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支払った住宅家賃が控除される!? 香港個人所得税2021/2022年度-2022/2023年度の支払家賃の控除申請

今年も、年に一度の香港個人所得税申告の時期がやってまいりました。

 

 例年は5月初めに申告書が発行されますが、今回の2021/2022年度(2021年4月~2022年3月)の申告書はコロナ禍の影響により発行日が6月1日に変更されており、提出期限は、申告書の用紙で申告する場合は発行日から1ヶ月以内、ネット申告(E-tax)の場合は2ヶ月以内となっています。督促や無申告による税務局からの一方的な査定額計算による請求書の受領を防ぐためにも、期限内に申告を行うことが非常に重要となります。

 

 この個人所得の申告ですが、皆さんの勤務先である会社からは、従業員への給与支払額を既に税務局へ報告済みです。通常その報告書(通称: 56Bフォーム)の内容と、これからみなさんが行う個人所得の申告内容が一致しているかどうかを税務局は確認しますので、報告書の控えを勤務先から受領し内容を確認して、期限内に忘れずに申告を済ませましょう。個人所得税申告書(通称:BIR60フォーム)の記入および提出に関する責任は個人に帰することになりますので、会社内で対応してもらえる場合にも任せきりにせず、内容や期限についてのモニタリングが重要です。

 

 

 

2月の政府予算案で提案された新たな個人所得税控除項目―住宅支払家賃額の控除

 

 2022年2月23日、香港特区政府財務長官が立法議会にて発表した2022/2023年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の香港財政予算案のうち、居住用不動産を保有していない個人を対象に、2022/23年度の個人所得税から居住用賃貸費用を100, 000香港ドルを上限に控除すると提案されました。

(当予算案の詳細についてはこちらの記事をご参照ください)

 

 

住宅家賃控除の条件は?

 今回の政府による提案は、とりわけ世界一家賃が高いと言われている香港で居住する我々にとって、非常にありがたいものとなっています。

 

 ちなみに、当税務優遇政策案は、2022年6月上旬時点では立法会で正式に可決されておらず、詳細は未公表で現時点での情報となっています。2022/2023年度から支払った分の家賃の控除(年間10万香港ドル上限)を申請することが可能となりますがいくつか条件があります。

 

 第一の条件として、印紙押印済賃貸契約書があることとなります。そして以下の場合においては控除申請は認められませんので、ご注意下さい。

 

  • (税金を回避する目的などで)契約書を交わさずに直接家主に現金などで支払いをしている
  • 配偶者などではない第三者により賃貸契約が行われた物件に居住している
  • 不動産を保有しているが、別途住居を借り家賃を払っている
  • 雇用主が家賃を負担している
  • 個人が賃借料を支払った後にその一部もしくは全額を雇用主に請求している

 

 

 

住宅賃借料控除申請の方法

 これに伴い、今回発行された個人所得税申告書(フォームBIR60)では、以下の項目が追加されています。

 

 

 上述の通り、こちらは2022/2023年度から適用開始となるため、今年度の個人所得税申告書にてこちらの控除申請を行った場合、2021/2022年度の確定所得税税額には影響はありませんが、2022/23予定納税(注)分から適用されることになります。こちらには、2022/2023年度に支払うと考えられる一年分の家賃総額を記載します。

 

 なお、来期以降の申告書では、該当する住所の記入などより詳細の記入を求められる書式に変更される可能性があります。

 

 

(注)予定納税:

香港では、税務局が「次年度も同額程度の収入を得るだろう」と仮定し、次年度も当年度と同等程度の納税額を査定するみなし課税システムがあり、香港で初めて納税する年には、次年度の分も含めた2年分を収める必要がある、つまり「次年度分も預かっておきます」といった納税システムがあります。もちろん香港を離れることになったり、次年度において収入が一切ない、または減少した場合は、その「次年度分」は還付となります。この「次年度分」の税金を「Provisional Tax」といいます。

 

 

 

 香港個人所得税の控除項目は、年々増加しており、基礎控除や上記の控除以外にも、指定保険商品の購入などによる控除が可能になるなど、近年複雑化しています。また、日本から派遣の駐在員の皆様、および海外複数拠点で就労をされている場合において、ご自身や会社の人事スタッフでは対応が難しいといったこともございます。弊社では、これまでに多くの企業の駐在員等の方々の申告代行をさせていただいております。個人所得税申告についてお困りの点がございましたら、ぜひ青葉へお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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