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中華人民共和国会社法(改正草案)【ニューズレター Vol.89】

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成しております。

 

 

【背景】

中国の現行の会社法(中国語「公司法」)は1993年に制定され、2018年に最新の改正が行われ、会社の資本制度に関わる問題について2回の重要な改正が行われた。しかし、社会主義市場経済の急速な発展に伴い、現行の会社法は改革と発展に適応・調整されていないという問題が表面化し、会社法の改正・改善を求める声がますます強くなり、全国人民代表大会、専門家、関連部門等より様々な形で関連の議案や提案が提出された。第13期全国人民代表大会常務委員会第32回会議で『中華人民共和国会社法(改正草案)』が審議され、公開的に公衆の意見を募集することが認可された。

 

 

【影響】

会社法を改正し、中国共産党中央委員会による国有企業改革の深化に関する戦略を徹底的に実施することは、国有企業のガバナンス改革成果を固定・深化し、中国特色のある現代企業制度を改善し、国有経済の高品質的な発展を促進するための必然な要件であり、市場化、法治化、国際化のビジネス環境の構築を促進し、市場の革新的動力と活力をよりよく引き出す客観的な需要であり、資本市場の健全な発展を促進し実体経済に有効に服務する重要な措置でもある。

 

 

【主要内容】

  • 改正案は、現行の会社法の13章218条をベースに、約70条を実質的に追加・修正し、合計15章260条で構成されている。主な改正点は以下の通りである。

     

    (一)国有企業に対する党の指導を堅持すること

    改正草案は、中国共産党規約に基づき、次のように規定している。「国有企業の中国共産党の組織は、中国共産党規約の規定に基づき、指導的役割を果たし、企業の主要な事業・経営事項を研究・検討し、株主総会、取締役会、監査役会、高層管理職が法律に基づいて職務権利を行使することを支持する」。 (改正草案第145条)

    同時に、改正草案では、党の規約に基づき、党組織を設立し、党活動を行い、会社は党組織の活動に必要な条件を提供するという現行の会社法の関連規定を継続的に維持する。(改正草案第17条)

     

    (二)国有企業に関する特別規定の改善について

    国有企業改革の成果を徹底的に総括し、現行の会社法における国有独資企業に関する既存の内容をベースに、「国有企業の特別規定」の章が設けられた。第一に、適用対象の範囲が国有独資有限責任公司から国有独資有限責任公司・国有持株有限責任公司までに拡大された(改正草案第143条)。第二に、国有企業において、国有資産監督管理機関等が、授権に基づいて本級政府の代わりに出資者の職責を果たし(改正草案第144条)、出資者の職責を行う機関は、重要な国有企業の重要事項に関して決定を出す前に、本級政府に報告し承認を得る必要があり(改正案第152条)、国有企業は法律に基づいて内部監査管理及びリスク管理制度を構築・改善する必要があると明確にされた(改正草案第154条)。第三に、国有独資企業の取締役会の構築を強化し、国有独資企業の取締役会に半数以上の社外取締役を含めること、且つ、取締役会に監査委員会などの特別委員会を設置し、同時に監査委員会をしないことを要求している(改正草案149条、153条)。

     

    (三)会社の設立・閉鎖の制度の改善について

    会社登記制度を改善し、会社の設立と閉鎖手続きがさらに簡素化されている。第一に、会社登記の章を新設し、会社設立登記、変更登記、抹消登記に関する事項と手続きが明確にされた。同時に、会社登記機関へ登記手続きを最適化すること、登記の効率と利便性を向上させることを要求している。第二に、情報化構築の成果を十分に生かし、電子営業許可証、統一的な企業情報公開システムを通して公告を発行し、電子通信を採用して決議を下すということの法的効力を明確にしている(改正草案第26条、第34条、第76条など)。第三に、出資に使用できる財産の範囲を拡大し、持分権・債権について、価格を決めて出資することが可能であると明確にしている(改正草案第43条、第100条)。一人有限公司設立などの制限を緩和し、且つ、一人株式有限公司の設立を認める(改正草案第93条)。第四に、会社清算制度を改善し、清算義務者と清算グループのメンバーの義務と責任が強化された(改正草案第228条、第229条、第234条)。株主全員が債務履行に対して承諾した後、簡易な手続きで会社の登記を抹消できる規定が追加された(改正草案第235条)。

     

    (四)企業の組織体制設定の最適化について

    組織体制の設定に関して、より大きな自主権が企業に与えられている。第一に、会社の管理において、取締役会のポジションを強調し、且つ、民法典の関連規定に基づき、取締役会が会社の執行機関であることが明確にされている(改正草案第62条、第124条)。第二に、国有独資企業及び国有資本投資運営企業の取締役会の構築実践により、また、中国企業の対外進出及び外資の対中投資に利便性を提供するため、企業は単一なガバナンスモデル(取締役会のみ設立し、監査役会を設立しない)を選択することが認められている。取締役会のみ設立した場合、取締役会の中に取締役で構成される監査委員会を設置し、監督責任を負う必要がある。その中で、株式有限公司の監査委員会の委員の過半数は非執行取締役でなければならない(改正草案第64条、第125条)。第三に、会社組織の設立をさらに簡素化するため、小規模の会社については、取締役会を設立しないことが可能である。また、株式有限公司は取締役1~2名を設立し、有限公司は取締役或いは総経理1名を設立することが可能である(改正草案第70条、130条)。小規模の会社は、監査役会を設立せず、監事1~2名を設立することも可能である(改正草案第84条、137条)。

    同時に、現行の会社法では、従業員取締役の設置に関して、国有独資および完全国有の有限責任公司だけに対して、要求がある。改正草案では、従業員300人以上の会社は、従業員代表を取締役にする必要があり、それ以外の会社は従業員代表を取締役にすることができると規定し、従業員取締役の対象会社範囲を拡大している。 (改正草案第63条、第124条)。

     

    (五)企業の資本政策の改善について

    第一に、株式有限公司における授権資本制度の導入である。株式有限公司は設立時に、株式の一部だけを発行すればよく、定款または株主総会で、会社運営の実際の必要性に応じて、取締役会が残りの株式を発行することを決定する権限を与えることが可能となっている。 (改正草案第 97 条、第 164 条)。第二に、多様な投資家の投資ニーズに答えるため、優先株、劣後株、特別議決権株、譲渡制限株などを含む、従来から多く実践されている株式の種類が規定されている(改正草案157条、158条)。企業が定款に基づき額面株式と無額面株式のどちらを採用するかを選択できるようになっている(改正草案第155条)。マネーロンダリング対策の関連規定、及び中国の株式発行の実態に基づき、無記名株式を廃止する(改正草案第159条)。第三に、簡易減資制度が追加された。すなわち、規定に従って損失を補填してもなお損失がある場合、簡易減資を行うことができるが、株主への分配はできない(改正草案第221条)。

    同時に、株主の出資や株式取引行為に対する規制を強化し、取引の安全性を維持する。 第一に、出資金支払遅延の株主の権利喪失制度、規定を強化し、株主が出資金を全額、且つ期限内に支払わず、会社が催促した後も、規定の期間内に出資金を支払わなかった場合は、その株主は未払い出資金分の持分権が失われることが定められている(改正草案第46条、第109条)。 第二に、有限責任公司の株主の出資金支払の有効期限を加速化する制度が追加されている。支払有効期限が満期となった債務を返済できず、且つ明らかに返済能力がない場合、会社又は債権者は、出資金の承認済みだが支払期限が未満期の株主に対し、出資金の前払い請求権を有する(改正草案第48条)。第三に、瑕疵ある株式が譲渡された場合の譲渡人及び譲受人の責任が明確にされている(改正草案第89条)。

     

    (六)支配株主と経営陣の責任強化について

    第一に、取締役、監事及び高層管理職の忠実義務及び勤勉義務の具体的な内容を改善する(改正草案第180条)。関連取引に対する規範を強化し、関連者の範囲を拡大し、関連取引の報告義務及び議決回避の規定を追加する(改正草案第183条)。第二に、取締役、監事及び高層管理職が会社資本の充実性を維持する責任を強化する。株主の出資金の納付遅延及び滞納、本法の規定に違反して利益を配当することと登録資本金を減少すること、及び本法の規定に違反して他者が会社の株式を取得するための資金援助を行った場合、上述人員の賠償責任が含まれる(改正草案第47条、第52条、第109条、第174条、第207条、第222条)。第三に、取締役及び高層管理職が、職務を遂行する上で、故意又は重大な過失により他人に損害を与えた場合、会社と連帯責任を負うという規定を追加する(改正草案第190条)。第四に、支配株主及び事実上の支配者がその支配的地位を濫用し、会社及び中小株主の権利利益を侵害するという顕著な問題に対して、いくつかの国の法律規定を参考に、会社の支配株主又は事実上の支配者が会社に対する影響力を利用して、会社の取締役又は高層管理職に会社又は株主の利益を害する行為を指示し、会社又は株主に損害を与えた場合は、当該取締役、高層管理職は連帯責任を負うことを明確化する(改正草案第191条)。

    (七)企業の社会的責任の強化について

    企業の社会的責任の構築を強化し、企業は、法律法規に基づいて経営活動を行い、従業員、消費者等の利害関係者及び生態環境保護等の社会公共利益を十分に考慮し、社会的責任を負う必要がある。国は、企業が社会福祉活動に参加し、社会責任報告書を公表することを推奨する(改正草案第19条)。

 

 

 

【法規リンク】

『中華人民共和国公司法(改正草案)』

 

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