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深圳と香港が相互補完 大湾区の強みを生かす【大湾区情報レター Vol.59】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


 

 

 

 4月21日、香港行政長官である李家超(ジョン・リー)氏は、立法会議員や政府高官の代表団を率いて大湾区本土の4都市を4日間の日程で訪問し、香港特別行政区の設立以来、最大規模の公式訪問となりました。

 

両地域の融合を促進 コロナ後の経済回復を実現

 

 香港の中核機関である行政会議(Executive Council)と立法会(Legislative Council)の協力と協調は、極めて重要であると言えます。行政長官が率い、立法会議員が同行する今回の代表団は、行政会議と立法会の相互理解を深め、両者の距離を縮め、両者の交流とコミュニケーションを促進し、お互いの役割と責任をよりよく理解し、政策をより円滑かつ効率的に実施・執行するための協調と協力体制を可能にし、香港の発展と繁栄の推進を推し進めていきます。

 

 今回の訪問の主な目的は、香港と中国本土の融合プロセスを促進することです。コロナ禍は世界の経済と社会に深刻な影響を与えており、コロナ禍からの回復を達成するために、香港と中国本土は引き続き協力を強化し、一体的発展を推進する必要があります。

 

 今回の訪問日程は非常に豊富で、スマート交通、人工知能、ドローン、スマート物流、文化創造産業、情報通信技術、医療工学、環境保護などの分野をカバーしており、代表団の重点分野は香港の発展分野の要であるイノベーション・テクノロジーとなっています。

 

 科学技術の発展は、香港の将来の発展にとって重要な要素であり、香港と中国本土の融合の重要な推進力となると考えられています。代表団は初日、中国本土の大手電気自動車メーカーである比亜迪(BYD)を訪問しました。BYDはエネルギーと電気自動車に特化した有名な企業という印象を持っている人が多いと思われますが、実際の同社の研究対象分野は多岐にわたっており、材料、情報技術、バッテリー、エンジン、環境保護、都市設計など幅広い分野をカバーしており、中国の科学技術の進歩と持続可能な発展の促進に大きく貢献をしてきました。

 

 2日目には、深圳市南山に位置する、人工知能とドローン技術の研究・応用に取り組むディー・ジェイ・アイ(DJI)を訪問しました。 DJIは、世界をリードするドローンブランドとして、ドローン技術の研究開発の最前線に位置しています。創業者の汪滔氏は、香港科技大学の卒業プロジェクトで、遠隔操作ヘリコプターの飛行システムを研究し、その後、DJIを設立しました。卒業プロジェクトの成果を徐々に発展させ、DJIは今では世界的に有名なドローンブランドへと成長しました。DJI訪問において、代表団の一員である立法会議員黄錦輝氏はドローン技術の可能性とその応用範囲の広さに感銘を受け、ドローン技術及び応用分野における革新的な進歩に衝撃を受けました。

 

 また、代表団は前海協力区の「前海深圳香港青年夢工場」へも訪問しました。ここは、ワンストップで専門的な起業・ビジネスサービスを提供するプラットフォームで、レンタルオフィス賃料の優遇、起業資金、金融支援などのサービスを提供しています。香港と深圳の若い起業家に非常に優れたプラットフォームを提供し、両地の交流と協力を促進します。

 

対外循環を促す 東莞市と共同で空港センターを建設

 

 また、東莞物流園区にある香港空港管理局の「東莞・香港国際空港センター」も視察しました。現代サービス業の「前は店舗、後ろは工場」といった業務形態において物流は不可欠な要素です。物流管理により企業の生産、販売、物流、アフターサービスが円滑に行われ、商品が時間通りに顧客に届くことを確実にします。当国際空港センターの建設は、商品の国際化という国からの需要に応え、国際的な経済循環を促進するとともに、世界有数の航空輸送サービスプロバイダーである香港の利点を生かし、大湾区の香港と広東省の相互利益を実現し、協力を深めていきます。

 

 コロナ禍が3年以上続いた中で、香港空港管理局は東莞市政府と提携し、ワンストップで国際物流サービスを提供する当国際空港センターを建設しました。2020年9月にスタートした当プロジェクトは、国境を越えた物流業務を最適化し、競争の激しい市場で競争力を保つための数々の革新的技術を備えています。

 

 ワンストップサービスの提供は、企業の国際物流プロセスにおける時間及びコストを大幅に削減すると同時に、物流の制御性と安全性を向上させ、企業の発展に多くのチャンスと競争優位性をもたらすことができます。また、当共同プロジェクトの立ち上げ、建設の成功は、両地域協力の実用的かつ革新的精神を示すものとなっています。

0から1へ」のイノベーション 1からNへ」の産業化

 

 化学技術イノベーションと産業化という点で、香港と深圳は相互補完的な関係にあり、良好な協力関係とウィン・ウィンの環境を作り上げることができます。香港は深圳の支援により化学技術成果を実際の産業に転換し、「0から1へ」のイノベーションを実現させ、深圳は香港との協力を通じて、科学技術成果をより広いマーケットに広げ、「1からNへ」の産業化を実現することができます。今後、両者の強力な協力関係によって、中国のイノベーション・テクノロジーの発展が共同で促進されると黄氏は信じています。

 

 

 

【参考資料】

・深圳と香港が相互補完 大湾区の強みを生かす(経済日報 5月10日)

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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