香港の給食問題に日系おむすびチェーン店「華結び」が救済策
- 公開日 2023.02.24 | 香港
学校にもよりますが、香港では基本的にお昼ご飯はお弁当を持参するか、学校給食にするかを生徒および保護者が選択することができます。学校給食は、コストパフォーマンスが良いため、給食を選択する生徒が多いようです。
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学校給食が原因で食中毒が発生?
香港の学校給食の供給業者である「活力午餐」が2月20日と21日の二日間、給食の供給を停止すると発表し、約200校・10万人の先生と生徒に影響を与えるという事件が発生しました。
事の成り行きは、多くの学校から活力午餐の給食を食べて体調を崩す生徒が続出し、中には病院へ運び込まれた生徒もおり、数名の生徒にいたっては食中毒になったことが発覚し、当社の品質管理に問題があるのでないかとの声があがりました。
その報告を受けた香港の食物環境衛生署(FEHD)は、当社の製造工場から11の食品と25の環境サンプルを採取して検査をおこないましたが、結果はすべて基準をクリアするものでした。しかし、今回の食中毒事件に関して、FEHDは当社に対し、調査が完了するまで該当する食品の生産と供給を直ちに停止するよう指示をしたため、今回の2日間の供給停止となったようです。
「華結び」がおにぎり1個HKD10の特別価格で販売することを発表
停止となる数日前にこの知らせを受けた各学校や保護者は、その対応策に追われることになりました。
とある学校では、保護者がボランティアで全校生徒の昼食を作って対応したり、また活力午餐の親会社にあたる大手ファミレスチェーン店の「大家樂社」へ代わりとなる給食を依頼したり、中にはマクドナルドのフィレオフィッシュを給食として注文した学校もあり、その対応は分かれたようです。
ただ、その中で話題となっているのは、日系おむすびチェーン店「華結び」の対応です。華結びは、今回の被害を受けた学校に対して、おむすびを一つ10ドルの特別価格で提供することをFacebookに投稿、その約1時間後には、多くの学校や保護者からの問い合わせが寄せられたとのこと。
午後にはプレスリリースを発表し、給食が停止となる二日間は、生産ラインをフル稼働させ、2万本以上の追加生産を行うこと、被害を受けた学校が注文できるようホットラインを開設し注文を受ける体制を整え、様々な種類のおむすびを10ドルの特別価格で提供するため、総力を挙げて動員・増産に取り組むことを発表しました。
10ドルおにぎりという「良心的」な対応を絶賛!?
今回、急な対応になるにも関わらず、通常価格よりも安い値段の10ドルで提供するといった対応に、多くの香港市民からSNSなどを通して賞賛の声が寄せられており、「華御結が良心的で、香港の時事問題に目を光らせて社会問題を解決しようとしている。」との声や、「華御結が将来的に各学校へ自動販売機を設置したり、今後は学校給食事業を始めて、生徒が衛生的な食事を取れるようにして欲しい。」といった今後の展開までも期待する声があがりました。
香港おむすび文化のパイオニア、「華結び」
華結びは、2010年に日本人により香港で設立されたHyakunousha International Limited(以下、百農社)が運営しているおむすび屋さんです。2011年に香港に1号店を立ち上げて以来、現在では香港に110店舗以上も展開するほどに成長し、百農社が日本のおむすび文化を香港に定着させたといっても過言ではありません。
2000年の初めのころは、日本食といえば“日式”と呼ばれる香港系日本食レストランがほとんどで、お寿司やラーメンのチェーン店は当時からありましたが、現在のように、多種多様な日系日本食レストランはありませんでした。
この20年で、インフレが続き成長した香港が、ほぼデフレの状態であった日本より物価が高くなり、物価の安い日本への旅行が流行しはじめ、そこで日本の食を覚えた香港市民により日本食ブームが起こり、日本の食が次々と香港へ進出していきました。
弊社のオフィスの近くだけでも、華結びの店舗は2-3店舗あり、以前から学生たちがお昼に購入している姿もよく見かけていました。お寿司ではなく、おむすびをここまで香港のランチの場に定着させた百農社は、今後の展開として、2030年までに1万店舗を世界に出店させるそうです。まず、2025年までにアジアを中心に2000店舗出店する計画とのことで、香港だけではなく世界でおむすびに出会える日を期待したいと思います。
【参考元記事リンク】
・活力午餐|華御結推$10飯團優惠 助下周一二暫停飯盒受影響學校
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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