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香港の税収が183億ドル減少 -税務優遇政策のおさらい-

 

2023年5月2日、香港税務局長官のタム長官は、2022/23年度に同局が徴収した税収は3602億香港ドルで、昨年度と比較して5%(約183億香港ドル)減少したことを報告しました。

 

その中で最も減少したのは印紙税で、当年度の印紙税の税収は699億香港ドルを記録し、昨年の997億ドルから30%減少しました。しかしながら、法人税と個人所得税税については、それぞれ4%、5%の増収という結果となっています。

 

また同氏は、香港税務局が発行した2022/23税務年度の個人所得税の申告書の数は273万件となり、前年度の287万件から14万件減少したとして、この個人所得税申告書の発行数が減少した理由について、税額控除によって納税対象から外れる人が増加した事などさまざまな背景がある、と述べました。

 

 

 

香港人材流出は個人所得税の税収に影響しない

2023年5月3日、香港財務長官ポール・チャン氏は、香港税務局の発表を受け、個人所得税申告書の数が減少してはいるけれども、個人所得納税者の数は昨年の約140万人から今年は146万人に増加し、また、個人所得税の税収入も昨年の770億香港ドルから今年は830億香港ドルに増加したと発表しました。

 

またこの結果から、香港の人材流出が、香港の個人所得税の税収に影響を与えなかったと述べました。

 

世論では、香港の人材流出により個人所得税の税収が減るのではないかという心配の声が挙がっていました。しかし、人材流出により空いてしまったポジションに対し、新規社員を募集する際、人材不足も手伝ってか、募集する際の給与の額が上がり、結果として人材の個人所得の単価が上昇したことも要因の一つではないかと考えられます。

 

 

 

2022/23年度の税務優遇政策のおさらい

立法院で2023年香港税収(児童手当および税制上の譲歩)法案が可決されたため、2022/23年度の法人税、給与所得税、その他個人所得税による納税額が1件あたり6000香港ドルを上限として100%控除されることになります。

(関連記事:2023/24年度香港財政予算案及び今後の見通し

 

また、2023/24年度からは、給与所得税およびその他個人所得税の課税対象年度に生まれた子供1人につき、基本児童手当に追加される児童手当を、12万香港ドルから13万香港ドルに引き上げの増額が行われることになります。

 

タム長官によると、納税者は通常通り児童の欄に記入し申告を行うだけで、これらの手当が査定の際納税金額に反映されるとのことです。また、同局は納税者の2023/24年暫定給与税の計算においても、新水準の児童手当を適用する予定です。

 

また、2022/23年度より有効となった、香港内家賃の税額控除を規定する「香港税務局(国内家賃の税額控除)法案2022」も昨年度可決されたため、香港での高い家賃を、自身で支払っている方は、個人所得税申告書のPart 8へ支払った香港内家賃に関する情報を記入する必要があります。

 

ただし、この個人所得税から控除される香港内の家賃の最大控除額はHKD100,000までとなっていることに注意が必要です。香港の家賃は高額であるため、ほとんどのケースにおいて、この上限額でキャップされることが予想されます。

 

 

 

 

 

 

 

【参照リンク先】

About 2.4 million tax returns on the way as HK sees an $18.3 billion drop in tax revenue

Tax Deduction for Domestic Rent

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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