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2024/25年度香港財政予算案及び今後の見通し

 

2024年2月28日、香港政府より2024/2025年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の財政予算案が発表されました。同案内容の概要速報及び今後の見通し・見解については、以下の通りとなります。

 

概況

2024年2月28日、香港財務長官の陳茂波(ポール・チャン)が就任以来8度目となる香港財政予算案の演説を行った。

 

2023年は香港のGDPが前年比で実質3.2%増となり、香港経済は一定の回復を遂げたと言える。この背景として個人消費支出の増加とインバウンド観光が香港経済復活が主な原動力となり、家計所得の上昇と2023年の政府の様々な取り組みもこれを後押しするかたちとなった。

 

新型コロナウイルスの感染対策が撤廃され、航空便の運航能力も回復を続け、政府による大型イベント推進の努力と相まって、民間消費支出とインバウンド観光が引き続き香港の経済成長を下支えすることが予想される。一方、全体的なインフレ率は緩やかに推移しており、2023年のインフレ率は1.8%で、2022年の1.7%を若干上回る結果となった。同時に、労働市場においては2023年の失業率は2.9%と低い水準で、2022年の3.4%を下回っている。

 

今後の展望としては、外部環境は依然として厳しいものが予測される。地政学的緊張の持続、逼迫した金融情勢、経済の不確実性などの要因が、引き続き貨物の輸出や投資・消費マインドに重くのしかかるだろう。とは言うものの、中国本土のさまざまな経済指標は改善を見せており、香港政府はコロナ以前の水準までの回復を目指し、さまざまな支援策を打ち出していることもあり、香港経済の近い将来に対する楽観的な見方が広がっている。

 

2023/24年の財政赤字は1,016億香港ドルに達し、当初の赤字予想である544億香港ドルを472億香港ドル上回った。香港政府が経済の発展促進と企業や人材誘致を図るにあたり、政府歳入増加策の検討へは、実態や現状の動向を考慮するべきである。 そのため、本予算案は次の通り救済策を提示している。

 

 

 

 

予算案ハイライト

 

財政・税務優遇政策案

1

2023/24年度の法人税、給与所得税、その他個人所得税について、HKD3,000を上限として100%減税する

2

2024/25年第1四半期の住宅用不動産および非住宅用不動産の固定資産税(レート)をHKD1,000を上限として免除

3

住宅用不動産取引に関する特別印紙税、購入者印紙税、新住宅印紙税の取り消し

4

2024/25 年以降、賃貸物件の原状回復にかかった費用の税額控除の承認

5

2024/25年から、給与所得税とその他個人所得税において2段階の標準税率制度を導入し、標準税率が採用される納税者の純所得が500万香港ドルを超える部分に対して16%の税率が適用される

6

2024年4月1日より、年間商業登記証費用をHKD200引き上げ、HKD2,200とする

 

 

長期的発展のための政策

1

中国本土からのブロック・トレード(公開市場ではない取引)の導入、サウスバウンド・ストックコネクトにおいて人民元での上場株取引の追加、不動産投資信託を対象とした相互市場アクセス制度の拡大により、香港市場に多くの企業と資本を呼び込む

2

国境を越えた信用情報の照会に関する協力体制構築の継続

3

香港におけるデジタル経済の発展を推進するため、サイバーポートはAIスーパーコンピューターのセンター設立を急ぎ、産業界のコンピューティング・パワーに対する需要を満たすとともに、3年間のAI補助金制度を立ち上げ、当産業の支援や香港へのAIの専門家、企業、研究開発プロジェクト誘致を奨励する

 

 

 

香港におけるグローバルミニマム課税と香港トップアップ税額の導入

2023年12月21日、香港政府はグローバルミニマム課税と適格国内ミニマム課税(Qualified Domestic Minimum Top-Up Tax、「QDMTT」、香港では香港ミニマムトップアップ税額「HKMTT」と呼ばれる)の導入に関する協議文書を発表した。

 

協議文書の法的フレームワークは、経済協力開発機構(OECD)が公布した、税源浸食と利益移転のリスク(BEPS2.0)に対処するための2本柱からなる、国際的な税制改革のフレームワークの第2の柱に基づく。同協議は2024年3月20日まで行われ、法改正案は2024年後半に立法院に提出される。施行は、2025年1月1日以降に始まる会計年度からの予定である。

 

 

 

グローバルな税源浸食防止(GloBE)規定と香港ミニマムトップアップ税額(HKMTT)

BEPS2.0プロジェクトの第2の柱は、直前4事業年度のうち2事業年度以上の連結売上高が7.5億ユーロ以上である多国籍企業(MNE)グループに適用される。 これらの多国籍企業は、追加のトップアップ税を課すことにより、事業を行っているすべての管轄区域から得られる利益について、最低税率15%にて税金を支払うことになる。

 

トップアップ税は、以下の2つの連動規定からなるGloBE規定を通じて徴収される;

 

  • 所得合算ルール(IIR)は、適用対象となるMNEグループの親会社に対して、子会社等の軽課税構成企業の所有持分に比例したトップアップ税を課すものである。 原則として、所得合算ルールは、上位階層である最終親会社(UPE)から資本関係の連鎖へのトップダウンによるアプローチに基づいて適用される。そして、UPEが適格IIRを適用する必要のない地域に所在する場合においては、次の中間持株会社へと、資本関係の連鎖の下の階層へと適用される。軽課税構成企業が、適用対象内のMNEグループ外の重要な少数株主持分を保有する場合、部分所有親事業体がIIRを優先的に適用することができる。

 

  • 軽課税支払ルール(UTPR)は、IIR で課されなかったトップアップ税額に相当する税額を増加させる。UTPRによるトップアップ税額は、IIRが優先して適用されるため、トップアップ税の総額からIIRのトップアップ税額分を控除した金額となる。 UTPRのトップアップ税は、各UTPR導入管轄区域における有形資産価値と従業員数の割合に基づいて管轄区域間で配分される。

 

 

他国への課税権の譲渡を防ぐため、香港ではGloBEの仕組みに基づいてHKMTTを課すことを計画しており、これは香港内の軽課税構成企業へのトップアップ課税の適用である。課されたHKMTTは、IIRおよびUTPRのもとで発生する債務から直接控除できるため、多国籍企業グループ全体の納税義務を増加させることはない。

 

 

 

トップアップ税額の計算

管轄地域のトップアップ税額は、超過利益にトップアップ税率を乗じて決定される。 トップアップ税率は、15%の最低税率から管轄地域の実効税率(ETR)を差し引いて計算される。 一方で、超過利益は管轄地域ベースで計算された純GloBE所得を表し、これは、会計上の指標を課税ベースと一致させるために一定の調整を行った後、構成企業の財務会計上の純利益または損失から、給与費用と有形資産のカーブアウト控除分(=実体ベース所得控除分「SBIE」)を差し引いたものである。

 

 

管轄地域の実効税率(ETR)

=

管轄地域ベースで計算された調整後の対象税額

管轄地域ベースで計算された純GloBE所得

管轄地域の

トップアップ税額

=

(純GLOBE所得 – SBIE/実体ベース所得控除) x (最低税率 – ETR/管轄地域別実効税率) – QDMTT/適格国内ミニマム課税

 

 

 

デミニマス除外

デミニマス除外は、売上高および所得が比較的少額の場合に適用される。この除外が適用される場合、管轄地域に所在する構成事業体のトップアップ税額はゼロとみなされ、MNEグループは管轄地域に所在する構成事業体の実効税率を計算する必要がなくなる。 デミニマス除外は、年次ベースで選択する事により適用される。

 

デミニマス除外が適用されるための2つの条件は以下の通りである。

 

  • 管轄地域に所在するMNEグループの直近会計年度および過去2年度分の平均GloBE売上高が1,000万ユーロ未満であること
  • 管轄地域におけるMNEグループの同期間の平均GloBE所得が100万ユーロ未満である、または損失であること

 

 

 

経過措置規定とセーフハーバー

GloBE規定は、一定の条件が満たされた場合に、MNEグループが完全なGloBE計算を行うことによるコンプライアンス上の負担を軽減するために、一定の経過措置規定とセーフハーバーを規定している。 香港政府が提案している、以下の経過措置規定とセーフハーバーは以下の通りである。

 

 

国際活動の初期段階にあるMNEグループ

経過措置として、国際活動の初期段階にあるMNEグループにはUTPRは適用されない。MNEグループの国際活動における初期段階とは、当該グループが6つ以上の管轄区域に構成事業体を持たず、参照管轄区域(グループが当初GloBEの適用範囲に入った事業年度において、グループの有形資産の総額が最も高い管轄区域)以外の全ての管轄区域に所在する構成事業体の有形資産の帳簿価額の合計が5,000万ユーロ以下の場合である。この救済措置は年次で適用され、UTPRが発効時からMNEグループがGloBEルールの対象となった5年後に失効されることになる。また、香港政府は、香港が適用対象のMNEグループの参照管轄区域である場合は、この救済措置は適用されないとする任意の規定を採用するよう提案している。

 

 

 

経過措置 -国別報告書(CbCR)セーフハーバー

CbCRセーフハーバーは、多国籍企業の適格国別報告書に含まれる簡略化された管轄国の収入・所得情報と、適格財務諸表に含まれる管轄国の税務情報を利用することにより運用される。経過措置期間(2026年12月31日または同日以前に開始する事業年度。ただし、2028年6月30日以降に終了する事業年度は含まれない)に該当する事業年度については、グループが以下のテストのいずれかを満たすことができれば、その管轄地域におけるトップアップ税額はゼロとみなされる。

 

  • デミニマス・テスト: 当該事業年度の適格国別報告書において、管轄地域における総収入が1,000万ユーロ未満、税引前利益(損失)が100万ユーロ未満である。

 

  • 簡易ETR(実効税率)テスト:当該事業年度の管轄地域における移行税率以上の簡易ETRを有している。

 

  • 経常利益テスト:GloBE規定に基づいて計算された管轄地域におけるグループの税引前利益(損失)が、CbCRに基づく管轄地域に居住する構成事業体のSBIE額以下である。

 

 

 

恒久的-QDMTTセーフハーバー

QDMTT規定とGloBE規定との間で差異が生じる可能性があるため、同じ管轄地域に関して2つのトップアップ税額を別々に計算される可能性がある。 QDMTT セーフハーバーが適用される場合、多国籍企業グループは、QDMTT の計算を完了した後、GloBE規定に基づいた 2 回目の計算を行う必要がなくなる。

 

 

 

税務コンプライアンス

対象範囲となるMNEグループは、事業年度終了後6ヶ月以内に年次通知書を提出し、GloBE規定およびHKMTTを目的とするトップアップ税税務申告書を報告事業年度末日から15ヶ月以内に提出する必要がある。 移行年度については、トップアップ税税務申告書の提出期限は18ヶ月に延長される。 MNEグループは、トップアップ税にかかる税務通知および税務申告書を提出する香港の構成事業体を1つ指定することができるが、そうでない場合は、MNEグループの各香港構成事業体がそれぞれトップアップ税税務申告義務を遵守することが既定で義務付けられる。 申告遵守を促進するため、IRDは、通知書・申告書の提出、メッセージの送受信などのための電子プラットフォームを開発する。

 

 

 

推奨事項

GloBE規定およびHKMTTは2025年に香港で導入される予定であるため、対象となるMNEグループは、香港の構成事業体が同枠組みの下で容認される経過措置規定およびセーフハーバールールを満たすことができるか検討すべきである。 そうでない場合、対象となるMNEグループは、GloBE規定およびHKMTTの導入によってもたらされる潜在的な影響を事前に分析し、税務コンプライアンスを遵守するために十分なリソースを割り当てるべきである。

 

 

 

 

 

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