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深圳市全体の8分の1のAI企業、前海に集中【大湾区情報レター Vol.77】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

  

    

  

 

 

 深圳市人工知能(AI)産業協会の統計によると、実際の登記所在地に基づいた前海市のAI企業数は2023年に289社に達しました。前海の情報サービス業の収入は2,213億人民元を達成し、51.5%の成長を遂げました。この数字は深圳市全体の12.75%を占めており、前海の土地面積比率と比較した場合、その割合は非常に高くなっています。
 

1. 前海のAI企業の特徴

 

 現在、前海には289社のAI企業が存在しており、そのうち基礎層が39社、技術層が37社、アプリケーション層が213社に分けられます。これらの企業は、マシンビジョン、データマイニング、スマート金融、スマート物流、インテリジェント・コネクテッド・カー、ビッグモデルなどの分野に関与しており、商湯科技(SenseTime) 、思謀科技(SmartMore)、小馬智行(Pony.ai)、海柔創新(Hai Robotics)、微衆銀行(WeBank)などのAI分野のトップ企業を誘致、育成しています。

 「北京のAI産業の特徴は『科学研究技術開発+資本』、上海は『コンピューティング・クラスタ+科学研究技術能力』、深圳は『シナリオ・イノベーション+アプリケーション』であり、前海のAI企業も主にアプリケーション層が中心となっています」と深圳市人工知能産業協会の執行会長范叢明氏は述べました。現在、中国は北京、上海、深圳、杭州及び合肥においてAIの発信地建設を積極的に推進しており、深圳は産業チェーンの中核である基礎層、技術層への進出にまい進しています。


2. AI企業が前海を選ぶ理由

 

 前海にAI企業が急速に集まる理由は何でしょうか。「包括的な産業支援政策」というのが前海企業からの最初の回答でした。特に前海が2024年「第一号文書」として発表された「AIの高品質発展とハイレベル応用支援に関する若干の措置」(以下「措置」)が、多くの企業を奮い立たせました。

 

 「2020年から現在まで、AIは大きく成長し、革命的な技術進化が次々と起こっていますが、まだ多くの課題や障壁が存在しています。産業進出支援政策を導入することで、企業はより自由にイノベーションを推進できるようになります」と英智未来のCEOである劉克鴻氏は述べました。

 

 前海に進出して3年の標普雲(Biaopu Cloud)の創業者で董事長である楊蜀氏も、前海がテクノロジー企業を重視していることを実感しています。「どんな技術競争も最終的には資源と人材の奪い合いです。前海は特に海外人材の引き寄せに関して、実質的な補助金が多くあります。措置は、企業の収益に占めるAIの割合や実際のビジネスケースの成果などに対して相応の奨励金を支給し、企業、顧客、およびビジネスモデルのAIの含有率の向上を促しています」とも述べています。

 

 さらに「イノベーションと試行錯誤の空間が大きい」という点も企業の共通認識です。劉克鴻氏は前海を深港協力区や大湾区のイノベーション発展の重要なハブとして位置付け「ネットワーク空間や香港とのクロスボーダー・データ交換などにおいて地理的な明らかな優位性を持っている」という見解を持っています。

 

 Pony.ai副社長である賀星氏は「前海の考え方は進歩的で、オープンマインド」ということを最も感じています。また「自動運転企業の初期の研究開発サイクルは長く、公道でのテストは公共の安全に一定の課題をもたらしますが、前海は企業に対して十分な包容力と信頼を持ち、企業の成長を協力にサポートしてくれています。」とも述べています。


3. AI企業のボトルネックを突破するために前海ができること

 

 実は前海は「コンピューティング・パワー不足、データセンターの制約、データソースの不足」という課題に対して取り組んでいます。現在、前海に位置する深圳初の情報通信分野における国家レベルのインフラである「国家(深圳・前海)新型インターネット・エクスチェンジ・センター」は前海管理局と共に2023年末に「大湾区統合コンピューティング・サービス・プラットフォーム」をリリースし、企業、大学、研究機関のAIチームに対してコンピューティング・サービスを提供しています。

 

 2024年1月には、前海深港AI・コンピューティング・センターが始動しました。珠江デルタ地域で最大かつ最も高い計算能力を持つインテリジェント・コンピューティング・センターとして、完成後にはAIのコンピューティング能力が1秒間に500億兆回に達し、1時間で16億枚の画像処理、190万時間の音声翻訳、0.7万キロメートルの自動運転AIデータ処理が可能となります。

 

 一方、同措置は、香港企業や科学研究機関が前海合作区に専門機関を設立し、クロスボーダー・データベース・サービスの試験的提供を支援することを提案しています。

 

 

 

 

・深圳市全体の8分の1のAI企業、前海に集中

 

 






 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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