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【香港】帰任前駐在員の方必見!帰任・退職時の個人所得税の申告について

 

香港は猛暑が続いており、天候が不安定な日々が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

今回は、弊社でもよくお問い合わせをいただく駐在員の方が直面しがちな「帰国前の香港での納税」と「帰国後日本と二重課税にならない為の考え方のポイント」について順を追ってご紹介します。

 

 

 

離港1カ月前に必要な手続き

IR56G(離港通知書)の提出

IR56Gとは、従業員が香港での雇用を終了され、今後香港で働く予定がない場合に雇用主側が提出するフォームのため、通称離港通知書と呼ばれています。こちらは、13カ月以上香港に滞在した従業員が香港を離れる場合に必要となり、雇用主は、当該従業員が退職する(出国する)1カ月前にこの離港通知書へ従業員の離港日、給与、納税状況などを記入し、税務局へ提出しなければなりません。

 

また通常、離港日までに給与の支払いや当該従業員の個人所得税の納税が終了しているか、最後の個人所得税支払い分については雇用主である会社が源泉徴収しておく必要があります。

IR56Gフォームリンク先

 

 

*雇用が終了した後も、香港で別の雇用主のもとで就労される場合など、香港での滞在を続ける場合は、元の雇用主との雇用関係が終了したことを通知するための、IR56Fフォーム、(雇用終了書)を雇用主側により提出が必要となります。

 

 

 

BIR60(個人所得税申告書)の提出

雇用主側からIR56Gが税務局に提出されると、次に従業員宛に税務局から個人所得税申告書、BIR60フォームが発行されることになります。この個人所得税申告書を税務局へ提出後に納税しなければならない個人所得税金額が記載された納税通知書が発行され、最後の個人所得税を納めることになります。

 

 

 

離港前の最終確認事項

-雇用主:

IR56Gが受領されてから1ヵ月以内に従業員に対してすべての支払いを済ませなければなりません。

 

 

 

-従業員:

すべての税金を納税します。

 

香港を離れる日までにこの個人所得税を納税しなければならないため、弊社でお勧めしているのは、直接当該従業員の方がこの個人所得税申告書を税務局へ持参して、その場で納税通知書の発行および所得税の支払いを済ませていただくことです。それが難しい場合は、雇用主が代わりに納税するという流れになります。

 

 

また、すべての納税終了後、追加報酬が発生した場合には、再度IR56Gの提出が必要です。

(手順参考資料:Employee About to Leave Hong Kong Tax clearance

 

 

 

日系企業の香港駐在員のよくある個人所得税に関するご相談

最近よくお問い合わせを受けるのが、駐在期間中に香港や日本を行ったり来たりしていた場合の税務申告はどうすればよいのかという内容です。

 

香港の税務局へ申告する内容には、香港と日本の行き来があるないに関わらず、一旦香港社から受領した給与などの報酬金額と日本本社から受領した給与などの報酬金額を全て申告内容に含める必要があります。

 

 

 

課税対象となる所得について

全額申告を行うため、香港で納税した後日本で確定申告をする際、「同じ所得に対して、二重課税されるのでは?」というご相談もよくいただきます。

 

一般的に、給与所得については勤務が実際に行われた場所や雇用の所在地など所得の「源泉」がどこであるかにより課税が判断されるため、香港駐在期間中においては、通常であれば日本で支給された給与を含め香港で納税することになり、日本では課税されないということになります。

 

一方で、このよくあるご相談のような香港駐在中において日本へ出張が頻繁にあり、香港に滞在しない日数が多いというような場合、例えば香港での滞在日数が60日未満であれば、所得の源泉が香港ではないという前提の基(雇用契約の主契約は日本本社であり、香港は出向であるなど)、所得税は全額免除とした申告ができたり、60日以上183日未満であれば滞在日数を香港が所得の源泉の対象として、滞在日数基準を適用することも可能な場合があります。(香港内雇用の場合など雇用の源泉が香港内である場合は、滞在日数基準による申告は認められません。)

 

 

 

二重課税を避けるために

ただし、勤務地である香港で課税された場合でも、日本で同じ給与に対して課税されることがあります。つまり、同一の給与所得に対して、2回税金を払う“二重課税”が発生してしまう可能性があるのです。

 

この場合、日本-香港では租税条約が締結されているため、一定の条件を満たせすことで、税務居住地で二重課税された金額の還付を申請することが可能となりますが、必ず還付してもらえるかどうかはケースバイケースとなります。

 

 

また、この個人所得税の対象者の税務居住地が日本と香港のどちらの国・地域にであるかの判断は、基本的には滞在日数が183日以上滞在している場所が税務居住地となります。

 

例えば、香港の滞在日数が年間183日を超えると生活の拠点は香港であるとみなされ、対象者は当該年度(4月1日から翌年3月31日)においては香港の税務居住者とみなされます。この場合、日本で納税分を香港で外国税額控除申請することが可能です。

 

 

 

納税証明書類の保管を忘れずに!

日本で外国税額控除を申請する際には香港での納税証明書類(レシート等)を提出する必要があります。忘れずに保管しておきましょう。

 

 

 

 

最後に

従業員の帰任や退職が決まると、雇用主・従業員共に対応すべき事項が多くなります。税務局は不正確な申告内容や提出に遅延があった場合、罰金を科してくる可能性があります。また、税務局は一旦納税が完了した申告内容においても、過去7年間まで遡及して再審査を行う権利を有しているため、帰任された数年後に、ある日突然税務局から質問状(税務調査)が届くこともあるため、申告内容に一貫性を持たせるためにも正確かつ期限内に申告、納税する必要があります。

 

青葉グループでは、様々なケースの実績があるため、お客様一人一人に最適なアプローチ方法を検討し、サポートすることができると自負しております。今回のような個人所得税に関するご相談のみならず、税務にまつわるご相談がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参照元リンク先:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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