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【中国】新会社法「資本金の支払い期限」による7つの変化とは(下)

 

中国では2024年7月1日より”新会社法”が実施される予定となっており、ここ最近その関心が日に日に高まり、各企業の間でも話題に上ることが増えているかと思います。

 

そこで、本記事では新会社法が旧会社法と比べて、どのような変更点があるのかについて解説させていただきます。内容がやや多いため、上・下の2部に分けさせていただきます。

 

今回は下の部として、新会社法の最も注目されている「資本金の支払い期限」の設定において、今後発生するであろう7つの変化について説明させていただきます。

 

【関連記事:新会社法に関わる変更点9大項目の解説(上)

 

 

変化一:  資本金を高く設定した会社設立の件数は減少

新会社法により登録資本金を設立から5年以内に払い込む義務が課せられることで、今後、新規の会社設立において数億元、数十億元といった多額の登録資本金で設立される件数は、少なくなることが予測されます。

 

一方で、数十万元、百万元、数百万元程度の比較的小口金額での登録資本金の会社が増えていくでしょう。

 

 

 

 

変化二: 出資形態の多様化

新会社法において期限内に登録資本金の全額を払い込まなければならないと規定されてしまったため、現金だけでは登録資本金への出資額が足りない場合において、技術出資や現物出資などといった非貨幣性での出資形態が一般的となり、株主の出資形態がより多様化することになることが考えられます。

 

 

 

 

変化三: 既存会社の対応の必要性

会社の登録資本金の払い込み期限の制度が取り消された、2013年の会社法の改正施行以降に設立された既存の会社は、今回の新たな法改正により、所定の期間内に登録資本金の払い込みが行えない場合、減資や持分譲渡、まはた会社を抹消するといった必要性が出てくることが見込まれます。

 

 

 

 

変化四: 融資による出資、または立替による資本金の払い込み

5年以内の資本金払い込み期限の導入により、多くの会社が期限になっても実際の出資ができない場合、ブリッジ・ファイナンス(投資銀行や商業銀行などが買収企業に対して行う短期融資)による資金調達を実行せざるを得ない状況となる可能性があります。

 

つまり、立替による資本金支払いや自身の資金ではない架空の出資状態となる企業が増える可能性があります。

 

 

 

 

変化五: 外部からの借り入れによる資金調達の増加

資本金の払い込み期限の導入により、登録資本金を減額することになれば、経営資本金も減少することになるため、今後会社は資金調達のために外部からの借入が一般的になるかもしれません。

 

 

 

 

変化六: 新規設立会社件数の減少、ペーパーカンパニーの大幅減少

資本金の払込期限制度の導入のため、資金の不足を理由にそもそも新規で会社を設立ケースが減少し、さらには会社登記のみで実体を持たないペーパーカンパニーは、大幅に減少することが見込まれます。

 

 

 

 

変化七: 出資責任回避の悪用が大幅に減少

これまでは、実質的に資本金の払込期限が存在していなかったため、株主による資本金の払い込みが実際行われていなくとも、株主として登記されるケースも散見されておりましたが、当制度の導入により、今後このようなケースは大幅に減少するでしょう。

 

 

 

 

 

この「資本金の支払い期限」の設定について、本法施行前に登記・設立された会社で、出資期限が新会社法の第二百六十六条により規定された期限を超える場合、規定の期限内に段階的に調整しなければならないとされています。(*法律、行政法規または国務院の特別な規定がない限り)そのため、会社登記機関は法律に従い、出資期限または出資額が明らかに異常である場合、適時に調整を要求することができるようになっています。

 

具体的な実施方法は国務院が規定ものとしておりますが、現時点において既存会社に関する具体的な要求事項は発表されていないため、もしも登録資本金の払い込みが完了していないt場合は、会社所在地の管轄となる税務局へ詳細についてお問い合わせの上、要求に準拠されることをお勧めいたします。もしもそのお問い合わせについて、代行やアドバイスが必要など、何かお困り、懸念点などがございましら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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