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【中国】先端製造業の企業へ税制優遇措置~増値税の控除額の加算措置~

 

財政部と国家税務総局は6日に、「先端製造業企業の増値税加算控除政策に関する公告」を発表しました。増値税加算控除とは、諸要件を満たす企業に対して、当期の控除可能な仕入税額に対して一定割合の控除額を加算することが認められた控除額のことです。

 

今回は、2023年1月1日から2027年12月31日までの期間、先端製造業企業は当期に控除可能な仕入税額を5%加算して、納付すべき増値税額から控除することができます。これは中国政府による先端製造企業の成長を促進するための重要な措置であり、企業の税額を減免し、負担を軽減します。

 

当優遇政策の詳細は、以下の通りです。

 

 

加算控除政策詳細:

一、対象企業・期間

2023年1月1日から2027年12月31日までの期間、先端製造業企業は当期に控除可能な仕入税額を5%加算して、納付すべき増値税額から控除することができる。(以下「加算控除政策」とする)。

 

本公告による先端製造業企業とは、ハイテク企業(所属する非法人分支機構を含む)の中の製造業一般納税者を指す。ハイテク企業とは『科技部 財政部 国家税務総局「ハイテク企業認定管理弁法」の改正・発布に関する通知』(国科発火〔2016〕32号)の規定に従って認定されたハイテク企業を指す。

 

先端製造業企業の具体的な対象リストは、各省・自治区・直轄市・計画単列市の工業や情報化部門が同級の科学技術、財政、税務部門と連携して決定される。

 

 

 

二、加算除外について

控除可能仕入税額へ5%加算する際、現行の規定において売上税額から控除してはならない仕入税額を含めてはならない。すでにこれを含めて計上済みの加算控除額の仕入税額については、規定に従い仕入税額の繰出を行う際、仕入税額の繰出当期に、加算控除額を減算しなければならない。

 

 

 

三、算出方法

算出方法については、まず現行の規定に従って一般的な税金計算方法における課税額(以下、「控除前の課税額」とする)を計算する。その計算結果毎の、適用方法は下記の通り。

 

  • 控除前の課税額がゼロだった場合:

当期の控除可能な加算控除額は全て翌期に繰り越し控除ができる。

 

 

※注記:

以下参照例①~③の企業は、上記一、に記載されている先進的製造企業の一般納税者であり、(国科発火[2016]第32号)の規定に従って認定されたハイテク企業であり、加算控除政策を適用されることを前提とする。。

 

 

【参照例①】

2023年9月の売上税額は86万元、仕入税額は86万元で、すべて控除可能な仕入税額に属し、前期末の加算控除残高は0万元とする。

 

この場合、10月に企業が実際に納める増値税の算出方法は以下の通り。

 

控除前の課税額=86-86=0万元

当期計上可能な加算控除額=86*5%=4.3万元

当期控除すべき加算控除額=4.3万元

一般的な税金計算における課税額=0万元

翌期に繰り越される加算控除残高=4.3万元

 

従って、10月の課税額は0万元のため、控除残高額4.3万元が翌期に繰り越されることになる

 

 

 

  • 控除前の課税額が、当期の控除可能な加算控除額を上回る場合:

当期の控除可能な加算控除額は全て控除前の課税額から控除します。

 

 

【参照例②】

2023年9月の売上税額は86万元、仕入税額は62万元で、すべて控除可能な仕入税額に属し、前期末の加算控除残高は5万元とする。

 

この場合、10月に企業が実際に納める増値税の算出方法は以下の通り。

 

控除前の課税額=86-62=24万元

当期計上可能な加算控除額=62*5%=3.1万元

当期控除すべき加算控除額=3.1+5=8.1万元

控除後の課税額=24-8.1=15.9万元

翌期に繰り越される控除残高額=0万元

 

従って、10月の課税額は15.9万元で、次期に繰り越した控除残高額は0元

 

 

 

  • 控除前の課税額が、当期の控除可能な加算控除額以下(<=)の場合:

当期の控除可能な加算控除額で課税額をゼロまで控除した後、控除できなかった残高は翌期に繰り越して控除ができる。

 

 

【参照例3】

2023年9月の売上税額は86万元、仕入税額は80万元で、すべて控除可能な仕入税額に属し、前期末の加算控除残高が5万元とする。

 

この場合、10月に、企業が実際に納める増値税の算出方法は以下の通り。

 

一般的な税金計算方法における課税額=86-80=6万元

当期計上可能な加算控除額=80*5%=4万元

当期控除すべき加算控除額=4+5=9万元

控除後の課税額=6-6=0万元

翌期に繰り越した控除残高額=9-6=3万元

 

従って、10月の課税額は0万元で、翌期に繰り越しされる控除残高額は3万元となる

 

 

 

四、計上しなかった場合

先端製造業企業が加算控除額を計上できるが計上しなかった場合は、加算控除政策が適用される当期に一括して計上することができる。

 

 

 

五、クロスボーダー取引関連は対象外

先端製造業企業が商品やサービスを輸出し、クロスボーダーによる課税対象となる取引については、加算控除政策の対象外であり、その対応する部分の仕入税額は加算控除額を計上してはならない。

 

先端製造業企業が商品やサービスを輸出し、かつ他の業務と兼業し、クロスボーダーによる課税対象となる取引が発生した場合、その対応する部分の仕入税額は加算控除額をを計上できない。対応する仕入税額部分を分割して算出することができない場合、計上できない加算控除額の仕入税額は、以下の公式により計算される。

 

 

加算控除額をを計上できない仕入税額計算式:

=当期に分割できないすべての仕入税額 × 当期輸出貨物・労務及びクロスボーダー課税取引が発生した税込み売上高 ÷ 当期のすべての税込み売上高

 

 

 

六、不正について

先端製造業企業は、加算控除額の計上、控除、減額、残高などの変動状況を個別に計算しなければならない。加算控除政策を不正に適用したり、加算控除額を水増ししたりした場合は、「中華人民共和国税収徴収管理法」などの関連規定に基づいて処分される。

 

 

 

七、重複適用は不可

複数の増値税加算控除政策を同時に享受できる先端製造企業は、適用する政策を選択することができるが、同一期間に重複して適用することはできない。

 

 

 

 

こちらの内容を含め、本政策(増値税加算控除政策)について、何かご懸念点があれば、いつでもお問い合わせいただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参照記事】

财政部 税务总局关于先进制造业企业增值税加计抵减政策的公告

一篇文章讲透先进制造业企业增值税加计抵减政策运用

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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