol.65】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

 

 

 

 先日、広東省各都市の上半期経済データが相次いで発表されました。2023年上半期の珠江デルタ9都市のGRP(域内総生産)は5兆1,200億人民元を超え、全省の80%以上を占めました。深圳市は依然として広東省でGRP最大の都市であり、上半期のGRPは1.6兆人民元超、広州市がそれに続き1.4兆人民元超という結果でした。

 

 また、深圳市は9都市の中で最も成長率の高い都市で、上半期GRP成長率は前年同期比6.3%増、次いで中山市が5.5%増、仏山市が5.2%増となりました。珠海市、恵州市、江門市などについても広東省全体の成長率を上回っています。

 

広州、深圳両都市の総合経済指標は3兆人民元超

 

 広東省の経済の二大都市である広州市と深圳市は今年、両都市の伝統的な基幹産業が、多かれ少なかれ打撃を受けています。

 

 現在の環境から見ると、広州市は、石油化学、エレクトロニクス、自動車産業の需要の減少に制約され、新しい産業の勢いはまだ積み重ねの最中にあります。上半期、広州市の一定規模以上工業の増加値(付加価値額)は引き続き前年同期比0.9%減少となりました。

 

 近年、広州市は過去の製造業の割合低下傾向を逆転させ、新世代情報技術、新エネルギー自動車、インテリジェントネットワーク自動車、インテリジェント・ハイエンド設備、生物医薬などの10大重点産業の発展を加速させることに力を入れています。

 

 珠江の東側と西側両岸における先進的製造業と現代的サービス業の統合と発展において、新たな競争上の優位性を形成し、新しい業態を生み出し、成長の新たな道を切り開き推進することは、広州の現代化産業システムを育成する重要な方法の一つです。研究開発とイノベーションを強化し、グリーンと低炭素の変革を加速し、金融サービス機能を強化することにより、広州市は上半期に新エネルギー自動車産業と医薬品製造業という2本のスピーディな発展が望める産業競争のレースコースを形成しました。

 

 上半期には、新エネルギー自動車生産量が1.1倍増を達成し、その付属施設である充電スタンドも急速に拡大し21.3%増加しました。医薬品製造業も徐々に生産能力を徐々に増加し、コロナ検査キット生産の影響を除いた上半期の医薬品製造業の増加値は31.7%、第1四半期比で更に8.3%増加しました。

 

 全体として、世界的なビジネス往来の正常化を背景に、オフライン消費とサービスのリバウンドが続き、広州は第2四半期に回復を見せています。今年上半期の広州市のGRPは1兆4,130.69億人民元で、前年同期比4.7%増となり、第1四半期の成長率を2.9ポイント上回りました。

 

 今年上半期の深圳市GRPは1兆6,297.6億人民元を実現し、前年同期比6.3%増と一線都市(北京、上海、広州、深圳等)の成長率では上海市に次ぐ2位となりました。投資は上半期において重要な補助的な役割を果たしました。上半期、深圳市の工業投資は47.5%増と高い伸びを示し、そのうち製造業への投資は54.2%増、ハイテク製造業への投資は56.3%増となりました。

 

 深圳市はかつてIT産業を核とする都市でしたが、今は新エネルギー都市になりつつあります。現在、深圳市には24,000社の新エネルギー関連企業があり、深圳市のGRPの約15%を占め、金融産業にほぼ匹敵しています。

 

 中核都市として最先端の基礎科学研究、主要な産業革新、競争力の高い産業クラスタが集まる場所となり、都市クラスタ集積の発展に大きな放射線状の誘発効果をもたらしています。

 

 今年、深圳市はまた、深圳-汕頭ハイエンド電子化学品産業園、深圳-汕頭モーターシティハイエンド電子化学品産業園の促進を計画しており、半導体主要材料の研究開発、パイロット試験、基地の拡大、電子情報産業に対し基本的原料及び産業チェーンサプライチェーンに対してのサポートを提供します。「5 + 3」産業システムの構築を保護するために、深圳市の新エネルギー車、ハイエンド化学工学、電子情報およびその他の産業の発展促進を後押しします。

 

仏山、珠海の工業 高成長率を維持

 

 過去40年間、珠江デルタは世界の工場へと飛躍し、製造業の規模では、珠江デルタ9都市の一定規模以上工業総生産額が省全体の工業生産額の80%以上を占めています。中でも仏山市と東莞市は、製造業が50%前後を維持している全国でも数少ない都市の1つとなっています。

 

 今年上半期の仏山市のGRPは6,070.77億人民元で、前年同期比5.2%増加し、一定規模以上工業の増加値は前年同期比7.2%と大幅に増加し、第1四半期よりも0.9%増加しており、広東省内で1位となりました。

 

 多くの基幹産業の業績は目立った業績を上げていました。仏山市の工業増加値総額の上位10産業のうち、特殊設備製造業が21.3%、ゴム・プラスチック製品製造業が12.2%、電気機械器具製造業が11.4%、化学原料・化学製品製造業が11.0%、非金属鉱物製品が6.7%、それぞれの成長を見せてくれました。

 

 特に今年、仏山市の水素エネルギー産業の発展は高速レーンに入り、産業発展の新しい道を切り開いました。3月31日「南海製造」の水素自動車「飛馳科技」(Feichi Technology)の新車が正式に生産完成、南海の燃料電池自動車完成車製造の空白を埋めました。また、美錦能源水素エネルギー科技園の第一期は年産5,000台に達する見込みです。現在、仏山市には150社以上の水素エネルギー企業とプロジェクトが集まっており、基本的に水素エネルギーの生産、貯蔵、輸送、加工、利用のチェーンの全体をカバーしています。

 

 同じ兆レベルの都市、製造業の主要都市である東莞市の工業生産は、今年上半期においては、圧力下に置かれ続けました。今年の上半期には、東莞市の指定規模以上の工業の増加値は2,379.57億人民元で、前年同期比5.9%減、1月〜5月より0.7ポイント上がりました。

 

 2022年、東莞市のGRPは、再び兆レベルに達しましたが、成長率がわずか0.6%で、また、対外貿易受注も不十分な危機は、昨年後半から今年に続いてました。

 

 主要産業から、東莞市のコンピュータ、通信、その他の電子機器製造業の上半期の増加値は4.9%減、電気機械器具製造業は7.4%減、1月〜5月よりもそれぞれ0.6%、0.5%ポイント減少しました。

 

 仏山市、東莞市に続き、珠海市は今年における注目都市であり、上半期の一定規模以上工業増加値は766億1,400万人民元と、珠江デルタ9都市の中では仏山に次いで2番目に高く、前年比5.8%増加しています。

 

 中でも製造業の増加値は684.23億人民元と、7.8%増加しています。新世代情報技術、新エネルギー、集積回路、生物医学と健康、スマート家電、設備製造、ファインケミカルなど「4+3」産業は順調に発展しており、増加値は593.04億人民元と9.4%増加し、市の一定規模以上工業の増加値の77.4%を占めています。

 

 伝統的な製造業都市である中山市は今年経済成長の新たな道を切り開きました。

 

 上半期において中山市は工業マイナス成長のかげりから抜け出し、工業生産は回復を続け、同市一定規模以上工業増加値は前年比4.3%増加、第 1 四半期と比較し0.1%成長となりました。中山市提案の「新十大艦隊*」のうち、電気機械及び器具製造業は8.7%増、コンピュータ・通信・その他の電子機器製造業は2.9%増、医薬品製造業は41.9%増、食品製造業は6.9%増となりました。

*「新十大艦隊」とは、新エネルギー、生物医薬と健康、新世代情報技術、スマート家電、ハイエンド設備、光電と光学、照明、中山美居(家具・家電などの住宅関連産業)、現代農業と食品、現代ファッション産業の中山市の10の現代における重点産業を指します

 その他の都市では、上半期一定規模以上工業増加値は江門市3.4%、恵州市2.1%、肇慶市0.5%の増加となっています。

 

 データによると、2022年大湾区の総合経済指標は13兆人民元を超え、総合的に実力は大幅強化され、国際的な一流ベイエリアと世界クラスの都市群を構築するという既定の目標に向かって加速しています。

 

 2023年には、珠江デルタの9都市のGRP成長率目標はすべて5.5%超えが予想されており、大半が6%以上に設定されています。

 

珠江デルタ東西両岸における都市産業協力の新たな突破口

 

 広東省は、珠江デルタ地域の産業のハイエンド開発を世界的水準に沿って計画し、珠江東岸のハイエンド電子情報製造産業ベルト及び珠江西岸の先端設備製造産業ベルトの深い統合を促進することを提案しています。今年6月、深圳市と中山市は協力の上、珠江デルタ都市間経済協力区を中山市翠亨新区と火炬開発区に建設計画を立て、その総面積は66平方キロメートルに及びます。同計画によると、同地域に翠亨都市新センター、産業チェーンの専門協力基地、ハイエンド製造協力基地、文化及び科学技術協力基地の「1センター3基地」が建設されます。

 

 中国国際経済交流センター主のチーフ研究員の張燕生氏は、協力区は両市の協力によるものであり、珠江東西両岸間の都市を越えた新しい協力の形でもあり、大湾区におけるひとつの新しい協力の形であると考えています。深圳市と中山市両市間の協力は、ウィンウィンの協力の新しいモデルを模索し、広東省の質の高い発展において重要な実証的意義を持っています。

 

 

 

 

 

【参考資料】

 

・珠江デルタ9都市2023年上半期経済データ発表 成長率トップは深圳、工業成長率トップは珠海

 

 

 

 

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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